概要

 財団法人日本力行会は、海外移民の民間の支援機関として明治時代からの活動の歴史をもつ機関です。移民のための教育、情報提供、出版事業や移民地での支部活動を含めた活動をしてきており、こうした活動に関連する豊富な一次資料を含めた多様な文書、書籍資料を蔵しています。
 この史料室にある資料類の目録化作業を行ってきました。これまでに所蔵資料の目録作成、データのデジタル化、公開に協力してきました。

 史料は明治期のものも数多く残されています。また、移民地であるブラジルや満州で出された刊行物、印刷物なども多く、そうした史料には、この史料室以外所蔵していないものも少なくありません。

概要
ツール
所蔵史料から
関連情報
所蔵史料から

 所蔵資料の中に含まれる様々なタイプの資料類を少しですがサンプルとして掲げておきます。

日本力行会の歴史についてかかれた書籍類。会の雑誌として長く続いた「力行世界」も所蔵。これ以外にも数多くの出版物を日本力行会は作成している。
海外移民についての幻灯史料や映像資料も会では保存している。幻灯は戦前においては有力な教育メディアだった。幻灯はすべてデジタル化されており、映像も一部補修、デジタル化されている。
海外で作成された戦前の日本語教科書。左はカリフォルニアで、右はブラジルで作成されたもので、内容もむろんその地域向けにアレンジされている。
初代会長である島貫兵太夫が明治28年に刊行した雑誌「救世」、そして日本力行会がかなり早い時期の定期刊行物である「渡米新報」。
 ブラジルで戦後も日本の敗戦を認めない「勝ち組」、あるいは「信念派」の立場に立つ雑誌や新聞類を所蔵。量的には多くはないが1946年から56年にかけて所蔵している。
 戦前の移民・植民雑誌が豊富に所蔵されている。特にブラジルや満州移民関係の雑誌や報告書類が充実している。記事内容は経済から文化まで幅広い。
関連サイト

財団法人日本力行会

現在の活動の他、会の年表、史料室の蔵書目録などが閲覧可能

リテラシー史研究会

現在目録作成、史料調査をここで行っています。

ツール

蔵書整理や調査で用いているファイルやフォーマットです。

蔵書整理作業マニュアル

「力行世界」総目次入力フォーマット

「力行世界」総目次入力方法、事例

関連情報

会の史料に関しては、以下の関連論文を書きました。

・和田敦彦「流通する〈国家〉、複製される〈信濃〉 地域リテラシーと領土の表象」(『日本近代文学』、673号、pp.202-217、2002年5月)
・同「幻灯画像史料の保存と活用について 日本力行会所蔵史料を中心として」(『内陸文化研究』2号、pp.37-47、2002年3月)
・同「ITと文学環境 移民情報の行方をめぐる問いへ」( 『国文学』、669号、pp.122-129、2001年5月)
以上は拙著『メディアの中の読者』(ひつじ書房、1997年)にも部分的に収録されています。