祖先タンパク質の実験的な復元


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 過去の生物そのものを復元・再生することは、現在の科学ではまだ容易ではないが、遺伝子、あるいはタンパク質の復元・再生は可能になりつつある。 この研究室ではすでにいくつかのタンパク質について、現存のアミノ酸配列の比較からタンパク質の進化系統樹を作成し、その系統樹を遡ることによって 生物の共通祖先が持っていたと推定されるタンパク質のアミノ酸配列を推定する技術を開発した。この手法で推定された祖先型アミノ酸配列を持つタ ンパク質の多くは、高い耐熱性を示した。この結果は、祖先型タンパク質を持っていた祖先生物が高温環境に生育していた好熱菌または超好熱菌で あったことを強く示した。
 今後は、多くの種類の祖先型タンパク質を復元することが課題である。将来的には、全生物共通祖先生物が持っていたと思われるタンパク質の 遺伝子一式をすべて復元することで、全生物共通祖先生物そのものを復元するという夢のようなことにも挑んでみたい。


プレスリリース

東京薬科大学(2013年6月18日)


新聞記事等

祖先は75度以上の好熱菌?(毎日新聞)

東京薬科大学、38億年前の生物のタンパク質復元(日経新聞)

75度以上の熱い海に生息か=全生物の祖先、38億年前?に - 東京薬科大学(時事通信)

東京薬科大の山岸教授ら、全生物祖先生物「コモノート」の生息温度は75℃以上、PNAS誌で発表(日経バイオテク アカデミック版)



関連文献

赤沼哲史
全生物の最後の共通祖先コモノート
細胞工学 35(2), 124-128 (2016)

Akanuma S, Yokobori S, Nakajima Y, Bessho M, Yamagishi A.
Robustness of predictions of extremely thermally stable proteins in ancient organisms
Evolution 69(11), 2954-2962 (2015)

Akanuma S, Nakajima Y, Yokobori S, Kimura M, Nemoto N, Mase T, Miyazono K, Tanokura M, Yamagishi A.
Experimental evidence for the thermophilicity of ancestral life
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 110, 11067-11072 (2013)

Akanuma S, Yokobori S, Yamagishi A.
Comparative Genomics of Thermophilic Bacteria and Archaea.
In: Thermophilic Microbes in Environmental and Industrial Biotechnology (Eds. Satyanarayana T, Litterchild J, Kawarabayasi Y), Springer Science, pp. 331-349 (2013)

赤沼哲史、山岸明彦
全生物の共通祖先
「アストロバイオロジー(山岸明彦編集)」、化学同人、118-131 (2013)

Akanuma S, Iwami S, Yokoi T, Nakamura N, Watanabe H, Yokobori S, Yamagishi A.
Phylogeny-based design of a B-subunit of DNA gyrase and its ATPase domain using a small set of homologous amino acid sequences
J. Mol. Biol. 412, 212-225 (2011)





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