研究内容紹介

2011年に原子炉の「設計の想定を超える事故」が福島で起きました。「巨大プラントはあのときどうなったのか」。これを知ることで、原子炉の史上最難度の廃炉に大きく貢献できます。研究室では米国原子力規制委員会の支援も受けて福島1〜3号機のプラントの詳細なシミュレーションモデルを作成しています。国内民間企業と共同で事故時の対応の改善策も研究中です。2018-2019年度にはフランスの原子力・代替エネルギー庁と共同研究に取り組み、核燃料が溶けた実験を「粒子法」という新しいシミュレーション手法で再現することに成功しました。国内研究機関やメーカーと協力して事故が起きてもそれに耐えることができる「事故耐性燃料」の研究開発に取り組んでいます。さらにその先の高性能で安全な「第四世代炉」の設計研究に取り組んでいます。

原子力は総合理工学です。当研究室では以下により原子炉設計と安全の主要な研究テーマを網羅しています:

テーマ1: 第四世代原子炉の炉心設計と核変換
テーマ2: 事故耐性燃料の設計と挙動解析
テーマ3: 原子力発電プラントの事故・安全研究
テーマ4: 粒子法による溶融炉心挙動解析

研究指導の例→学術誌に論文が掲載されるまで

プロジェクト研究等

2020〜2023年度 社会に受け入れられる事故復旧性スーパー高速炉概念の研究(科研費基盤B:代表)
2019〜2021年度 Multi-Physicsモデリングによる福島2・3号機ペデスタル燃料デブリ深さ方向の性状同定(MEXT/JAEA-CLADS英知事業:代表)
2019年度 FEMAXI-ATFモジュールを用いた炭化ケイ素(SiC)被覆燃料棒のふるまい解析(資源エネルギー庁/JAEA受託)
2019年度 FEMAXI-7によるFeCrAl-ODS被覆燃料の事故時ふるまい解析(資源エネルギー庁/NFD受託)
2018〜2020年度 RPV下部構造破損・炉内物質流出挙動のMPS法による予測(JAEA公募事業:代表)
2018〜2019年度 MPS-THEMA Crosswalk on Corium Spreading Analysis(JSPS日仏二国間交流事業:日本側代表)
2018年度 IAEA CRP, "Analysis of Opotions and Experimental Examination of Fuels for Water-Cooled Reactors with Increased Accident Tolerance (ACTOF)"(JAEAと共同参加)
2017〜2020年度 沸騰水型軽水炉の過酷事故進展解析モデルの研究(株式会社テプコシステムズ受託)
2017〜2018年度 改良ステンレス鋼被覆燃料の燃料ふるまい挙動解析(資源エネルギー庁/JAEA受託研究)
2016〜2018年度 Multi-physicsモデリングによるEx-Vessel溶融物挙動理解の深化(MEXT英知事業:代表)
2016〜2017年度 炉心物質スランピング時の事象推移に関わるMELCOR解析(IRID/JAEA受託研究)
2016年度 新型燃料の既設BWRへの装荷時の燃料ふるまいに及ぼす影響等に関する解析評価(資源エネルギー庁/JAEA受託研究)
2015〜2017年度 事故耐性燃料棒のふるまいと溶融時の挙動解析研究(科研費若手B:代表)
2015年度 シビアアクシデント解析コードの炉心部熱計算手法の調査(JAEA受託)
2015年度 燃料ふるまい解析コードを用いた先進燃料の挙動解析(JAEA受託)