■2006年度
 宮口あすか 公共交通機関の利用状況実態調査とより良い環境への提案に関する研究

 萬屋 京典  コミュニケーション支援機器に対するユーザビリティ評価に関する研究

■2005年度
 中島 楓  コミュニケーション支援機器に対するユーザビリティ評価に関する研究

 角張 孝子  支援技術の意義とその在り方に関する研究


==================== 以下,論文要旨 ===================

宮口 あすか
公共交通機関の利用状況実態調査とより良い環境への提案に関する研究

 私たちが当たり前に行っている「外出」は人が社会的活動へ参加するために必要な行為であり,人が生活するためには地域の中で如何に暮らすかが重要である.一方2000年に障害当事者参画型の「交通バリアフリー法」が施行された.これにより「移動する」という行為はどのように改善したのか,より快適な「移動」にはどのような要素が必要なのか,駅に着眼し調べたいと考えた.研究では「移動経路」「設備」「案内情報」の3つの視点から実態調査を行い,過去と現在の比較を行った.また障害のある人へのインタビューと通勤の同行をし,生の声を聴取した.これらの結果,どの駅も「設備」「案内情報」では改善がみられたが,さらに障害当事者へのきめ細かな配慮が必要であることがわかった.そのためには障害当事者参加が重要であり,設計段階から参加することが大切ではないかと考える.また障害の偏りを防ぐために,障害当事者と建設家や鉄道会社の2者に加え,中間ユーザー(OT,PT,ヘルパーなど)の存在も必要であるのではないか.これにより,広い視点で「移動」を考える事が出来,より快適な移動の獲得につながるのではないか.更にこの状況は障害を持たない人々にも便利で快適に利用できる環境となるのではないか.すなわちユニバーサルデザインの実現につながるのではないかと考える.

萬屋 京典
コミュニケーション支援機器に対するユーザビリティ評価に関する研究
 コミュニケーションは人と人とが関わりを持つ上で必要不可欠である.しかし,何らかの障害によりコミュニケーションが困難となる人がいる.その様な人々を支援するための一手段としてコミュニケーション支援機器がある.コミュニケーション支援機器の使い易さはその機器の理解性や操作性など様々な要素によって決まる.そして,それを提供する側(設計者)と使用する側(利用者)の間には操作におけるイメージが存在する.それが一致する場合もあるが,一致しない場合はコミュニケーション支援機器の使い難さや誤操作に繋がる.
 今回,ユーザビリティ評価として
NEMNovice Expert ratio Method)を導入し,熟練者と初心者の操作時間からNE比を求める事でコミュニケーション支援ソフトの操作上の問題点を明らかにする.更に,対象者に対し操作時におけるエラー数測定,5段階評価と自由記載におけるアンケートを行い,その使い勝手を調べる.対象ソフトは星城大学で独自開発されたイージーコム入力法を用いる.
結果は
NEMを導入する事でイージーコム入力法が有する問題点や改善の為の課題が明らかになった.一方で,エラー数やアンケートから問題点の裏付けとなる結果が得られた.本研究実施によりソフトをより使い易くする為,概念モデルに生じる差を問題点として捉え,開発者への改善策提案や初心者に対して問題箇所の重点的な説明や訓練が出来ると考える.

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中島  楓
コミュニケーション支援機器に対するユーザビリティ評価に関する研究

 コミュニケーションは人と人が関わりを持つ上で必要不可欠である.しかし,何らかの障害によりそれが困難な人がいる.一方で,電子技術を用いた障害のある人々のためのコミュニケーション機器が開発され実用に供されている.そこで両者の関係の実態について調べたいと考えた.コミュニケーションエイドの文字入力法として,一般的なオートスキャン入力法と独自開発によるイージーコム入力法があり,この二つの異なる文字入力法の比較・検討を行った.被験者に対して,入力操作時間とエラー数の測定, 5段階評価と自由記載におけるアンケートを行った.また,それらを基に使い勝手に関する評価(ユーザビリティ評価)を行った.結果は,オートスキャンは操作方法が分かりやすいが,機械のペースに合わせて入力しなければならないという点が挙げられた.一方,イージーコムは,入力方法に慣れるまでに少々時間がかかるが,慣れると自分のペースで行えるという利点があることがわかった.これより,オートスキャンはスキャン速度を自分で調節できないため心理的に負担を与え,イージーコムは自分のタイミングでカーソルを動かせるため心理的ストレスが少ないことが考えられる.ユーザビリティ評価は全体的にイージーコムの方が良い結果が得られた.しかし実際の支援の場においては,個々人の障害特性や本人の好みは異なるので,利用者にとって最適なものを選択することが重要である.

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角張 孝子
支援技術の意義とその在り方に関する研究
 支援技術(
Assistive Technology;以下,AT)は,障害のある人々やその家族,生活支援を担う人々の間で注目を集めている.現在,作業療法士(以下,OT)の間でもその利活用に対する関心が高まっている.
 過去4年間,
ATを多面的に学んできた経験から,AT提供にどのような支援者が関与しているのか,ATがどのように活用されているのか,課題は何なのかを知りたいと考えた.今回,人と人との関係を築く上で重要なコミュニケーションに焦点を当て,AT支援場面への同行と操作スイッチ試作・提供の実施を通して,その過程を詳細に観察し,記録を行った.その上で,利用者やその家族にとってのATの意義とは何か,生活支援現場で働くOTATに関する知識・技術をどの程度有しているのか,今後,ATに関してどのような役割を担うべきなのかについて考察した.
 研究の結果,
ATは生活支援の現場に十分に行き渡っておらず,生活支援に携わる人の中には興味を持っているが,どう取り組んでいいか分からない場合があること,一度ATを経験した支援者はATの重要性に気づきATをさらに活用したいと考えていることが分かった.将来,OTをはじめとしたセラピストがATの伝導役として他職種(医師,看護師,理学療法士,ケースワーカ,リハビリテーション・エンジニアなど)と連携し,ATサービスが提供可能な地域ネットワークを構築する必要があるという結論に至った.