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【早稲田の再生を目指す会−−プロフィール】

ご挨拶

「早稲田の再生を目指す会」のホームページ立ち上げに寄せて

早稲田の再生を目指す会
                        代表   石川 正興
(法学学術院・法務研究科教授)

 本日、「早稲田の再生を目指す会」のホームページを立ち上げることになりました。それに寄せ、ご挨拶を申し述べさせて頂きたいと思います。

 私たちの会は、6月27日に開催された「研究費不正受給問題等の公正・適正な真相究明を求め、早稲田大学の再生を目指す教職員有志」の集会に端を発します。
 一部の人は、この集会を総長選挙運動の隠れ蓑に使ったと非難しました。これに対し、私は集会の席上で、今私たちの身近で起っていることは総長選挙という次元を超えた「早稲田における戦後最大の危機」である、と述べました。
 私たち教職員有志のこの認識は、総長選挙が終了した今でも変わりありません。しかし、集会の際に用いた会の名称が余りにも長すぎ、自分たちでさえ覚えきれないほどでした。そこで、総長選挙の終了を機に、「早稲田の再生を目指す会」という覚えやすい名称に変えました。

 このように、名称は変えましたが、「思い」と「志」に変わりはありません。

 総長・理事会は4月の段階で公的研究費不正流用疑惑を知っていたにもかかわらず、そのことを文部科学省に届け出ず、5月17日にマスコミ数社と独立行政法人科学技術振興機構(JST)に内部告発があった後の5月末になって漸く文部科学省に報告したとのことでした。

 私たちは、第一に、こうした総長・理事会の初期対応のまずさが、早稲田大学のみならず他大学にも及ぶ科学技術振興調整費の交付凍結、さらには早稲田大学に対する文部科学省の立ち入り調査(6月26日)や新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の立ち入り調査(7月6日)という深刻な事態を招いたと考えています。
 とりわけ公的機関による立ち入り調査は、早稲田大学の調査能力に対する否定的評価の結果であり、これによって総長・理事会は早稲田建学の精神である「学問の独立」を自ら脅かしてしまった、と私たちは受け止めています。
 
 第二に、私たちは、逢坂哲彌教授に対する研究推進部長職解任の処分を重大な人権侵害であると捉えています。
 6月23日に公表された調査委員会報告によれば、「研究推進部長は、一般的な相談と受け止め正式な報告とは認識せず、結果として、大学本部および文部科学省、経済産業省等に対する報告はここで途絶えた」(調査委員会報告4頁)と認定されています。
 しかし、その認定事実が虚偽であるとともに、事実認定方法にも重大な瑕疵があったとことは、逢坂教授が再三再四総長・理事会に訴え続けてきたことです。
 これに対して、総長・理事会は、「関係省庁への報告が行われなかったという過失を招いた原因と責任の所在について、一層明確に事実関係を確認し、」(調査委員会報告5頁)とされていたにもかかわらず、「一層明確な事実関係の確認作業」をした形跡も無く、6月28日に突然逢坂教授の解任処分等を公表したのでした。
 この処分の不当性についても、逢坂教授は数度にわたって総長・理事会に訴えてきました。

 私事にわたって恐縮ですが、私は、学生部長であった当時、革マル系の学生集団に対して「評価を急ぐあまり、事実認定を曖昧にしてはいけない」と度々諭してきました。
 とくに商学部教授会の自治会公認取消決定(1994年)に反発した革マル系の学生集団が、当時の商学部長に対し曖昧な事実認定に基づいて重大な人権侵害を犯したときに、私は彼らによる「吊るし上げ」の状態の中で、事実認定の重要性と人権侵害の不当性を訴え続けました。
 白井総長は当時教務部長として私のこの行動に共鳴し支援してくれたのですが、総長には今一度当時のことを思い出し、逢坂教授に対する処分を撤回したうえで、公正な調査委員会の下での適正な事実調査を行っていただきたいと思います。

 以上に述べましたように、私たちは、「学問の独立」に対する重大な危機を憂い、人権侵害に抗議するために、「早稲田の再生を目指す会」のホームページを立ち上げました。

 今後、私たちは、「公的研究費不正流用事件と大学理事会の対応」に関し可能な限り正確な情報を皆様に提供いたしますとともに、戦後最大の危機を克服して早稲田を再生させる道筋を皆様と一緒になって考えてまいりたいと存じます。

ご協力のほど、お願い申し上げます。

(2006年7月15日記)