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【FAQ(よくある質問)】

最終更新日:2006年7月23日
目次
【Q1】 なぜ今回の事件が、早稲田大学にとって「戦後最大の危機」なのですか?
【Q2】 「リスク管理委員会」とは何ですか?

QUESTION ANSWER

【Q1】なぜ今回の事件が、早稲田大学にとって「戦後最大の危機」なのですか?

2006年6月26日、文部科学省は松本教授による科学技術振興調整費の不正疑惑に関して早稲田大学本部事務棟に立ち入り調査するとともに、7月から配分される予定の科学技術振興調整費13億円の交付を凍結すると発表しました。

次いで、7月6日には、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が松本教授に交付した公的研究費の不正疑惑に関して立ち入り調査に入り、同調査は7月20日現在もなお続行しております。

こうした公的機関による立ち入り調査は、とりわけ「学問の独立」を建学精神としている早稲田大学にとってはまさに「前代未聞の不名誉な出来事」であり、「戦後最大の危機」だと考えます。

***

では、公的機関による立ち入り調査という早稲田にとって不名誉な事態が、何故生じてしまったのでしょうか?この不名誉な事態を回避することは、不可能だったのでしょうか?
 
上記二つの公的研究費は文科省や経産省と大学との間の委託契約に基づいて大学に交付されているものであり、不正使用の疑惑が発覚すれば大学は速やかに調査に着手するとともに、そのことを委託元の省庁に報告することが求められています。

白井総長と理事会が松本教授による研究費不正疑惑を正式に認知したとされるのが4月17日ですから、その時点で速やかに総長・理事会が文科省やNEDOに不正疑惑を伝えるとともに、理事会から独立した公正な調査機関を設置し厳正な調査を行うという選択肢を選ぶべきだったのです。

4月17日は総長選挙に関する推薦委員会の発足が間近だったとはいえ、選挙を一時先延ばしにしてでも、総長・理事会は不正疑惑解明のための全学的体制を整え、厳正な調査を行うという選択肢を選ぶべきだったのです。

総長・理事会のこうした選択の誤りが、公的機関による立ち入り調査という早稲田大学にとって最悪の事態を引き起こしてしまった、と私たちは考えます。

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【Q2】 「リスク管理委員会」とは何ですか?
2006年1月20日に施行された「リスク管理委員会規程」(以下では、「規程」と呼びます)に基づいて設置された、総務担当常任理事を委員長とする早稲田大学の内部組織です。

この「規程」によりますと、「リスク管理委員会」は、

「大学の安定的発展および価値の向上を図るため、大学における教育研究活動、法人の管理運営または学生および教職員その他の大学の構成員に負の影響を及ぼす可能性のある様々なリスクについて、適正に管理し、その対応策を実施する活動(以下「リスク管理」という。)を推進および統括することを目的」(第1条)

とする組織です。

 「規程」で述べられている緊急事態(リスクの顕在化)が発生したときには、「緊急事態発生時の対策委員会設置要綱」(以下では、「要綱」と呼びます)に基づいて、リスク管理委員会委員長(総務担当常任理事)を本部長とする対策本部が設置されることになっています。

また、この「要綱」では、必要に応じて調査委員会を設置することができると規定されています。調査委員会の構成や運営の大枠は、「調査委員会設置要領」に規定されています。

 今回の松本教授の疑惑等に対する調査委員会は、この「リスク管理委員会規程」、「緊急事態発生時の対策委員会設置要綱」および「調査委員会設置要領」に基づいて設置されました。

ところで、「規定」等に基づく対策本部等は、「緊急事態が発生した場合に、(大学やその構成員の)被害を最小限とするため」(「要綱」第1条、なお()内と下線は引用者による)に設置されるものです。つまり、それらはあくまでも大学とその構成員の利益を確保するために設置されたものなのです。

それに対して、今回の研究費流用問題は税金を原資とする研究費が不正に使用されたという疑惑ですから、この事件の「被害者」をあえてあげよと言われれば、それは「納税者」(究極的には「社会全体」)だということになります。

一般論として言えば、「納税者」と「大学および構成員」の利害は一致するとは限りません。したがって、今回のような事態に「リスク管理委員会規程」等で対処することの妥当性には疑問の余地があります。つまり、「リスク管理委員会規程」等に基づいて設置された調査委員会では、社会および納税者に対する説明責任を果たせない可能性があるのです。

本来ならば、総長・理事会は、このような事態が生じる潜在的な可能性を認識した上で、社会に対する適切妥当な説明責任を果たしうる独立した調査委員会等の設置規程をあらかじめ整備しておくべきだった、と言えるでしょう。

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今後も随時Q&Aを増やしていく予定です。