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2004年度

文学とジェンダー前期第二回


「女の子」という生き方 ― 金子みすずの童謡から考える ―

 

  

今週のおすすめ
 
  劇団黒テントの公演  

 

 
(1) 金子みすヾの童謡を聴く
(2) 童謡というメディア
(3) 「女の子」という生き方



(1) 金子みすヾの童謡を聴く

「私と小鳥と鈴と」を4つのバージョンで聴いてみる

「みんなちがって、みんないい」

   というメッセージを教室で受け取るために……

  大越和孝『金子みすヾの授業化』(1994、明治図書)を考察する

みんなで/男女別で、音読するというという方法が適切か
(参考:矢崎節夫「子どもたちの心をとらえる詩」、同上所収)

メッセージを受け止めるために、わたしたちはどのように読むか


金子みすヾの童謡詩集……

残された手稿は、

『美しい町』(収録作品数172、うち活字になったもの46)

『空のかあさま』(収録作品数178、うち活字になったもの34)

『さみしい王女』(収録作品数155、うち活字になったもの8)
(ちなみに、「私と小鳥と鈴と」は、『さみしい王女』に収録された未発表作品である。)
のち、矢崎節夫の尽力により、1984年にJULA出版局より『金子みすヾ全集』として刊行される。



(2) 童謡というメディア

「ファザー・グース」の時代……

近代化の大きな柱である教育において、情操教育のために、明治時代以降、小学校の音楽教育に「唱歌」が導入された。しかしそれは、学童がうたうことを目的としたものではあったが、かたくるしい内容の歌が多く、子供の側にたった、たのしい歌は少なかった。このような唱歌に対抗して、大正デモクラシーを背景におこったのが、「童謡運動」である。

 大正時代中期には、童謡雑誌が続々、創刊される。

 1919(大7)年に『赤い鳥』(童謡欄の担当は北原白秋)、1920年には『金の船』(後に『金の星』)(童謡欄の担当は野口雨情)、『童話』(童謡欄の担当は西條八十)が創刊され、全国各地から投稿が寄せられるようになる。北原・野口・西條らは、自身の作品を発表すると同時に、投稿者たちの作品にコメントすることで、あるべき童謡の方向性を指し示して行った。日本の童謡は「マ ザー・グース」ならぬ「ファザー・グース」として出発したと言われる所以がここにある。

『赤い鳥』……

大正〜昭和初期の児童文芸雑誌。1918年(大正7)、作家の鈴木三重吉によって創刊された。当時の子供向けの読み物はあまりにも低俗だと考えた三重吉が、「芸術として真価ある純麗な童話と童謡を創作する最初の文学的運動」としてはじめたもの。
作家の島崎藤村、有島武郎、芥川竜之介、菊池寛、宇野浩二、小川未明ら、詩人の北原白秋、西条八十、野口雨情ら当時一流の文学者たちが参加して、創作読み物や海外の児童文学の翻訳、学校の唱歌とはことなるたのしい童謡を生みだした。

参考作品「この道」鮫島有美子(ソプラノ)ヘルムート・ドイチェ(ピアノ)
「日本のうた/鮫島有美子」日本コロムビア

金子みすヾと童謡………

自身の青春期と日本の童謡の青春期とが重なった幸福
(→配布した年譜を参照のこと)

「私はひとりじゃない」という手応え

表現することを封じられる苦しみ

語り聞かせの相手としての子ども
子どもの語りを発見する驚き




(3) 「女の子」という生き方

ふたたび、金子みすヾの童謡を聴く……

「女の子」、「男の子なら」を2パターンで聴く(REALPLAYERが必要です)

◎「女の子」

その1

その2
◎「男の子なら」

その1

その2


子どもを育てる

社会に通用する女あるいは男に仕立て上げるという側面

家庭で女の子らしく/男の子らしくという教育が施され、
学校で男女別のさまざまなカリキュラムが用意される

関係の編みなおしや自己像の選びなおしが困難になる

娘が母になるとき呪縛され勝ちな、母性神話

究極の母性の体現者として「金子みすヾ」を捉えることの問題性
(参考:詩と試論の会編『金子みすヾ永遠の母性』2001、勉誠社)


みすヾ「女の子」・「男の子なら」が教えてくれること……

母性神話……

女性には子どもを愛し育てようとする性質(母性)が本能的に備わっているという考え方。これを「神話」と呼ぶのは、母親の子どもに対する態度が本能ではなく、歴史や社会によって作られたものであり、この「神話」自体が近代になって登場したものであることを明らかにするためである。なかでも「三歳児神話」(三歳までは母親が育児に専念すべき)は、いまなお女性の生き方に大きな影響力を持っている。

参考:E・バダンテール『母性という神話』1991、筑摩書房    
   大日向雅美『母性愛神話の罠』2000、日本評論社

女性ジェンダー(男性ジェンダー)に矯正される体験を経ること/
男性ジェンダー(女性ジェンダー)をフィクションのなかで生きてみること

双方を経験することが人間としての想像力を養う出発点になる

関係の編みなおしや自己像の選びなおしをする

ジェンダー・フリー教育の課題

 

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