イマドキの若い衆、天栄村に出会う(岡部農園草取り体験記)

(2015年6月20~21日、2015年7月11~12日  開催)

金井景子の大好きな人たちと湯本での楽しいひとときを過ごし、植えた稲がおいしくおがるようにと草取りブートキャンプに励むツアー

はじめに
 若い人たちを、「田植え」に引き続いて「草取り」に誘ってみた。
 6月21日(日)と、7月12日(日)の二日に分けて参加者を募ったのであるが、暑い時だし、作業は泥の中でずっと中腰なので、果たして挑戦しようという元気な連中はいるものかと、少々不安であった。しかし、私の不安は快く裏切られて、高校生から社会人まで、のべ20人近くのメンバーが集まった。岡部農園の「原点の田んぼ」(20年以上にわたって有機無農薬栽培、人の手で田植え、草取り、稲刈りを行っている田んぼ)は、彼らに、一生忘れられない経験をプレゼントしてくれた。
 田植えの時には、「何でもいいから、感想を残そう!」と呼びかけて、一冊の冊子(『早稲田の連中、天栄村に出会うー田植え編』)が出来た。お世話になった天栄米栽培研究会の皆さんに読んでいただこうと、事務局長の吉成邦市さんの、役場のデスク宛にまとめて送らせていただいたのだが、後で吉成さんから叱られた。「何がきたのかな?」と手にとって読み始めたら、仕事中に涙が止まらなくなって困った、ということだった。あんなの、役場にいきなり送らないでよと叱られて、少し嬉しかった。
(「なになに、読んでみようじゃないの」と関心を寄せていただけたら、「天栄村元気プロジェクト」HP内の「岡部農園田植え体験記」にアクセスしてください。全文、アップしてあります。)
 私が声を掛けている若い人たちの多くは、「国語」や「文学」の先生を目指している。文章を書くのは、同年代の人たちに比べて、苦手意識が少ないかもしれない。そこで、「草取り」編に関しては、ジャンケンをして、ジャンルを選んで文章を書いてもらうことにした。帰り道の、天栄ワゴンの中で、「勝った!よっしゃー!!」「わー、どうしよう、無理?」と歓声をあげながら、俳句・短歌・詩・小説・日記・書簡・対談・戯曲・随筆・評論と、それそれが選んで、奮闘してくれた。
 何にもないところで書けと言われたら、尻込みしてしまうかもしれない、こうした挑戦を、彼らが四苦八苦しながらもやり遂げたのは、何と言っても「天栄村での草取り」という経験の力であると思う。
 特別編として、大学三年生4人が協力して作成した雑草をめぐるプレゼンテーションも収録した。どんな時も、愉快なところに、人は集う。

 

タイムスケジュール(2015年7月11~12日

2日目
06:00 起床
06:30 朝食
07:20 岡部農園に向けて出発
08:00 岡部農園農業体験
   ・田んぼの草取り
   ・草刈機体験 
     (希望者のみで、必ず農家さんと2人1組)
12:00 前野さん宅に移動
    →こちらでお着替え
12:30 昼食
    →昼食をいただきながら、村に移住された前野さ
      んのお話を聞く
14:00 吉成農園農業体験
   ・紙マルチ、田植え農法の学び
15:00 道の駅李の里天栄へ移動
   ・アンケート記入
   ・感想発表
16:30 農産物直売所見学 
17:00 天栄村出発
17:30 観音湯にて入浴
21:00 新宿センタービル到着
~帰るまでがブートキャンプです(^^)~

※大場黎亜さん作成のツアーしおりより引用いたしました
1日目
13:30 天栄ワゴン、新宿センタービル前出発   
★バスの中のオリエンテーションプログラム★
 ・自己紹介
 ・金井先生のお話
 ・天栄村栽培研究会の取り組み紹介(DVD)
 ・その他諸注意
17:00 天栄村到着
    ・村内周遊
18:30 岩瀬湯本温泉「源泉亭 湯口屋」着
    →ちょっと急がねばだけどお風呂!
19:00 交流会スタート
    ・天栄村の復興と再生の取り組みについて
      天栄米栽培研究会
       会長 岡部政行氏
       事務局長 吉成邦市氏
       会員 清水栄一氏

20:00 ホタルの観察
    →星 昇氏とご一緒に!
21:00 学生達からの発表会
    →よろしくお願いします!
★。*.適宜各自就寝.*。★



 

             

★小須田真輝インストラクターによる「田んぼ体操」の実演とみんなでの練習!
★ランチは天栄米の米粉を使ったバンズ「天栄バーガー」!
★今回も帰りには観音湯さんに寄ってお風呂で疲れを癒やしてから帰路につきます!

ツアーのポイント

やっぱり、「出会う
今回のツアー参加者、天栄村で出会う方々とぜひお友達になってください。現地に行っていただきたい一番の理由は、「人」なのです。
「植える」から「育む」へ
前回のツアーでは、田植え体験を通じて、天栄村の取り組みや米作りについて理解を深めてきました。今回は途中過程の「草取り」体験をしていただきます!美味しいお米が出来るように、一緒に育みましょう!
そしてまた「食べる
「お米の金賞」「天栄米は美味しい」そう言われても・・・というあなた、食べれば分かります!すでにリピーターの皆さんは、それがお目当てですもんね!笑
一番大事なのは、「想う」
「学ぶ」ではなく「想う」。このツアーをきっかけに、被災地もそうですが、自分の故郷や大切な人、未来・・・何かを「想う」きっかけになれば幸いです。

  
   




 

 





雑草という名の草はない」という言葉から始まったプロジェクト
      ――「○○familyのイキイキプロジェクト」について――
                               解説:金井景子

 昨年は草取りをするとき、「これが何という名前の草なのか」などと考えもせず、ただ必死に稲以外の植物を抜いていたのだが、社会人の田んぼ仲間である舞木ちひろさんから、柳宗民『雑草ノオト』(2002)に「雑草という名の草はない」という言葉がありますねと聞いてから、気になって仕方がなくなった。
 わたしたちが抜いている草たちは、何と言う名前の草なのか。
 そこで、草取り第一陣に参加した佐久間くんと八尋さんに、抜いた草を大学に持ち帰るよう依頼し、第二陣に参加する高橋さんと長谷川さんらと協力して押し花を作成して、その名前を突き止めるプロジェクトを開始したのである。
 いざ、始めてみるとこれがけっこう大変で、植物がまだ生育途中で、葉や花がはっきりしていないと、名前を突き止めるのは案外困難なのである。
 連中の興味はそこから、どんどん広がって、
「除草剤って、なんで稲に効かずに、やっつけたい草にだけ効くんだろう?」
「昔の人たちは、学名を知っているわけじゃないから、自分たちで名づけをしたんだよね?」
「たとえば、これらの草に、自分たちで名づけをするとしたら、何ていう名前にする?」
と、どんどん脱線して、ご覧のようなプレゼンテーションになったという訳である。
 これが、理系のプロジェクトならば零点かもしれないが、私は、『面白いこと、考えるなあ!』と嬉しくなった。
 「短歌」の項目で、青木さんが作った、

この花はキャサリンこれはジョセフィーヌ名付けし草の土に還りぬ

という歌は、みんなで抜いた草に、思い思いの固草名を付けていたときのことを歌ったものである。白や薄紫の、可憐な花を幾つも付けた草は、むろん学名があるはずだが、7月12日の福島県岩瀬郡天栄村の岡部農園では、確かに「キャサリン」であり「ジョセフィーヌ」であった。
 それ以後、わたしたちの中で、「雑草」は、存在しなくなったのである!

終わりの挨拶に代えて
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
「学生たちにばかり書かせて、自分はどうなの?」と自問自答して、「草取り」のその後を描いた駄文を、最後に添えることにします。
 愛してやまない、あの天栄村の田んぼの風景に、「わたし」や「あなた」が登場人物として、何時までも関わっていられますように!

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「今年も稲の開花、見てきました!」

 16日、9:30、天栄村の気温は25度。曇っていた空が嘘みたいに晴れて、今年も稲の開花、見ることができました。先週、「出穂している」と聞いたときからソワソワしていたのですが、岡部農園の原点の田んぼ(20年以上前から有機、無農薬、手植え、手で草取り、手刈り)の稲たち、生まれたての穂先にしっかりひっそり、花をつけていました。
「ありがとう」と「こんにちは」と「ようこそ」が一緒くたになったような気持ちで、じっと眺めると、もうめんこいこと!
 開花の時は、草いきれの匂いが、ご飯を炊いた時のような、体の芯が緩むような匂いになります。青臭い匂いじゃないんだなあ。稲と同じ目の高さにしゃがんで、くんくん匂いを嗅いでいると、足元には、取りきれなかった草たちが、これまた開花していました。
 去年は雑草を見ると残念な気持ちしかしなかったけれど、今年は、そのしぶとさと花の可愛さに、しばし見入ってしまいました。はびこられるのは困るけど、こっちの花もやっぱりめんこい。
 去年一昨年に比べて、背の高いヒエは格段に少なくなって、草取りメンバーの皆さんのご尽力に、ただただ感謝です!
 再生水田の酒米「夢の香」たちは、開花を一足先に済ませて、穂には実がみっちり入り始めていました。
 再生水田には近年、イノシシが出没して稲を食い荒らすこともあるとのこと(なんと、しゃーっと器用に稲穂を口でしごいて食べるんだそうです)で、イノシシ除けの電線が張り巡らされいるのですが、その電線に向かって、「よろしくお願いします」と言っている自分がいて、ビックリでした。
 去年は穂先にばかり目が行きましたが、今年はその穂先を支える株元の分蘖の様子にも注目しました。がっちりしていると土から養分をぐんぐん吸っているのがよくわかります。
一緒に巡って下さった岡部さんに、
「なんだかもう、嬉しくってしょうがないです!」
と言ったら、
「俺も嬉しくなってきました!」
とガッツポーズをしてくださいました。
 岡部さん、ありがとうございました。
 今回は、午後に東京で用事があって、村滞在時間1時間半という、弾丸ツアーでしたが、帰りの新幹線の中で、稲穂たちを思い浮かべては、ずっとニコニコしていました。

(金井景子)