【日記】 帰る場所/髙橋 絢菜

 7月11日、12日。私は天栄村で『帰る場所』をもらった。
 天栄村に着いてから、美味しいご飯に美味しいお酒に囲まれて、「子供を育てるように愛情をこめている」とお話してくださったお仕事への誇りに触れて。いつもふざけて一緒にテレビを見て、お菓子を食べている姿しか浮かばないけど、私の父もこうして仕事に誇りを持って、汗水たらして私を大学まで通わせてくれているのかと思うと、少し泣けてきた。
 満天の星空にヘイケボタル。蛙の大合唱。お部屋に戻った後に出てきた、天栄米のおにぎりを「待ってました!」と、お風呂に入る足を止めて夢中で食べたこと。翌日の草取りで草に名前をつけながら、バイバイ、とたくさん抜いたこと。四回も手足が田んぼにはまったけれど、お尻はつかなかったこと。草を刈る機械も使わせてもらって、足腰も頭もたくさん使ったこと。草取りの合間に、田んぼの横で食べるサイダーとおまんじゅう、漬物の格別さ。お風呂の後の天栄米バーガー。帰り際にいただいた星の写真。
 全てが楽しくて、息をたくさん吸いこんで、自然と笑みがこぼれて、ワクワクして、それでいて嬉しくて泣きそうで。もっと田んぼのことも、天栄村のことも、知りたくなった。そして、東京に帰って、これから私は何が出来るだろう。今の自分の持っているもの、できること、小さくてもいいから大事にしていきたい、そう思った。
 この2日間で知った、東京生まれの私の第二の『帰る場所』。大げさかもしれないけれど、友達の使う『帰省』の響きに憧れていた私が、「来たい時はいつでも連絡くれたら迎えに行くよ」と言ってくれる人に出会えるなんて。その言葉がここまでずっと胸に刺さるなんて。図々しくもこの言葉を使わせていただくならば、私のはじめての『帰省』は、帰らなきゃいけない寂しさも、いつでも帰って来れる、待っていてくれる人々のいる温かさも知った、胸がいっぱいで、少し甘酸っぱい二日間だった。

   
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