気付けない、優しさ

人物…吉成 沙也佳さん 文責…川辺 舞 菅野 啓太)

 当たり前のように冗談を言い合い、笑っている。当然のことである。また誰にも一つは心に傷があり、不安なことがあ
る。これも当然のことである。しかし時にこれらのような当たり前のことを生活の中で忘れてしまうこともある。これもまた当然ことなのかもしれない。
 「おじぃちゃんおばぁちゃんって本当に可愛い。」吉成沙也佳さんはこの話になると彼らへの愛情が止まらない。彼女
は福島県の復興公営住宅の管理などの非営利活動を勤めていて、放射能から避難したお年寄りと毎日接していた。
 吉成さんはこう続けた。「アパートを点検として回るのだけど、みんな私たちが来ると喜んで家に上げようとして・・・『時間がないんだよね。』と答えると、『じゃあ明日からうちを最後に点検しに来なさいよ』って無茶を言うのよ。人と喋ることが大好きで冗談言いあってゲラゲラ笑い合うんだから。それで部屋出る時に鶴の折り紙くれるんだよね。その折り紙がバラバラな色の配色で折られていて、私は可愛いなぁって思うんだよね。やっぱり見えやすいような濃い色が好きになるのかな。」吉成さんの「避難者」としてではなく「おじぃちゃんおばぁちゃん」としての愛情を熱く語る姿が印象深かった。
 東日本大震災から四年経った年の十月に私は原発事故から少しでも復興の助力になれたら、と意気込んで天栄村ツアーに参加した。頭のどこか奥底で「被災者の人らは見えない放射能に恐れる生活を突然送らされて辛い思いをしてる。」
と無意識に想像していた。
 しかし吉成さんとの出会いで私の想像は固定概念であったことに気づかされる。福島に住んでいる皆さんは決して「辛
い思いをしている被災者」ではなく、当然のように逞しく生きている素敵な方々であった。
 半年後に社会人になる私は彼らの生命力溢れる姿を知らない人らに伝えて広めたい。それが当たり前のことを気づかせ
てもらえた今回の恩返しであると考える。

   
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