和田正博(わだ まさひろ)さん  
米農家、天栄米栽培研究会会員

:お名前とご年齢を教えてください。
:和田正博、65歳になったばかりです。
:農家になられたきっかけは?
:うちは代々、ずっと農業をやっているので、小さい頃から農業をやらなくちゃならないっていう使命感みたいのがありましたね。農業高校を卒業しまして、18歳からずっと農業やっています。
:米を作る上で一番大事にしているところをお聞かせください。
:一番は「安全な米作り」です。二番目、「美味しいお米作り」をしたいなと思っています。いつもそのことには気を付けています。
:具体的に気を付けておられることがありますか?
:具体的な面では肥料を一番吟味しています。50%以上有機的な肥料を使用しています。取り組み始めて、もう20年近くなるんですけど、有機栽培、当初は3人くらいで始めたんですよ。いま、天栄米栽培研究会の会長している岡部くんらと一緒に始めたのがきっかけで、なるべく有機栽培を根底にしてやりたいっていうのが本来のねらいです。それから、次には水加減です。常に田んぼの水加減を充実させて、米作りをやっています。
:お米作りで一番楽しいところって何ですか?
:自分の作った米を、直接消費者の方たちに販売するようになってから、約15、6年になります。それまでは農協や業者を通じての販売が、パーセンテージ的に多かったんですけど、直販にして消費者の声を聞くようになってからは、やっぱり「美味しい」って声を聞くのが一番嬉しいですね。お米が獲れた、収穫の喜びの後に、お客さんに届けて、それから「美味しかったよ」と言われることが一番うれしいとになりました。それが一番何よりのご馳走です、私らの。
:お米作りにはつらいこともありますよね。
:どんなにつらくても、収穫の喜びを目前にしたら、別になんとも思わないもんですよ。例えば肥料、この時に、この時期に、肥料の加減によっては秋のイメージが自分の脳裏に浮かぶんですよね。黄金色に輝く稲穂みたいのが、ああなんだろうなっていう、それを目標に楽しみながらやっています。
:3.11以後何か心に期して取り組んでおられることは?
:村の方の産業課事務局の吉成さんの方からのアドバイスもあり、あるいは我々皆、天栄米のグループの皆さんとお話しながら、そういったものに関して復習しながら、皆してそれに沿ったやり方でということでやってます。
 当初はね…、まあ実感としてはパッとはイメージが湧かなかったんですけど、どこまで被曝される範囲が来るかも知らなかった状態ですから、ただ後からの、アメリカあたりからの情報などをちょっと聞くところによると80km圏内は逃げた方がいいんじゃないかっていう中での話でしたから、その不安はありました。今まで培ってきた土壌とか、そういうものはいったいどうなるのか。怒りとか憤慨とかいうものが、まずは脳裏に浮かびましたね。
:続けることが大前提でしたか?
:我々岡部会長を筆頭にしまして、何回も会議を重ねてました。その中でやっぱり有機的なものあるいは無農薬的なもので天栄米を育ててきたんですが、その努力をこれで覆されることは、やっぱり、私らも全てが失われたって感じになりました。そこで皆から上がった声は、やっぱりこんなことに屈せず、やり続けることが最終的に大切じゃないかと。それが惰性に流れて、じゃあやめておこうとそれで終われば、それきりになる。後戻りができない形で続けて行くってことが、一番先決なんじゃないかってことを、私は思って言いました。それに沿って、皆協力っていうか、意見が統一しました。嬉しかったですね。
:栽培研究会の魅力、あるいは入って良かったってところのポイントをお願いします。
:皆同志のもので、残ったものは、ずっとこう続いている会でありまして、まあ兄弟的な存在っていうか、何をつけても全てがお話しできる仲間であるっていうこと。そういう苦労も喜びも共に分かち合えるっていうのが一番大切です。喜びとしてます。
:どんなことを栽培研究会のメンバーでしゃべっている時が楽しいですか?
:栽培している時の結果的なものが出た時ですか。あるいはやっているうちに、色々検討しているうちの話だと、やっぱり共通している面があって。大変な時に支えられるその言葉が、皆から言われる、それに沿った自分だけではできないものが、皆さんにはある、そして一人一人が良いあれがありますんで、それが一番楽しいっていうか、仲間だなって感じがしますね。
:他の方が大会で金賞をとったとかなると、やはり気になりますか?
:それは常にありますよ。どこがどう、違ったのかなってね。同じレベル、土俵の上に立って、片や同じ肥料を使っている面もありますでしょうし、その中でやはり、どうしてなのかなっていうね。田んぼ、同じ場所で今年は賞をとったからっていっても、来年はそうじゃない。同じ場所でやっても、点数が上がらないっていう面もあるんですよ。時節にも、手加減さじ加減の微妙なところで点数が違うもんだから、来年ぜひとりたいっていうのは、メンバーなら皆、あるでしょう。そういう意気込みを感じるから嬉しいですね。
:では最後に天栄米に一番合うおかず、教えてください。
:そりゃ、絶対に漬物が合います。ヤーコンの漬物か、あるいはたくあんでもいいし、梅干しでもいいし。私は漬物さえあれば、いくらでも食べられるなあ。天栄米は、むしろ簡素なおかずの方が合うっていうか、それほど米自体が美味しいじゃないかと自負しています。(2015年3月4日取材)