2004年度 よむよむ座 後期第二回
 
地域のことばの魅力――太宰治と津軽弁

パフォーマーと演目の解説


演者紹介:


小林保治

早稲田大学教育学部国語国文学科教授。中世文学。

演目:
太宰治「雀っ子」、宮沢賢治「永訣の朝」、高木恭造「日コアダネ村」

演者および演目について:

 小林先生は青森県の津軽のご出身です。日ごろは中世文学をご専門に教鞭をとっておられますが、ご自身のふるさと・津軽のことばを大切にされており、お若いころから、さまざまな高校で地域のことばに眼差しを向ける授業を展開してこられました。
 今回は東北弁の温かさ、力強さ、ユーモアが光る、上記の三作品(太宰治=青森県金木町出身、宮沢賢治=岩手県花巻市出身、高木恭造=青森県今別町出身)を、朗読してくださいます。

小林先生のことば:

 賢治の「永訣の朝」は教科書教材としてほとんどの人たちが出会ってきていると思いますが、ことばの響きとして、あの東北のことばの持つ魅力を味わってほしいなあと思いますね。授業で長岡輝子さんのCDを聴いたりする機会があったでしょうか。
 高木恭造さんは地元に根を下ろして素晴らしい詩を作り続けた詩人ですが、彼の詩には青森のことばの哀調がにじみ出ています。「日コアダネ村」は「日の当らない村」という意味です。
 太宰治の「雀っ子」は、太宰が師匠の井伏鱒二に送った作品ですが、実は……。近年、近代文学の分野で大きな発見があった小品で、当日はそのことも合わせてご紹介します。
 僕は18歳まで郷里に居て、東京に出てきてからもう40年ばかりになります。たまに帰郷して津軽弁で話していると、あちらに住んでいる妹から、「わざとらしい」なんて注意されたりする。方言の味わいを消してはいけないと誰でもが考えていながら、向こうでは年配者さえもどんどん方言を使わなくなっているんですね。  そうした中で、どうやって方言の魅力を伝えていくか。
 そいうえば、私の出身高校の二期上に寺山修司さんがいました。同じ新聞部でね。彼は南部育ちで小学校の終わりに青森に来たでしょう、だからことばは方言が残ってたなあ。後にラジオなどで彼の声が流れてくるのを聞くと、懐かしかったですよ。