| 電荷整列とそのドーピングによる融解現象 |
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まずその現象の説明をしたいと思います
電子は原子核の近くに束縛されています。 ところが原子同士が集まって結晶をつくると、 一つの核の近傍(サイト)から隣の核の近傍へ飛び移ることの できる電子が生じます。 これらの電子が容易に隣のサイトに飛び移れる結晶では、 電子は元々の核にほとんど束縛されないため 電子が結晶内を自由に動き回り、電流の担い手となります。 そのような結晶は電気伝導体であるといえます。 それに対して電子の飛び移りがほとんど起きない結晶では、 個々のサイトに電子が存在し続けることから、 結晶全体を電子が動き回ることがないので、電流が流れません。 そのような結晶を絶縁体といいます。
電子は一般的にクーロン斥力によって お互いになるべく距離を置こうとします。 その結果、電子は結晶内を一様に分布しようとします。 また上で述べた通り、絶縁体では電子は それぞれのサイトに束縛されています。 以上より、絶縁体では電子は核の周辺に存在し、 それぞれのサイトに存在する電子の数は (一様に分布するために)どれも等しいということが出来ます。 ところが、ある種の絶縁体でこのサイトごとの電子の数に 違いが生じることがあります。 つまり電子が多いサイトと少ないサイトが生じる場合があります。 このような現象を電荷分離といいます。 そしてこの電子数の偏りが規則的に並ぶ現象を電荷整列といいます。
そこで次は『いったいどのような理由で電荷整列が引き起こされるのか?』 電荷整列発生の機構について自分の取り扱っている物質である、 AlV2O4を例に挙げて説明します。
アルミニウムの価数は+3、酸素の価数は-2で この値は通常変わることはありません。 するとバナジウムの価数は+2.5と非整数になってしまいます。 この結果が電荷整列の形成に重要な意味をもちます。
つまり全てのバナジウム核に同じ数の電子が存在するとした場合、 (価数が非整数であることから)各サイトに 非整数個の電子が存在することになります。 電子を半分に割ることはできないので、このようなことは起こりえません。 よって核への束縛が強い場合、 それぞれのサイトには整数個の電子が存在するので、 電子の多いサイトと少ないサイトが生じてしまいます。 このような現象を『電荷分離』と呼びます。
電荷分離によってサイトごとの電子数に違いが生じても 結晶全体としては電子は一様に分布して クーロンエネルギーを得しようとするので、 電子数の多い部分が一箇所に集まることはなく、 電子数の多いサイトと少ないサイトが 規則的に並んだ状態をとることになります。 これによって『電荷整列』が形成されます。
『価数が非整数の物質では 電子が核に強く束縛されるとサイトごとの電子数に偏りが生じる。 そしてなるべく電子が一様に分布するために 電子の多い部分と少ない部分が規則的に配列される。 これによって電荷整列が生じる。』 ということになります。
勝藤研で実際に行われている研究を紹介します。
を施し、バナジウムの価数を変化させることによって、 @AlV2O4の電荷整列を弱くした物質を意図的に作成し、 電荷整列が消失する瞬間での新しい現象の探索。 Aバナジウムの価数(+2.5)が特殊なタイプの物質を作成し、 異なったタイプの整列パターンの研究。 を行っています。 |
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