勝藤研究室
Katsufuji Lab.       早稲田大学 先進理工学 物理学科width="100%"

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 ■二次元磁性体La5Mo4O16の異常な低温相
  La5Mo4O16はMoが正方格子をとり、Mo4+とMo5+が市松に配列している。200K以下で、面内でMo4+スピンとMo5+スピンが反対方向を向くフェリ磁性状態となり、それが隣り合う面で互いに逆向きに配列する反強磁性となる。この反強磁性相では、0.5T程度の弱い磁場で強磁性状態(フェリ磁性がすべての面で同じ方向を向いた状態)へとメタ磁性転移し、さらにそこで負の磁気抵抗が観測される。一方、純良な単結晶では90Kと70Kに格子歪を伴う相転移が存在し、特に70K以下では巨大な正の磁気抵抗や電気抵抗率、磁化率の緩和(時間依存性)、磁化率のメモリー効果といった振舞が観測されているが、その正体は明らかではなかった。
 この物質の単結晶を磁気力顕微鏡(MFM)によって観測した。その結果、70K以下で100 nm程度の大きさの強磁性ドメインが生成している様子が明らかになった。さらに0.5 T程度の弱い磁場を印加することによってこのドメインが消失することも明らかになった。70K以下で観測される正の磁気抵抗の実験結果と合わせると、この物質においては、磁壁が電気伝導性を持ち、磁場印加によって磁壁が消失することによって電気抵抗が増大すると考えられる。緩和現象やメモリー効果もこの強磁性ドメインのダイナミクスに由来すると考えられる。





図4 (左)La5Mo4O16の磁気力顕微鏡像 (右)La5Mo4O16の磁気抵抗

T. Katsufuji, M. Miyake, M. Naka, M. Mochizuki, S. Kogo, T. Kajita, Y. Shimizu, M. Itoh, T. Hasegawa, S. Shimose, S. Noguchi, T. Saiki, T.Sato, and F. Kagawa,
“Orbital and magnetic ordering and domain-wall conduction in ferrimagnet La5Mo4O16”,

Phys. Rev. Research 3, 013105 (2021).



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