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勝田 正文 教授
機械工学専攻 ●熱工学 ●伝熱工学
『伝熱工学や二相流の基礎を解明しつつ,環境に調和した熱システムへの展開をめざす』
あらゆる熱エネルギシステムの設計において,その基盤となる伝熱工学を中核に研究を進めている.特に沸騰・凝縮のような相変化を伴うあるいは物質移動を伴う伝熱に大学院時代から興味を持ち,その基礎的現象としての二相流動や応用分野である蒸気圧縮式ヒートポンプ,ヒートパイプ,吸収冷凍などにも対応しうる研究態勢を構築している.
最近の研究での温度範囲は,ナトリウム高温ヒートパイプの1000℃レベルからパルス冷凍法の最低到達温度70K(-200℃)までで非常に広い範囲を研究の対象にしている. 特に空調や冷凍機器については,省エネルギー法の改正以来,現行冷凍機の更なる性能向上と同時に,温暖化に影響を及ぼさない新しい自然冷媒の探索といった二重の困難を克服せねばならない時期になり,学外との連携を強めながら環境に調和した技術の再構築および新技術の確立を目指している.
2010年度研究テーマ
自然冷凍冷媒サイクル
ヘッダー型二相流分配器の流量分配
超音波流量計
小型極低温冷却システム
ヒートドリブンポンプ
回転式ヒートパイプ
水素吸蔵合金を用いた水素精製
平板型マイクロヒートパイプ
燃料電池システム
高性能脱硫剤の開発
燃料電池車椅子
G水素モデル社会システムの実現に関する包括研究
・水素エネルギーの製造・輸送・貯蔵・利用に係る広範囲な提案や短期実用化を目指した技術開発
・モデル地域(埼玉本庄地方拠点都市地域)での先行導入
・研究成果の普及と地域社会の活性化
水素システムの概要図
これまでの研究テーマの一部
(1)毛細管膨張装置
冷凍サイクルで用いられている膨張弁に毛細管であるキャピラリチューブを応用したシステムを想定し,その毛細管内での流動と伝熱に関する研究を行った.既存の電子式膨張弁と比較して、コストが安価にすむ特徴がありながら,その熱流体的な挙動の複雑さから研究対象となることが少なかった.特に、今後予想される装置の簡易化と,混合冷媒への対応を考慮した性能予測法の確立が強く求められている.
すでに性能予測法を確立しているが,metastable stateの影響が強くあらわれることを示し,有効な成果を挙げている.
(2)小型スターリングエンジン発電機
理論的に高い熱効率を有するスターリングエンジンは,永年にわたり多方面で研究されてきたが,特に製造コスト対効果の面で実用化を阻まれ,宇宙用や教育・教材用などの特殊な領域でのみ成果を収めるに留まってきた.
本研究では,既にライン生産されている冷凍機用の圧縮機をその筐体として転用することでコストの低減を図り,一般家庭用の補助電源装置や災害時における非常用電源としての可能性を検討した.Heを動作ガスに用いた1kW級スターリング発電機の開発を関連企業の支援のもとに行い,成果をあげている.
(3)波動冷凍
自然冷媒を作動媒体とする次世代冷凍法として,Heを用いたパルス冷凍法と熱音響冷凍法に着目し,実験,解析両面から研究を進めている.
現在,極低温からバイオフリーザの温度レベルでは,二元あるいは三元蒸気圧縮式冷凍により目標温度レベルに到達させている.このような領域に本冷凍法を実用化できれば,コンパクトでメンテナンスフリーな冷凍機となるが,現状では他の冷凍法と効率の面で競合できず,特に多数の伝熱問題を内包する再生器に着目すると同時に各要素の最適化を実現することに努力を傾注している.
(4)吸収冷凍機
冷媒にアルコール系TFE,吸収剤にDMIを用いたガスヒートポンプ(吸収冷凍機)が,新たに小型化を実現できる空調機として市場に参入する予定である.
本研究では,このガスヒートポンプ用吸収器に,プレート型熱交換器を転用して熱・物質移動の同時促進を実現している.今後はさらに蒸発器,凝縮器に転用を進める予定である.
(5)平板型マイクロヒートパイプ
電子機器をはじめとして,小さな面積から大量の放熱を伴う事例が増加し,新しい冷却法の確立が望まれている.
本研究では,その解決法の一つとして,平板に微少な溝を製作してこれを細管をコンテナーとするマイクロヒートパイプの代替として用いることで,例えばノートパソコンのディスプレイ裏側を放熱板として用いることを目指している.
(6)宇宙用CPL(Capillary Pumped Loop)の開発
2002年1月に打ち上げ予定のusers衛星の熱制御装置として,キャピラリーポンプループ(CPL)が採用された.CPLとは,ヒートパイプの原理を拡張した高性能な熱輸送装置である.
本研究を始めて既に8年程度経過するが,航空機に微少重力実験なども経験し,詳細設計ソフトなども早稲田方式を確立している.この採用を契機として,実際に宇宙で運用するCPLの設計に取りかかっている.
(7)空調用蒸発器の多連分岐部における二相流相分離特性に関する研究
空調用の蒸発器は,冷媒の流路が複数設けられており,各々の流路において冷媒が蒸発を行い冷熱を発生する.ところが,それぞれの流路において,冷媒の流量や相分離の特性が不均一であると性能にムラが生じてしまう問題が起こる.特に,ドライアウト現象を未然に防ぐことや,ひいては流体力学的な相分離の特性を十分把握することが多くの場面で求められている.
本研究では,垂直T分岐および多連分岐管における二相流相分離特性を実験的に把握すると共に,モデルを構築することによって現象予測を試み,多くの成果を挙げた.







