小栗判官(本復之段)

小栗判官政清は、三条高倉大納言が毘沙門天に祈願して生まれた子どもだった。

相模の国で照手姫と会い将来を誓うが、姫の一族、横山一党はそれを望まない。

宴の席で毒酒を盛られ、政清は閻魔の元に送られる。

そこで特別の謀いで、病んだ身となってこの世に戻されてきた。

一引き引けば千僧供養・・・と引き車に乗せられて、熊野本宮に送られていくのだが・・・。

貴種が全国を流離する中世文学最大のロマン。


原板所有 奥多摩郷土資料館

小栗判官(矢取之段)

小栗判官政清が、流浪の末に屋敷へ帰ってきた。

だが、屋敷は法要の最中で、相模で死んだ息子、政清の一周忌だという。

政清は、生きて帰ってきたと両親に告げるが、父の高倉大納言はその言を信じない。

似ているが、偽者だ。

死んだ者が生き返る訳がない。

まことの政清なら、儂が射る矢を素手で受け止めてみよ。

家宝の強弓をつがえ、政清の胸ぐらを狙うのだった。


原板所有 劇団みんわ座

葛の葉 子別れの段

恋しくば尋ねきてみよ和泉なる 信太の森のうらみ葛の葉

助けられた命の恩に報いるため、娘姿となって恩人・保名を訪ねた狐は、共に暮らす内に子を授かってしまう。

そしてある日、保名に狐であることを知られ、和歌を一首残して森へ去っていった。


子は母を恋い、乳を求めて泣く。

保名は子を背負って森へ行くと、狐火のなかに現れた美しい狐葛の葉は、童子よ、わが姿を見よと叫び・・・。


原板所有 二代目若松武蔵大掾

だるまの夜這い

家の主が、骨董屋で見つけた「だるまの掛軸」を床の間に掛けて、満足そうに眺めている。

今日は両国の川開きで、花火の音が響いてきた。

主が見物に出かけると、だるまが掛軸から飛び出し、主が残した酒を呑み、あらよ、と踊っている。

騒がしいね、誰かいるの、と声がする。

だるまが見ると、隣の部屋で奥方が布団に休んでるではないか。

争乱の幕末、爆発的に人気のあった滑稽芝居。


原板所有 青梅市島崎俊夫

勧進帳

源義経は兄の頼朝と不和になり、今では兄から追捕を受ける身になっていた。

義経は家来の弁慶たちと山伏姿に身をやつして都を落ち、加賀の国安宅の関に差しかかった。

関所では、関守富樫左衛門が待ち構えている。

富樫が弁慶に、怪しい一行かなと問えば、弁慶は勧進の山伏と応える。

しかし、富樫は義経を見たことがあった。

そこな者が義経に似ていると、富樫が詰め寄ると弁慶は・・・。


原板所有 奥多摩郷土資料館

日高川入相桜

清姫は父から安珍を、お前の許嫁だと知らされていた。

その安珍が清姫を避けて家を出た。

安珍の心変わりを知った清姫は、恋心を押さえ難く跡を追っていく。


ようよう日高川に辿り着くと渡しの船頭が、安珍から舟に乗せてくれるなと頼まれたから、お前を乗せる訳にはいかないやい、と舟をださぬ。

恋は怒りとなり、清姫は日高川に飛び込むと、身は大蛇となって対岸の道成寺へと泳ぎ渡る・・・。


原板所有 若松辰太夫

一の谷嫩軍記

源義経に都を追われた平家一門は、陣容を立て直して須磨の浦にほど近い「一の谷」に陣を構えて源氏方を待ち受けた。

源氏の旗頭、熊谷次郎直実は、一子直家とともに陣門ふかく攻め入る。

直家は平家の矢に射られて怪我をする。

おのれ、平家め!

怒りにもえて直実は、逃げ去ろうとする平家の騎馬武者に、「敵に背を向けて逃げ去るは卑怯なり」と呼ばわる。

声を聞きつけて振り返ったのは、平家の若武者・敦盛公であった。

若い。命を取るのは不憫と感じて直実は見逃そうとするのだが・・・。


原板所有 二台目玉川文楽