この研究は顕著になってきているシールドトンネルの経年劣化の中でも大きな要因となっている漏水を防ぐことであり,シールドトンネルの長寿命化に対して効果的なアプローチをすることです.
昨年度の研究は模型を作り,TB工法による止水性能の効果を実験的に検証しましたが,今年度はFEM解析で実践的なモデルを作成し,効果的な止水方法を模索していきます.
ニューマチックケーソン工法は橋梁の基礎や、シールドトンネルの立坑、地下鉄や道路トンネルの本体構造物の本体として幅広く活用、開発されてきました。ニューマチックケーソン工法はあらかじめ地上で下部に作業室をケーソンとともに築造し,作業室に地下水圧に見合う圧縮空気を送り込むことで地下水を排除し、常にドライな環境で掘削・沈下を行って所定の位置にケーソンを沈設する工法です。ニューマチックケーソン工法のメリットとして、立坑本体としての品質を確保できる、異形を有する大断面、軟弱地盤でも施工ができる、掘削とケーソン構築を併行作業で行うことが可能のため工期が短縮できる点です。
しかし、立坑用ニューマチックケーソン工法については未だに課題が残っていることが現状です。この研究では次の問題点を整理し、それらを解決する工法の提案を行います。
1. ケーソンのコンクリートの品質保証
2. 非合理的施工時土圧
3. 地下水への影響
将来、南海トラフ・首都直下型地震が同時または連続的に発生する可能性もある.いざ発生した際の東京の地下構造物に及ぼされる被害は東北地方太平洋沖地震をも超える甚大なものになると考えられる.それにより我が国の政治・経済の中枢機能への影響とその全国的波及が強く懸念されている.そういった現象を避けるために地震大国日本では,地震発生時の地下構造物の挙動を明らかにすることが早急に求められている.本研究は,東京地下鉄株式会社(以下,東京メトロと略称する)から頂いた東北地方太平洋沖地震発生時に観測されたデータを基に,解析的にシールドトンネルの挙動を明らかにし,その健全性を検討するものとする.
研究の背景としては、海外のシールド工法を用いた都市地下インフラ整備の急増が挙げられます。我が国において、シールドトンネル分野では1970~80年代にかけて世界シェアの90%を握った時期もありました。しかし、社会インフラの整備率の向上やバブル崩壊に伴う経済の低成長期への突入を機にその施工量は減少に転じました。一方でヨーロッパや中国では1990年代からシールド工法を用いた社会インフラ整備が急増し、現在ではその波がアジアから中近東の大都市に及ぶに至っています。こうしたことを背景として近年では日本の国策の一つとしてインフラシステム輸出が推奨されており、その中でもシールド工法は日本が卓越した技術を有する分野の一つとして位置づけられています。したがって、今後、海外でのシールドトンネル工事が増えると考えられます。
しかしながら、我が国では主として沖積平野上に広がる大都市部の軟弱地盤にシールドトンネルを構築してきたのに対して、ヨーロッパでは山岳トンネルの延長としてシールドトンネルの技術が発展してきました。このように、背景や用途、地盤条件などによって設計・施工に対する考え方には大きな隔たりがあります。したがって、我が国のシールド工法を海外展開するためには,その違いや背景を理解しておくことが重要となります。そうすることで、世界を俯瞰したシールドトンネルの設計・施工の思想の体系化を図ることを目指します。その中でも、本研究では国内・海外の基準類による覆工設計法について比較・検討していきます。
繊維含量は複合材料全体の2.5%以下の短繊維で強化して、通常の混合プロセスにより、硬化後著しい硬化特性を有して、引張荷重下で複数の微細な亀裂が生じる。限界ひび割れ幅は0.1mm未満であり、極限引張ひずみは3%以上に安定して到達することができるセメント系複合材料である。これは超高性能繊維補強(Ultra-High
Performance Fiber Reinforced)コンクリートと呼ばれる。
裏込め材は、シールドトンネルとSPR工法「管渠更生工法」の止水と耐久性に大きな役割を果たす、重要な防衛線と呼ぶことができる。このような素晴らしい性能がある材料(超高性能繊維補強コンクリート)を裏込め材に適用できるかどうか、この可能性を検討すべきである。超高性能繊維補強コンクリート「ダクタル」の最も重要な特性に基づいて、実験的または解析的方法を使う。現在のSPR工法の裏込め材が「ダクタル」として使用されると、更生した管渠の力学や耐久などの特性はどうのようになるか検討する。
都市を中心とする生活圏には下水道,ガス,電力,通信等のライフラインがあり,その多くが地中に管渠として埋設されている.これらの埋設方法には大きく分けて2種類ある.地面を掘り起こして管を設置する「開削工法」と,地面を掘り起こさずに管を設置する「非開削工法」の2つである.推進工法は非開削工法に属し,計画管渠の両端に地中を掘削するための発進立坑と掘削機を回収するための到達立坑を設置して,推進管を発進立坑から地中に繰り返し押し込み到達立坑まで埋設する工法である.
ここでの推進管とは推進工法で用いる既製の鉄筋コンクリート管を指す.
推進工法は開削工法に比べて,路面を掘削する必要がない分工事専有面積が減り,騒音振動・粉塵などの工事公害の低減,交通への影響の緩和,市民生活への栄子湯の抑止などの都市環境対策に優れており,道路交通量が多い都市部での適用も可能である.
近年の推進工法は従来の推進管を真っ直ぐ推し進めていくものではなく,クサビを用いた曲線施工が要求されている.曲線施工の場合,用いる管は長さの短いもの,短尺管になる.しかし,実際の施工では短尺管は推進力によってひび割れが生じることが多くある.
そこで,本研究では短尺管に鉄製の帯板を巻くことによって,推進力の伝えられなくなる推進限界に到達するまでの荷重を大きくすることを目的とする.
一般的に立坑は、平面的に無駄な空間が生じないことから矩形(長方形)断面が多く採用されていますが、大深度立坑の場合、構造物としての剛性を優先させるため、円形断面が合理的とされます。また、中浅深度と比べると大深度では土圧・水圧のかかり方も変化するため、中浅深度とは異なる設計法が必要となってきます。しかし、現状では大深度における設計法は確立されておらず、中浅深度の考え方を大深度に適用しています。これでは経済的でないということで、本研究室では、大深度円形立坑の合理的な設計法を明確に確立することを目標に研究が行われています。具体的には、大深度円形立坑を模した実験装置を作製し、その掘削時に起こる変形を検討したり、実際の大深度円形立坑データを逆解析したりしています。
大深度地下(地下40mよりも深い部分)空間へ人や物が行き来するためのルートとなる「大深度円形立坑」の耐震設計について研究を行っています.地下構造物は,地上構造物に比べ耐震という点において安全だが,地震時に被害を受けた場合に社会的影響が大きく,また復旧も困難です。また大深度地下に達するような立坑では,地層の変化する部分で立坑に対して大きな断面力が働くと経験的に言われており,これに対して私たちは,実験模型を作製して実際の地震波などで振動実験を行い,立坑に対して作用する力を明らかにしようとしています.また、実験だけではなく、有限要素法(FEM)を用いた解析でも立坑の耐震性に関する検討を行うことで、継手の配置を含めた汎用性のある立坑の設計法の確立を目指しています.
非開削切拡げ工法が我が国で使われている例として、地下鉄副都心線の雑司が谷〜西早稲田間において中間ポンプ室を構築するにあたり交通量の激しい交差点直下である等の厳しい条件下であったためトンネル内からの曲線パイプルーフを施工した後それらを非開削工法で切り広げることにより路線の最深部に設けるといったような事例がある。また、これらのモデルをsoil +により解析を行い挙動再現を試みる。その際に、計測値と解析値に誤差が生じることが解析で分かったため、ばねや支保工の物性値を変えていくなど、原因を究明するとともにこれらの誤差を減らしていく。また、切り広げ工法の技術がこれからどのように使われていくか、設計方法の確立を研究していく.