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文献検索

私が最初にMEDLINEを利用したのは1988年のことであった。早 稲田大学所沢図書館に電話接続の端末が用意されたため、私に も使えるようになった。それまでは、新しいキーワードで文献 を探索(「検索」ではない)するばあいには、「Abstract」な どと称する分厚い冊子をひもといて、キーワードから著者名、 著者名から雑誌・タイトル名と手順を踏んで、メモを片手に調 べていった。それが、随意のキーワードを入れるとあっと言う 間に該当文献のタイトルどころかアブストラクトまで表示して くれる。おまけに、ANDやORといった従来ほとんど不可能だっ た検索までやってくれる。もちろん、100件表示されたうち実 際に必要とされたものは20件程度だったが、それでもそれらの 原文を入手して片っ端から読んだときには、ずいぶんとものを 知ったように思った。

その後、アリゾナやハワイの大学のサーバーにtelnetで接続す ると、UnCoverの文献検索が利用できることを知り、「無料」 という利点に惹かれてしばしば利用した。これは、我が所沢図 書館にdialogのフロッピーディスク版が設置されてからも続い ていた。図書館の閉まった深夜・休日でも自由に自分の研究室 からアクセスできるというのが、なによりの使い勝手であった。 厳密に言うと、telnetでサーバーに接続するようになってから を「インターネット」ということになるわけであるが、一旦接 続されると、物理的には近い未接続のマシンよりも近くなって しまったというわけである。そして、その図書館のディスク情 報がネットワークを介してアクセスできるようになって、「物 理的近さ」を選択するようになった。

もちろん、このような便利さは大きな組織だからできることで、 個人で文献データベースのディスクを購入するわけにはいかな い。しかし、wwwによって個人での文献検索もずいぶんと便利 になった。アメリカにはMEDLINEの検索ができる様々なサーバー があり、もちろん日本からでもアクセスが可能である。私は、 ジョージア大学に到着した当初によく使た。私が利用したこと があるのは以下のものであるが、商用のものも含めて他にも各 種あるようだ。

http://www.healthgate.com/HealthGate/MEDLINE/search.shtml http://muscat.gdb.org/repos/medl

これらのサーバーの中にはオンラインでのリクエストによって コピーを送付してくれるサービスもある。また、オンライン検 索をすればアブストラクトも含めて自分のディスクにダウンロー ドできるので、その後の自分の文献整理を行う上で有用である。 というのは、大抵の場合、取得した文献コピーは番号をふって 整理し保管するわけであるが、文献量が多くなると後に自分の データベースから再検索したくなるのが必須だからである。そ んなとき、アブストラクトまで含めて一括してデータベースを 作成しておくと、後に同じキーワードでそのリストが出てくる ことになる。ただし、私はまだアブストラクトまで含めた自分 専用の文献データベースづくりは手がけていない。



Yoshio Nakamura
Mon Dec 27 10:02:29 JST 1999