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(プロローグ):「体育学研究における情報処理」

さて、またまた机の電話が鳴った。

渡米前の諸事に追われていた頃だった のでなるべく電話に出ないようにしていたのだが、魔が差した ように受話器を上げてしまった。杏林書院の市村さんからだっ た。「体育学研究における情報処理」という内容で連載を企画 しているとのこと。「『情報』っていったい何のことですか」 なんていう問いは無用だった。数分のやりとりの後、とりあえ ず「考えさせてもらう」こととした。もちろん、キーワードは 「体育学研究」と「情報処理」である。

もとよりその発案者は本誌編集委員の中でも最年長の方だった ようなので、おそらく「情報処理」といっても私がイメージす るものとは異なっているのではないだろうか。ここのところが 最も慎重に考えるべき事項だった。つまり、編集者の意図とは 無関係に勝手に突っ走った意見を書いてしまうような若さが、 今の私には薄れてしまったからだ。もしかしたら、彼にとって 「情報」とは「数字などの研究データ」のことで、「処理」と は「コンピュータを使って行う何か」のことかもしれない。そ うすると、「如何に手際よくデータを収集・処理して、如何な る統計処理を行い、それを如何に論文に仕上げていくか」とい うノウハウが、「情報処理」かもしれないのである。もしかし たら、単に「コンピュータの使い方」だけを意図しているかも しれないのだ。いやいや、この先生がそんな浅はかな方ではな いということは、私は良く知っている。じゃあいったい私に何 を期待しているのか?gif





Yoshio Nakamura
Mon Dec 27 10:02:29 JST 1999