(経営情報学会2002年春大会発表)

 

B2Cネットビジネス差別化におけるネット特徴要因の影響力
Effects of the Internet-specified Factors on Differentiation of the Internet Businesses

 

根来龍之 早稲田大学  [email protected]
門脇俊仁  株式会社キャップスアソシエーション  [email protected]

 

(要約)
本研究は、B2Cネットビジネスにおける差別化の要因についての研究である。「リアルビジネスとネットビジネスでは、ビジネス特性及び顧客行動の違いがあり、リアル企業と異なるネット独自の差別化要因が存在している」のかどうかを確認することが本研究の目的である。たとえば、ネットでの購買(利用)プロセスはウェブシステムを介して提供され、それはリアル店舗とは異なる顧客の体験(オンライン体験)を伴うものである。本研究では、顧客がおもに利用しているサイトについて、それを知った理由、利用している理由、スイッチした理由についてアンケート調査を行った。その調査結果から、ネットでの顧客のサイト選択への影響要因を分析する。そして、顧客の選択行動により影響力が高い要因がネットビジネスにおいて影響力がある差別化要因だと考える。この分析の結果、利用している理由としてオンライン体験要因が、スイッチした理由としてネットチェーン要因(ネットの機能を利用したone to oneサービス)が一定の影響力を持つことなどがわかった。また、差別化要因の影響力は、ビジネスの特性によって差があることもわかった。本研究では、ビジネスの特性を、製品・サービスのネット独自性、市場の独占度、市場の競合性などに着目して把握する。たとえば、ネットビジネスに特徴的な要因であるオンライン体験の差別化要因としての影響力は、市場の競合性が高いほど強い。
 

(Abstract)
This paper discusses the differentiation factors among the players in the Internet businesses. The paper points out that the Internet-specified factors effect the differentiation of the businesses on the secondary power. Another point is that the degree of the effects relate to the characteristics of the products of each business site.


1. はじめに
インターネットの急速な普及は、人々の生活に様々な変化をもたらし、現在では生活の一部として定着している。短期間での新たな市場の拡大は、様々なビジネスの創出から熾烈な競争へと移り、一部では経営の破綻もみられる。ネット参入企業は、競争に勝ち残りを賭け様々な努力を強いられている。他社との違いを明確し、事業を優位に展開することで、いかに消費者に自社の差別化ポイントを訴求できるかが重要な課題となっている。企業の差別化努力は顧客にどのように受けとめられているのか、差別化にはどのような要因が存在しているのか、ネットビジネスの特性との関係や消費者の選択行動に対する差別化要因について明らかにすることが本研究の目的である。



2. ネットビジネスの差別化

ビジネスの競争激化のために、ビジネスによってはネット、リアルを問わず製品自体での差別化が機能的にも品質的にも難しい状況となっている。この状況下、ネットビジネスでの差別化はインターネットの特徴であるネット機能を活用することにより様々に展開されている。たとえば、広告手段の差別化努力を挙げれば、サイトにバナー広告を掲出するだけでなく、パソコンの初期設定に自社サイトへのアクセスバナー等を設置してもらうことで消費者のアクセス行動を簡便にする、あるいは購買に結びついた場合に手数料を支払うアフィリエイトプログラムなど様々な方法が展開されている。また、製品についてより詳細な情報を掲載したり、製品比較など多種多様な方法で情報提供をすることにより、サイトの差別化を図っている。
チェーン指向とコミュニティ指向(根来・木村,1999)もネットビジネスでの差別化戦略として挙げられる。チェーン指向とは、商取引に関連した情報交換のストックを活用することで個別化されたサービス・製品を提供することである。たとえば、リコメンデーションサービスがその例である。コミュニティ指向とは、商取引から独立した情報交換のストックを活用することで、情報交換を魅力として利用者を惹きつけることである。たとえば、サイトへの掲示板設置による顧客間の情報交換の促進がこれに当たる。チェーン指向とコミュニティ指向ともに、一般的に新規顧客というよりもリピート顧客に対してのアプローチといえる。
リアルでもネットでも商品購入時における顧客の価値認識において、購入プロセスの体験が一定の役割を果たしていると思われる。製品・サービスの利用そのものだけでなく、アクセスや購入のプロセス全てが顧客の体験となる。また、ネットでは、商品を購入及び利用するときに、商品の検索や比較の行為を伴うことが多い。ネットビジネスにおいては、これらのアクセス、購入プロセスの全ての行為がウェブ上でのシステム機能を利用したものとなる。したがって、企業との接点である顧客の購入プロセスという「体験」(オンライン体験)が大きな役割を果たすこととなる。
また、前述した広告、詳細情報提供、チェーン指向、コミュニティ指向の差別化も、ウェブを介して行われる場合には、ウェブでの情報の見やすさ、扱いやすさ、使いやすさも重要なポイントとなるだろう。



3. アンケートの設計
ネットでの企業と顧客の接点は、大きく分けると自社サイトの存在を知ってもらうことから始まり、理解・検討すること、購入すること、そして再購入することでひとつのサイクルをつくる。アンケートは、この流れに基づき、再購入を行った人=購入プロセス全てを体験した人を対象に行う。設問項目は、顧客を惹きつける力としての「知った理由」、購入及び再購入してもらう力として「利用している理由」、他社からスイッチしてもらう力としての「スイッチした理由」の3つに分類した。ビジネスにおいての「差別化」を企業の「力」としてとらえ、「知名力」、「連携力」、「製品力」、「サービス力」、「価格力」、「時間力」、「機能力」、「情報力」、「社会力」に分類した。ビジネスの内容によって具体的な設問内容は若干変化するが、設問を上記の「力」を基本として分類することで異なるビジネスの比較ができるようにする。「利用している理由」と「スイッチした理由」は、「(主要)理由」と「付随理由」を分けて回答項目とする。
本研究では、顧客のサイト選択行動への影響要因として、ネットビジネスに特徴的な要因がどの程度影響力があるかを分析する。そこで、アンケート項目をネット特徴要因とそれ以外にまず分類する。たとえば、製品力に属する項目は、非ネット特徴要因になる。次に前者のネット特徴要因を「先行者メリット関連要因」、「クリック&モルタル関連要因」、「ネット起因要因」に分類し、さらに「ネット起因要因」を「オンライン体験要因」、「ネットプロモーション要因」、「ネットチェーン要因」、「ネットコミュニティ要因」に分類する。先行者要因はその業種において他社より先行して業務展開を行うことで得られた要因、モルタル関連要因はモルタルが存在することによって影響を及ぼしている要因のことである。ネット起因要因とは、ネット特徴要因のうちネットが存在しない場合には起こりえない要因のことである。「先行者メリット関連要因」は、急速にたちあがったネットビジネスによくみられる要因ではあるがモルタルビジネスにも存在しえる。「クリック&モルタル関連要因」は、モルタルが存在するビジネスにのみ存在しえる要因なので、ネット特徴要因ではあるがネット起因要因には含めない。ネット起因要因はさらに、以下のように4分類される。オンライン体験要因は、顧客が製品・サービスを購入もしくは利用する場合にオンライン上で体験する要因、ネットプロモーション要因はネット独自のプロモーションによる要因である。ネットチェーン要因、ネットコミュニティ要因については、先に述べた。
ネットビジネスでは様々なビジネスが展開されており、その多様性をできるだけ網羅して調査対象とするために、ビジネスの特性を列挙し、その特性の強弱を包括する対象ビジネスを選定する。まず、ビジネス形態の観点から「ネット独自性」、「モルタル資源の共用可能度」、「仲介性」を特性として把握する。「ネット独自性」とはその製品・サービスがネットにしかないものかどうかを示す。また、市場構造特性として、「市場の独占度」、「市場の競合性」を、製品特徴特性として、「製品の非差別性」、「製品の経験財性」、「製品の無料性」をとりあげる。また、購入・利用特徴特性として、ネットでは購入自体が体験であるという観点から「ユーザーアクション要求度」、情報の活用という観点から「顧客データの活用可能度」をとりあげる。結論として、以上の特性の拡散と利用率が高いビジネスとして、検索、ニュース、書店、ホテル・旅行仲介、ショッピングモールを調査対象とした。各ビジネスについて、上記ビジネス特性の程度を1〜3の3段階の高さで把握した。このビジネス特性は、サイト選択行動への影響要因との相関をみる際にも用いる。


表 1 ネットビジネスの特性と選定ビジネス
ビジネスの特徴 検索 ニュース 書店 銀行 ホテル・旅行 ショッピングモール
市場構造 市場の独占度 3 1 2 1 1 3
市場の競合性 3 2 3 2 3 3
製品特徴 製品の非差別化性 1 2 3 2 3 2
製品の経験財性 3 2 1 1 1 1
無料性 3 3 1 1 1 1
購入・利用特徴 ユーザーアクション要求度 2 1 3 3 3 3
顧客データ活用度 1 1 3 2 3 3
ビジネス形態 ネット独自性 3 1 1 1 1 2
モルタル資源共用可能度 1 3 2 3 2 1
仲介性 3 1 1 1 2 3
1:低い、2:中、3:高い


4. アンケートの実施

アンケートはウェブ上で、平成13年11月1日より18日の18日間を回答期間として実施した。回答対象者は、6つのグループに分かれる。そのうち、5つのグループは、メーリングリストへのメール投稿でアンケートの告知を行ったものであり、最後の1グループは著者の知人を中心とした個人宛メールの回覧を依頼して告知を行った。回答者の年齢構成は、30〜39才を中心として、20〜29才、40〜49才となっている。職業別では、会社員が一番多く、その次は自営業、公務員・教職員となっている。



5. ネット特徴要因の影響力
知った理由、利用している理由、利用している付随理由、スイッチした理由、スイッチした付随理由の設問別に、回答者の選択率が高い上位7項目について一覧表を作成し、ネット特徴要因の影響力について分析する。ビジネス間でネット特徴要因の数を比較すると書店が21と一番多く、ニュース、ホテル・旅館、ショッピングモールが19、そして、銀行が17で一番少なくなっている。若干ビジネスでの差が見られるが、全項目の半数以上がネット特徴要因となっており、全体的にサイト選択に影響があると考えられる。
知った理由では、どのビジネスでも選択される特徴要因の数は4つだが、ニュース以外では「パソコンへの設定」、「自分で探した」、「メールマガジン」が多い。銀行及びホテル・旅行で、「草分け的な会社であるから」が1、2位に出ていないのは、他のビジネスに比べ、このネットビジネス市場がスタート期にあるためと思われる。ホテル・旅行では、「自分で探した」と「知人から聞いた」が多くなっている。
利用している理由では、銀行のみが唯一「利用時間の自由」(ネット起因要因)が一位となっており、リアル店舗での時間制限を補うための利用が多いと考えられる。他のジャンルでは上位に出ている要因は全て製品力(非ネット特徴要因)の一つである「商品種類の豊富さ」が選ばれ、ネット特徴要因はその次となっている。利用している付随理由では、全般的に機能より情報について選択されており、ネットでは常に新たな情報を求めている傾向が見られる。銀行では「あてはまるものなし」が一位となっており、このビジネスでは特徴要因に影響されていない層が多いと言える。
スイッチした理由では、項目数でみるとネット特徴要因は製品力の次に選択されている。「その他の目的でのサイト利用」によるスイッチが上位にあり、多サービス化されたサイトの利用が多くなってきていることの現われと考えられる。書店では、スイッチの一位になっている「配送料の高さ」は利用者が価格に敏感であることを表しており、調査時点でamazonの配送料が無料であったことが大きく影響している。書店、銀行、ホテル・旅行ともに価格の安さに魅力があると考えられるが、ショッピングモールではスイッチでの価格についての項目は低くなっている。全体的にスイッチ要因として「他の目的での違うサイトの利用」と「価格」、次いで「製品の種類」についての項目が挙がっている。「価格」や「製品の種類」は非ネット特徴要因であり、「他の目的での違うサイトの利用」は、ネットチェーン要因に分類される。
スイッチした付随理由では、全て「あてはまるものなし」が一位になっているが、「情報の少なさと古さ」も二位以降に登場する。ショッピングモールでは「情報の少なさと古さ」が「あてはまるものなし」と同様に一位となり、他のビジネスとの違いが出ている。「情報の少なさと古さ」は、ネット起因要因に分類される。
利用に関しては、非ネット特徴要因(製品力)が第一要因になることが多く、多くの場合、ネット特徴要因は副次的な影響力を持つ。スイッチに関しては第一要因として、非ネット特徴要因(製品力と価格力)だけでなく、ネット起因要因(情報力)が登場する。



6. ネット特徴要因とビジネス特性との相関
次に、ビジネス特性と、サイト選択への影響要因としてネット特徴要因が登場する比率との相関を分析する。この分析のために、各選択要因について、知った理由、利用している理由、スイッチした理由各々の要因別に、回答比率を積算した一覧を作成する(表2)。

表 2 行動選択におけるネット特徴要因
ネット特徴要因 検索 ニュース 書店 銀行 ホテル・旅行 ショッピングモール
先行者メリット関連 知った理由 55.6% 35.8% 46.5% 12.0% 19.5% 56.1%
利用している理由 70.6% 46.5% 41.9% 34.2% 34.5% 53.5%
スイッチした理由 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 107.7% 0.0%
クリック&モルタル関連 知った理由 0.0% 10.8% 0.0% 19.6% 0.0% 0.0%
利用している理由 0.0% 38.1% 8.1% 47.5% 0.0% 0.0%
スイッチした理由 0.0% 8.1% 1.7% 0.0% 0.0% 107.7%
オンライン体験 知った理由 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0%
利用している理由 127.4% 107.7% 164.0% 72.2% 161.9% 151.0%
スイッチした理由 56.3% 29.7% 55.0% 42.9% 100.0% 107.7%
ネットプロモーション 知った理由 29.0% 18.5% 15.5% 8.2% 6.2% 19.2%
利用している理由 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 3.1% 7.6%
スイッチした理由 0.0% 5.4% 0.0% 0.0% 7.7% 0.0%
ネットチェーン 知った理由 12.6% 30.4% 24.4% 7.6% 32.7% 19.2%
利用している理由 12.0% 0.0% 8.1% 0.0% 0.0% 0.0%
スイッチした理由 20.0% 54.1% 43.3% 71.4% 53.8% 53.8%
ネットコミュニティ 知った理由 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 7.1% 0.0%
利用している理由 2.6% 0.0% 0.0% 0.0% 3.1% 0.0%
スイッチした理由 0.8% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 7.7%


ネットビジネスの特性とネット特徴要因の選択比率(積算)との相関係数を調べると表3のようになる。「市場の独占度」、「市場の競合性」、「製品の経験財性」、「ネット独自性」と、いくつかのネット特徴要因が相関している。

<市場構造>
市場の独占度が、知った理由、利用している理由における、「先行者メリット関連要因」の回答比率と相関関係があるのは、市場の独占が先行した企業によって行われているからと考えられる。ネットビジネスにおいては、先行企業ほど創業者メリットを享受するといわれているが実際にデータでも実証された形である。市場の競合性と、知った理由、利用している理由についての「クリック&モルタル関連要因」とに負の相関が見られる。これは、市場の競合が少ないときは、モルタルの影響を受け、市場が競合してくるとモルタルの影響は小さくなり、さほど重要視されていないことを示唆する。また、市場の競合性と、利用している理由についての「オンライン体験要因」とに相関が見られた。これは、競合企業が多いほど製品力のみでなくオンライン体験での差別化が重要で、利用サイトの選択に影響するということである。

表 3 相関関係一覧
ビジネスの特性 顧客行動の影響要因 相関係数
市場の独占度 先行者メリット「知った理由」 0.896
市場の独占度 先行者メリット「利用している理由」 0.825
市場の競合性 クリック&モルタル「知った理由」 -0.942
市場の競合性 クリック&モルタル「利用している理由」 -0.979
市場の競合性 オンライン体験「利用している理由」 0.878
製品の経験財性 先行者メリット「利用している理由」 0.819
製品の経験財性 ネットプロモーション「知った理由」 0.814
ネット独自性 先行者メリット「利用している理由」 0.940
ネット独自性 ネットプロモーション「知った理由」 0.835
モルタル資源共用可能度 クリック&モルタル「知った理由」 0.816
モルタル資源共用可能度 クリック&モルタル「利用している理由」 0.891

<製品特徴>
製品特徴について唯一相関関係が見られたのは、製品の経験財性と、利用している理由についての「先行者メリット関連要因」、知った理由についての「ネットプロモーション要因」であった。前者は、経験財においては先行企業ほど利用サイトの選択に優位性があることを意味する。後者は、経験財性が高いほど、利用するサイトの認知においてネットプロモーションが有効であることを意味する。この経験財性に関するふたつの現象は、因果関係としては別の要因が隠れている可能性がある。(例:市場独占度が高いビジネスが調査対象では経験財性が高くなっている。)
製品特徴の非差別性と無料性については、相関関係が認められるネット特徴要因はない。製品の非差別性が高い場合は、ネット特徴要因による差別化が追求されるはずであるが、一方では製品自体の差別化が可能な場合でもネット特徴要因がサイト選択に影響しているため、製品の非差別性とネット特徴要因は相関しないものと思われる。製品の無料性と相関関係にあたる要因がないのは、無料だからといってサイト選択が安易になることはなく、有料の場合と同じように、各種の要因が考慮されるためであろう。

<購入・利用特徴>
購入・利用特徴特性に分類したユーザーアクション要求度、顧客データの活用可能度とも、相関関係が見られるネット特徴要因はなかった。ただし、銀行のデータを除いて、相関を調べると、ユーザーアクション要求度と、利用している理由についてのオンライン体験要因が相関する。これは、本来ユーザーアクション要求度が高いネット銀行の市場がまだ立ち上がったばかりで、多くの利用者がまだまだ利用経験が浅いためネット銀行において本来重要であろうオンライン体験が選択理由としてまだ重視されてきていないためかもしれない。

<ビジネス形態>
ネット独自性と、利用している理由についての「先行者メリット関連要因」とに相関関係がある。これは、ネット特有のビジネスほど、先行者メリットが働くことを意味する。ネット独自性は、知った理由についての「ネットプロモーション要因」とも相関が見られ、ネット独自性が高いビジネスはネットプロモーションが有効だといえる。
モルタル資源共用可能度については、知った利用、利用している利用についての「クリック&モルタル関連要因」と相関している。これは、期待される通りの現象である。
仲介性と相関関係があるネット特徴要因は存在しない。これは、仲介の場合でも直販の場合でも消費者が求めている製品の品質や情報等は変わらないためであろう。

7. おわりに
調査によれば、利用理由の主要因は非ネット特徴要因(製品力)であるが、ネット特徴要因であるオンライン体験要因も副次的な役割を果たしている。これは、ネットでは、購入の際に利用者の積極的アクションを必要とするため、リアルより、実際にウェブを利用することの購入体験が行動選択時の重要な位置づけになるからと考えられる。ただし、ビジネスの違い、サイトの違いによって、利用している理由におけるオンライン体験要因の影響力は異なる。
スイッチに関しては第一要因として、非ネット特徴要因(製品力と価格力)だけでなく、ネット起因要因(情報力)が登場する。すなわち、利用している理由としてよりも、スイッチ理由としての方が、ネット特徴要因の影響力は大きい。
顧客の選択行動は、各ネットビジネスの特性によって異なる可能性がある。たとえば、市場の競合度が高いほど、オンライン体験要因は、サイト選択(利用している理由)の影響を与える。また、ネットに特有のビジネスであるほど、ネットプロモーション要因の影響力が強い。これらの相関は、ネット特徴要因の影響力をネットビジネス一般で議論するだけではなく、個々のビジネス特性を考慮しながら議論されるべきものであることを示唆する。

(参考文献)根来 龍之・木村誠『ネットビジネスの経営戦略』日科技連出版社,1999