(書籍紹介)
製薬・医療産業の未来戦略 -新たなビジネスモデルの探求
 

著者: 根来龍之・小川佐千代
版型、頁数: A5横書き、214頁
価格: 2,500円(税別)
ISBN: 4-492-76123-3
発行: 2001年3月
出版社: 東洋経済新報社
http://www.toyokeizai.co.jp/CGI/kensaku/syousai.cgi?key=newbook&isbn=76123-3
 
   ■本書の概要
 本書は、筆者が提案するビジネス形態とビジネスモデルの分析フレームワークを製薬・医療産業に適用したものである。このフレームワークは、インターネットの発展がもたらす産業構造の変化を強く意識している。

 本書では、このフレームワークを使って、製薬・医療産業の過去・現在・未来を事例分析した。この事例分析は製薬・医療産業の当事者に直接参考になるはずである。
 しかし、本書の想定読者は必ずしも製薬・医療産業の当事者だけに限られるわけではない。3つの付論としてまとめられた本書の分析フレームワークは、他産業の分析にも適用可能である。その意味では、本書は他産業関係者が本書の分析フレームワークを利用する場合の例題としての意味を持っている。

 本書が適用しているビジネス形態変化のフレームワークは、ビジネスレイヤーとバリューチェーンの2軸を使ってビジネス形態を整理・分析する点に特徴がある。

 本書のビジネス形態の分類には、網羅性と相互排反(分類同士が重複しないこと)性がある。3つのビジネスレイヤーと、バリューチェーンステージの維持・拡大を要素分解して組み合わせることで、本書のフレームワークは網羅的なものになっている。また、どのビジネス形態もかならずどこかに分類でき、かつ二重に異なる分類に該当することはないという意味で、本書が提案するビジネス形態分類は、相互排反的である。

 個別企業のビジネスレイヤーやバリューチェーンを眺めるのみでなく、産業内部でいかなる変化が生じているのかを大局的に捉えるためには、個々の企業が産業の中でどのような役割を担っているかの分析が必要である。また、どのようなビジネス形態が出現するかを予測するために、ビジネス形態の可能性を網羅的に検討することが役に立つ。本書が提案するビジネス形態変化の分析フレームワークはこれらの検討に貢献するはずである。

 本書が適用しているビジネスモデル分析は、3つのサブモデルの分析としてなされる。戦略モデル、オペレーションモデル、収益モデルである。これらのサブモデルは、分析の際に最小限必要なモデルとして位置付けられている。また、本書のビジネスモデル分析の特徴は、モデルには「コンテキスト(前提)」があるという考え方である。これは、各モデルの妥当性と正当性を支える論理的前提を吟味する思考法であり、筆者が提案する「コンテキストラーニング法(CL法)」の適用である。

 本書のビジネスモデル分析のフレームワークは、既存事業の競争力分析とともに、新事業の構想・吟味に役立つはずである。
 
   ■著者紹介
根来龍之(ねごろ・たつゆき)
http://www02.so-net.ne.jp/~negoro/
[email protected]
1952年三重県生まれ。京都大学卒業(社会学専攻)、慶應義塾大学大学院経営管理研究科(MBA)修了、鉄鋼メーカー、産能大学教授などを経て現在、文教大学情報学部教授。産能大学大学院講師。慶應義塾大学大学院講師。1990-1991年、英ハル大学客員研究員。CRM協議会研究委員会委員長。Systems Research誌 Editorial Board。
著訳書:『ネットビジネスの経営戦略』(共著)(日科技連出版)
    『ERPとビジネス改革』(共編)(日科技連出版)
    『情報ネットワークの進展と組織革新』(産能大通教)
    『生産企業の経営』(共著)(海声社)
    『日経ビジネスで学ぶ経営戦略の考え方』(共著)(日本経済新聞社)
  ウィルソン『システム仕様の分析学:ソフトシステム方法論』(監訳)共立出版
  ローゼンヘッド『ソフト戦略思考』(共訳)日刊工業新聞社 など

小川佐千代(おがわ・さちよ)
[email protected]
1965年長野県生まれ。東京理科大学薬学部卒業(薬学科専攻)、産能大学大学院経営情報学研究科(MBA)修了、日本ロシュ株式会社医薬マーケティング本部勤務。
 
 
   ■目次
はじめに −本書の問題意識−
  1.新しいビジネス形態の出現
  2.物理市場と空間市場

第1章 製薬・医療産業のビジネス形態変化 −何がおこり始めているか−
  1.複数業界でScrap & Buildが起こっている
  2.インターネットと規制緩和がビジネスを変える  
  3. 空間市場化がビジネス形態変化を促進している
  4.製薬・医療産業を支えてきた3つの前提の崩壊
  5.製薬業界の競争状態の現状

第2章 ビジネス形態変化分析のフレームワーク −BL・VCモデル−
  1.ビジネス形態分析            
  2.BL・VCモデルでビジネス形態を見る       
  3. ビジネスモデル分析
  
第3章 ビジネス形態変化事例 −製薬・医療産業のBL・VC類型とビジネスモデル−  
  1.全BLを持つ類型
    1) インテグレータ型 :ロシュ社
    2) VC拡散 :メドコ社、 卸各社の介護ビジネス参入
    3) バーティカルインテグレータ:
  2.特定BLを依存する類型
    1) コンテンツ依存型 :クインタイルズ社
    2) インフラ依存型 :ドラッグストア・コム社
  3.特定BLメインな類型
    1) コンテンツメイン型 :アムジェン社
    2) インフラメイン型 :デコードジェネティクス社
    3) プラットフォームメイン型 :マイ・メディプロ 、Yet2.com、physicianNet.com、Skila社
      テレメディシングループ、 ドクターネット社、メディカルプロダクツ社、 ケアネット
      バーティカルネット社、ヘルシオン・ウェブエムディ社

第4章 製薬・医療産業のビジネス形態変化:まとめ
  1.各類型のメリット・デメリットと成立条件
  2.現状のまとめ
  3.大手グローバル製薬企業の動向

第5章 製薬・医療産業の将来を予測する
  1.環境も大きく変化する                   
  2.ビジネス形態に与える影響は?       
  3.産業構造変化予測 
  4.将来出現しうる新規ビジネスの例  
 
第6章 まとめ
  1.製薬企業への提言
  2.卸・流通企業への提言
  3.医療機関への提言
  4.国民から見た製薬・医療産業革新への期待と不安
  5.日本における動向 -日本の製薬・医療産業を制するのは誰か?−
  6.総括


付論1 ビジネス形態変化分析のフレームワーク (詳説)
 1.はじめに
 2.インターネットが変える市場の性質 -空間市場化の進展−
 3.ビジネス階層の分離化
 4.ビジネス形態分析
 5.「産業」「業界」概念についての注意
 6.BL・VCモデルでビジネス形態を見る           
 7.BL・VCモデルの使い方

付論2 ビジネスモデル分析
 1.ビジネスモデルの構成要素
 2.ビジネスを構想するために最低限必要な3モデル
  (1)戦略モデル
  (2)オペレーションモデル
  (3)収益モデル
 3. その他のモデル
  (1)市場モデル
  (2)競合モデル
  (3)サプライチェーンモデル
  (4)コミュニティモデル
 4.ビジネスモデルと前提(コンテキスト)
 5.ビジネスモデルと資源
 6.インターネットブックショップのビジネスモデルの比較

付論3 プラットフォームビジネス
 1. ネットにおける仲介ビジネスの必要性
 2. チェーン指向とコミュニティ指向
 3. プラットフォームビジネスの分類と事例

 あとがき
 引用文献・参考文献


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