(書籍紹介)
オープンパートナーシップ経営
脱<囲い込み>の顧客戦略とは
 

著者: 根来龍之・桑山卓三
版型、頁数: A5横書き、182頁
価格: 1,400円(税別)
ISBN: 4-569-62118-X
発行: 2002年5月
出版社: PHP研究所
 
   ■本書の概要
 CRMとは、顧客情報の一元管理と部門間共有に基づいて、望ましい顧客関係を創り出し、維持する活動のことである。
ここで、望ましい顧客関係とは、顧客満足を前提に形成された継続的な取引関係のことを指している。
 本書は、CRMに忍び込む可能性のある「囲い込み」の企業行動の弊害を指摘し、脱<囲い込み>の顧客関係をめざすべきことを主張する。

 CRMは、時に「囲い込みのための経営手法」だと言われる。しかし、<囲い込み>という発想は顧客戦略の本質と相容れない。
顧客戦略が顧客の視点に立脚する経営のことだとするならば、囲い込みは、企業のエゴの追求であり、
顧客の利益と一致する保証がないからである。

 本書のキーワードは「透明性」「継続便益」「脱スイッチングコスト」である。
顧客が十分な情報を持って企業比較ができ、必要ならば、過去のいきさつに拘束されずに「選択しなおし」ができ、
結果として継続的に購入する時には継続による便益を享受できる、これが顧客から見た場合の「理想の顧客関係」である。

 業界によっては、技術や流通構造の制約のため、理想の顧客関係の実現が難しい場合も多い。
しかし、その場合でも長期的には技術的ブレークスルーやあたらしい産業構造の創出をめざすことはできる。
長期的移行戦略を持つ必要があるのだ。その目標になるのが、「理想の顧客関係」である。

 当然ながら、<囲い込み>を否定し、常に顧客の選択し直しにさらされることは企業にとっては厳しい世界である。
しかし、セグメントNO1をめざす企業は、顧客の選択し直しに対応することで、自社の力を鍛え、顧客に貢献することができる。

 本書は3部構成からなる。
第1部では、「理想の顧客関係」の理論を展開する。
第2部では、グループウェア、家電販売、自動車販売の3つの業界の顧客関係を分析する。
第3部では、上記3つの業界の代表企業のビジネスモデル分析を行い、ビジネスモデルの視点から顧客関係について論じる。

 本書の立場は、「CRMの内在的批判」である。本書は、<囲い込み>の企業行動を否定する。
しかし、「望ましい顧客関係を創り出し維持する活動」としてのCRMはなんら否定すべきものではなく、発展を図るべきものである。
 
   ■著者紹介
根来龍之(ねごろ・たつゆき)
早稲田大学商学部・大学院商学研究科 教授
http://faculty.web.waseda.ac.jp/negoro/
E-Mail:[email protected]

1952年三重県生まれ。京都大学卒業(社会学専攻)、慶應義塾大学大学院経営管理研究科(MBA)修了。鉄鋼メーカー、産能大学、文教大学などを経て現職。慶應義塾大学大学院(ビジネススクール)講師。産能大学大学院講師。1990-1991年、英ハル大学客員研究員。CRM協議会副理事長。Systems Research誌編集委員。経営情報学会論文誌編集委員長。


著訳書:『経営戦略と企業革新』(共著, 朝倉書店)
     『製薬・医療産業の未来戦略』(共著)(東洋経済新報社)
      『ネットビジネスの経営戦略』(共著)(日科技連出版)
      『ERPとビジネス改革』(共編)(日科技連出版)
      『情報ネットワークの進展と組織革新』(産能大通教)
      『生産企業の経営』(共著)(海声社)
      『日経ビジネスで学ぶ経営戦略の考え方』(共著)(日本経済新聞社)
     ウィルソン『システム仕様の分析学:ソフトシステム方法論』(監訳)共立出版
      ローゼンヘッド『ソフト戦略思考』(共訳)日刊工業新聞社 など
桑山卓三(くわやま・たくぞう)
NECソフト株式会社神奈川支社勤務
1950年愛知県生まれ。産能大学大学院経営情報学研究科(MBA)修了。NECにてOS開発、民需系コンピュータSEを経て、現在はシステム開発の統括を行っている。
E-Mail:[email protected]
 
 
   ■目次
プロローグ 囲い込みの顧客戦略は間違いである
第1部 理想の顧客関係とは何か
第1章 顧客関係の何が今問題か
1.1 ネットが迫る顧客関係への圧力
1.2 CRMが含意する顧客関係
第2章 理想の顧客関係のモデル
2.1 オープンパートナーシップ
2.2 顧客関係の各理念型
第3章  顧客関係の変革
3.1 顧客関係の業界特性
3.2 顧客関係の移行戦略
第2部 顧客関係の事例を分析する
第4章  3つの業界に見る顧客関係
4.1 グループウェア
4.2 家電販売
4.3 自動車販売
4.4 3つの業界の比較
第3部 ビジネスモデルを分析する
第5章  ビジネスモデルとは
第6章  ビジネスモデルと顧客関係
6.1 グループウェアのビジネスモデル比較
6.2 家電販売のビジネスモデル比較
6.3 自動車販売のビジネスモデル比較
エピローグ 理想の顧客関係を再考する
あとがき
参考文献


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