研究内容

ライブサイエンス | Live-science

芸術に関する記録が残る以前から,人は人前で表現活動をしてきました.そしてまた,表現活動はこれから数千年経過した後も,媒体や形式を変えながら続いていくと私は信じています. この意味で,ライブパフォーマンスが引き起こす観客の圧倒的な感動や魅了された観客の生理的変化は普遍的な現象です. しかし,こうした認知体験過程の科学的研究は限られています.我々はライブパフォーマンスの科学の立場から,演者と観客の間の認知体験過程の解明を目指します. 2020年1月1日に産声を上げたこの学問の設立趣旨については,こちらをご覧ください.

一般向けの研究紹介

ゼミの研究は,特色ある取り組みとして,早稲田大学の広報誌早稲田ウィークリーおよびWASEDA ONLINEオピニオンで取り上げられました. これらの特集では,ゼミの研究のうち「心拍間隔データを用いた音楽の訴求力の再構成」や「瞬目数による地方PR動画への好意度予測」などを紹介しています.ぜひ参照してください.

学部生,大学院生,研究員(学振PD等)として野村研究室への所属を希望する場合には,あらかじめ野村にコンタクトをとってください(このウェブサイトの“アクセス”にメールアドレスがあります).

劇場認知科学

劇場では,観客は演者の表現に想像を掻き立てられ,時に笑い時に泣くというように,人間の総合的な知性が発揮されます. 劇場認知科学ゼミ(野村研究室)では,こうした劇場のコミュニケーションについて,社会文化的アプローチの考え方に基礎を置き, そこへ心理実験・数値実験の手法を融合させて研究をしています.以下,劇場認知科学ゼミでの研究例を挙げます.

  1. ライブパフォーマンスにおける集合的感情(例:笑い,感動,鳥肌,没頭体験)
  2. 動画・映像作品への興味度の生理指標(視線,瞬目,身体動揺,姿勢)による推定
  3. 訴求力の定量化を利用した,映画・舞台・CMの見どころの検出
  4. 劇場における笑いのモデル化による伝播と一斉発笑の解析
  5. 演者(例:教師,役者,噺家,政治家)の印象評定
  6. 落語表現と“刺激なき知覚”(例:季節感,天候,混み合い,距離感)

これまでの研究

劇場認知科学ゼミでは,上記のテーマに限定されることなく,学生の興味から芽生えた問いを発展させて研究しています.図(ワードクラウド)は,卒論題目から生成しました.

以下,これまでの卒業論文のタイトルを示します.

2022年度 卒業論文

2021年度 卒業論文

野村のライフワーク(噺家の熟達化過程)

噺家の熟達化には長い時間がかかります.研究の枠組みには入りきれないことも多いでしょう.加えて,一人ひとりの熟達化にはその人なりの彩りがあります.噺家さんとともに年をとりながら,研究の視点を持った者として一緒に歩んで行けたらと思っています.

  1. フィールドワークによる噺家の熟達化過程の研究
  2. 芸談に現れる噺家の信念としての“芸”概念の抽出
  3. 意味に満ちた話術の“間”の定量化と噺家個人内での経時比較
  4. 共通入力としての演者の表現が有する訴求力の非線形時系列解析手法による再構成
  5. 噺家の熟達化に影響する師弟ネットワークの解析
  6. 熟達者に至るための認識論

国際共同研究

下記の共同研究を進めています.

  1. [共同研究] Dr. Till Weingärtner, University College Cork(アイルランド国立大学コーク校)