心理データ解析 第5回(1)
2要因の分散分析
- ここでは,2つの独立変数におけるいくつかの水準の相違を検討する仮説を設定した際の分析方法である,2要因の分散分析について学ぶ。
- たとえば,性別と学年で好きな異性のタイプは異なるであろう,という検討を行う場合,性別と学年という2つの独立変数を組み合わせて仮説を設定することになる。
- 2つの独立変数を組み合わせて仮説を設定し,あるひとつの従属変数への影響(これを「効果」という)について検討する分散分析を,2要因の分散分析という。
主効果と交互作用
- 主効果(main effect)とは
- それぞれの独立変数がそれぞれ「独自」に従属変数へ与える単純効果のこと。
- 交互作用(interaction)とは
- 独立変数を組み合わせた場合の複合効果のこと。
- 特定のセルにおいて要因Aの主効果と要因Bの主効果だけでは説明できない組み合わせ特有の効果がみられること。
- 2要因以上の分散分析では,交互作用の検討が重要なポイントとなる。
手順
- 2要因の分散分析では,まず,2つの要因の交互作用を検証する。
- 交互作用が認められたら,単純主効果の検定を行う。
- たとえば要因Aと要因Bの交互作用が有意である時,要因Bのある水準での要因Aの主効果,要因Aのある水準での要因Bの主効果について分析を行うこと。
- 単純主効果が有意である場合には,必要に応じて多重比較を行う。
- 交互作用が認められなかったら,主効果を検定する。
- 主効果が有意である場合には必要に応じて多重比較を行う。
たとえば
- 中学生,高校生,大学生の男女に対して,あるテストを行ったところ,各学校段階と男女で次のような平均値を得た。
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中学
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高校
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大学
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男性
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65.02
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60.19
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89.89
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女性
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58.67
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63.20
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65.76
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- この場合,このテスト得点は性別だけ,学校段階だけの効果では説明ができない。
- 学校段階と性別の「組み合わせの効果」がみられるということである。
- このような場合に交互作用の検討が重要な意味をもつ。
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小塩研究室