心理データ解析 第8回(1)
因子分析
- 因子分析は非常に多くの研究で用いられる多変量解析のひとつの手法である。
- 因子分析は,複数の変数間の関係性を探る際によく用いられる手法である(ただし正確には潜在的な変数を仮定するのだが,以下に説明する)。
- 扱うデータは全て量的データである。
基本的な考え方
- 因子分析をする目的は,「因子」を見つけることである。
- 因子とは,実際に測定されるものではなく,測定された変数間の相関関係をもとに導き出される「潜在的な変数」(観測されない,仮定された変数)である。
- 言い換えると,因子分析とは「ある観測された変数(たとえば質問項目)が,どのような潜在的な因子から影響を受けているか」を探る手法といえる。
- たとえば5つの教科を因子分析することによって,2つの因子(文系能力と理系能力)が見いだされる場合には,そのような2つの能力が,測定された変数である5教科に影響を及ぼしていることを仮定している。
共通因子と独自因子
- 上の例のように,たとえば,潜在的な因子として「文系能力」と「理系能力」があるとする。
- 教科のうち数学の得点を取り上げてみよう。
- 数学の得点には,文系的な能力も理系的な能力もともに影響を与える(もちろん理系能力の方が影響力が大きいであろうが)。
- この「文系能力」と「理系能力」は,どの教科にも影響を及ぼす因子であり,「共通因子」という。
- また,数学という教科には,数学独自の困難さや動機づけなど,数学「だけ」に影響を及ぼす因子がある。このような因子を「独自因子」という。
- 共通因子も独自因子もともに,直接的には観察することができない「潜在的な因子」である。
共通因子を見つけることが因子分析の目的
- 因子分析とは…
- 我々が直接知ることができる観測変数のデータには,潜在的な共通因子と独自因子が関係している。
- さらに,共通因子にはいくつか複数の因子があることが想定される。
- そのような共通因子を探ることが因子分析の目的である。
- 一般に「因子」という時には,「共通因子」を指している。
- 因子分析において独自因子は,「誤差」としての扱いを受ける。
- 因子分析をパス図で表現し,結果の出力に対応する部分を図示してみた。詳しくは授業で解説する。
ここまでの内容は非常に基本的な因子分析の考え方なので,より詳しく知りたい人は各自文献で調べてほしい。
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小塩研究室