心理データ解析　第11回(1)　

クラスタ分析　／　分析例１　

クラスタ分析

• 一定の手続きによって似ている対象（個体または変量）を自動的に集めて分類する手法である。
• 調査対象を「似たものどうし」にまとめる時などに使用される。
• 順序尺度でも適用することができるが，間隔尺度以上の尺度水準が望ましい。
• 各変数の得点範囲が異なる場合には（たとえば変数１が最低０～最高10，変数２が最低1～最高100など），事前に「標準得点」（平均０，標準偏差１）に変換しておくのがよい。
• 「デンドログラム」や「ツリーダイアグラム」と呼ばれる図が表示されるのが特徴。

分析例１

9名の被験者にある検査を実施した。検査の得点によって，被験者を分類したい。

データの入力
SPSSを起動する（既に起動してある場合には，以前のデータを保存し，ファイルメニュー→新規作成→データ）
SPSSデータエディタの「変数ビュー」を開く
１番目の変数の名前に「被験者」，２番目に「得点」と入力。
「被験者」の「型」は「文字型」にする。
「データビュー」を開き，データを入力する。

クラスタ分析の実行

分析　→　分類　→　階層クラスタ 「変数」に「得点」を指定 「ケースのラベル」に「被験者」を指定 「クラスタ対象」が「ケース」になっていることを確認 「作図」をクリック 「デンドログラム」にチェックを入れる 「続行」をクリック 「方法」をクリック 「クラスタ化の方法」で手法を選ぶ。今回は「最近隣法」を選んでみよう。 「続行」をクリック 「OK」をクリック

結果の出力
まず，ケースがいくつあるのか，欠損値（データが欠落しているケースなど）がいくつあるのかなど，基本的な情報が出力される。

クラスタが出来上がっていくプロセスが表示される。

この表で段階を追っていくと…
まず第１段階で，クラスタ５（５番目の被験者，つまりE）と６（被験者F）が近いものとして結びつく。
第２段階で，８（被験者H）と９（被験者I）が近いものとして結びつく。
第３段階で，７（被験者G）とクラスタ２（第２段階で８と９が結びついた集まり）が近いものとして結びつく。
第４段階で，４（被験者D）とクラスタ１（第１段階で５と６が結びついた集まり）が，近いものとして結びつく。
第５段階で，２（被験者B）と３（被験者C）が，近いものとして結びつく。
段階２から段階５の係数を見ると同じ数値（4.000）なので，これらは同時に結びついていると言ってもよい。
第６段階で，１（被験者A）とクラスタ５（第５段階で２と３が結びついた集まり）が，近いものとして結びつく。
第７段階で，クラスタ４（第４段階で結びついた集まり）とクラスタ７（第３段階で結びついた集まり）が，近いものとして結びつく。
第８段階で，クラスタ１（第６段階で結びついた集まり）とクラスタ４（第７段階で結びついた集まり）が，近いものとして結びつく。
上の表の段階を，図式的に表現したものが「デンドログラム」（木の枝のようなのでツリーダイアグラム[樹状図]ともいう）である。
（2008年２月現在，SPSS16でデンドログラムをうまく描くことができない（一部ずれてしまう）状態にあります。下の図はSPSS15のものです）

このデンドログラムを，Rescaled Distance Cluster Combineが「10」のところで縦に切ってみるとしよう（上の図の赤い縦線部分）。
すると，[E,F,D]，[H,I,G]，[B,C,A]という３つのグループができる。
このように分けてみると，各グループ独自の特徴が見えてくるかもしれない。うまくその特徴が見えてきた場合には，クラスタ分析は成功ということになる。
クラスタ分析は「この基準で分けてみたら興味深い，納得できる分類ができた」という態度で臨んでよいものである。探索的に行うものであり，グループを分ける絶対的な基準があるわけではない。

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