知能と学習効果-4
切片と傾きを予測する
ここでは,IQによって切片と傾きを予測するモデルを分析してみよう。
分析の指定
さきほどの分析で使用したパス図を利用しよう。
- ICEPTとSLOPEの共分散を削除する。
- 「オブジェクトを消去」アイコン()をクリックして消去する。
- ICEPTとSLOPEに誤差変数を追加する。
- 「既存の変数に固有の変数を追加」アイコン()をクリック。
- ICEPTとSLOPEの上でクリックし,誤差変数を追加する。何度かクリックし,適切な位置に来るように調整する。
- 変数の位置は,「オブジェクトを移動」アイコン()で調整する。
- 変数の大きさは,「オブジェクトの形を変更」アイコン()をクリックし,変数の上でドラッグしながら調整する。
- 追加した変数の名前を,「e5」「e6」としておこう。
- 誤差変数間に共分散を設定する。
- 「共分散を描く(双方向矢印)」アイコン()をクリックし,e5とe6の間に双方向矢印を設定する。
- 観測変数(IQ)を追加する。
- 「観測される変数を描く」アイコン()をクリックし,ICEPTとSLOPEの間の下のあたりに観測変数を描く。
- 描いた観測変数から,「パスを描く(一方向矢印)」アイコン()で,ICEPTとSLOPEに対して矢印を描く。
- 切片と傾きは分散に制約が課されているので,片方向矢印をひこうとすると警告が出る.
- 「分散に関する制約を除いて…」を選択しOK.
- 「データセット内の変数を一覧」アイコン()をクリックし,新たに描いた観測変数に「IQ」を指定する。
- ここまでの作業を行うと,結果で示すようなパス図になっているはずである。
- 分析のプロパティの設定は先ほどと同じである。
- 「推定値を計算」アイコン()をクリックすると,分析が行われる。
結果
<非標準化推定値>
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<標準化推定値>
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- テキスト出力を見てみよう。
- 「パラメータ推定値」を見る。
- IQからICEPTへのパス,IQからSLOPEへの正のパスはともに有意である。
- IQからICEPTへの推定値が0.285ということは,IQが1上昇すると1分あたりの解答数が0.285上昇することを意味している
- IQからSLOPEへの推定値が0.172ということは,IQが1上昇すると4週間の変化の傾きが0.172上昇することを意味している。
- 「モデル適合」を見る。
- カイ2乗値は18.915,自由度7で1%水準で有意である。
- CFI=.962……0.90以上の基準を満たしている。
- RMSEA=.131……0.1以上であるので,あまり当てはまりはよくない。
結果の記述
- IQから切片,傾きへの影響を検討したモデルの当てはまりはあまり良くなかった。
- この点については次の節で検討することにして,ここまでの結果を記述してみよう。
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小塩研究室