オンライン研究集会
組合せ論と可換環論
日時: 2020年5月2日(土) 13:20 〜 5月 3日(日) 17:30
世話人: 東谷章弘(大阪大学) 村井聡(早稲田大学)

コロナウイルスの影響でセミナーや研究集会などが開催できない状況が続いていますが, 実験的な試みとして, Zoomを使ってオンラインで本研究集会を開催することにしました. 集会の主な目的は, 組合せ論と可換代数を専門とする研究者間の交流を図ることですが, オンライン集会の雰囲気を見たいという方の参加も歓迎いたします.


本研究集会は無事終了いたしました。ご参加いただいた皆様、どうも有難う御座いました。本ページの最後に参加者から頂いたアンケート結果を載せています。
参加希望の方へ

参加をご希望の方は, 村井 (s-murai AT waseda DOT jp) にメールでご連絡ください. 集会で使う予定のZoomのURLを連絡します.

プログラム

5月2日 
13:20--13:30 諸注意

13:30--14:10 土谷 昭善(東京大学大学院数理科学研究科)
Perfectly contractile graphs and quadratic toric rings
#講演方法:スライド [pdf]

14:20--15:00 柴田 孝祐、寺井 直樹(岡山大学大学院自然科学研究科)
Edge-weighted edge ideals of very well-covered graphs
#講演方法:スライド [pdf]

15:10--15:50 東谷 章弘(大阪大学大学院情報科学研究科)
トーリックFano多様体のコホモロジー剛性問題について
#講演方法:黒板での板書

16:00--16:40 矢澤 明喜子(信州大学大学院総合医理工学研究科)
ループ付き完全グラフから決まる行列の固有値について
#講演方法:スライド [pdf]

16:50--17:30 沼田 泰英(信州大学理学部)
2変数完全交叉の掛け算写像の表現行列について
#講演方法:書画カメラ


5月3日 
13:30--14:10 松田 一徳(北見工業大学工学部)
Gorenstein graphic matroids
#講演方法:スライド(ipad手書き) [pdf (サイズ大きめ注意)]

14:20--15:00 柴田 孝祐(岡山大学大学院自然科学研究科)
分割(n-2,2)と(d,d,1)に対するSpecht idealの極小自由分解
#講演方法:スライド [pdf]

15:10--15:50 村井 聡(早稲田大学教育学部)
対称群の作用で固定される単項式イデアルのBetti table
#講演方法:スライド(ipad手書き) [pdf (サイズ大きめ注意)]

16:00--16:40 菅野 裕樹(大阪大学大学院情報科学研究科)
Cameron-Walker graphのregularity, h-多項式, 次元, 深度について
#講演方法:スライド [pdf]

16:50--17:30 大杉 英史(関西学院大学理工学部)
単位単体のミンコフスキ和のトーリックイデアル
#講演方法:スライド(パワーポイント)[pdf]

集会をやって感じたこと・当日のトラブル・アンケート結果など

※ 今回思ったことなどを取りとめもなく書いています。あまりまとまっていないのですが、参考になる部分があるかもしれないのでそのまま載せています。

【オンラインでの講演についての感想】
 スライド講演なら対面でもオンラインでもあまり様子は変わらないだろう、と思っていたが、スライド講演は、講演者が見えないことで思っていた以上に対面の時と雰囲気が変わる印象であった。普段、講演者の表情・身振りなどから意外と多くの情報を得ていたのかもしれない。スライドの講演は通常の集会であっても失敗しやすいので注意が必要だが、オンライン集会でのスライド講演は、より注意深く準備するべきなのかもしれない。 (こんなことを書くとオンライン集会での講演のハードルを上げてしまうかもしれませんが、今回の殆どの講演はスライドで、参加者のほとんどはオンライン集会があったらまた参加したいと言っていますので、このコメントを見て尻込みする必要はないでしょう。)

 講演者からは講演中に参加者の様子が見れないとやりにくいというコメント、参加者からは講演者の顔が見れた方が良いというコメントがあった。通信量が増えるという話はあるが、講演中も参加者・講演者のビデオはできるだけONにして貰った方がよいのかもしれない。参加者の何人かがビデオを付けておいて、講演者の講演に相づちを打っていたりするのが見えていると、講演者は講演がやりやすいようであった。
 逆に、黒板をカメラで写す講演であれば、本人自体が写っているので、対面での講演とあまり変わらない印象であった。勿論、文字が読める必要があるので、文字の大きさには注意が必要。

  講演中の質問は、最初は挙手でお願いしていたが、直接音声発信してもらった方が講演者にも座長にも分かりやすい。二日目からはその方法に変えました。
 
   アンケートでは、自分が講演することになった際の講演方法として、ホワイトボードソフトなどを使った板書に近い講演を考えておられる方が多かった。残念ながら、今回はそのような講演はなかったのが少し残念でした。

【当日のトラブル】
結局トラブルはほどんどなかったのですが、幾つかあったものは以下の通り。
- 黒板をカメラで写す講演では、ipadで見ると端が切れて見えない部分があったという報告があった。 この問題は、講演者のビデオ設定を"ワイドスクリーン"から"オリジナル"に変更することで解決するはずです。
- 講演開始直後に講演者のwifi接続が切れるトラブルがあった。今回は講演者が直ぐにwifiの接続先を変更することで対応できたが、講演者が上手く接続できなかった時にどのように対処するかはあらかじめ決めておくべき。
- 手書きpdfファイルの講演で、共有したファイルが真っ白で何も表示されないというトラブルがあった。手書き部分が注釈扱いになって表示されないようになっていた、ということでした。PDFをフラット化しておけばよいそうですが、このようなトラブルがないよう、講演者には前日に自身のスライドを実際に移るかどうかのチェックをしておいてもらうべき。
- 学生に講演をお願いする際は、少し配慮が必要かと思いました。講演中に高速通信の容量をオーバーの危険があった方、家に一人部屋が無い方、アパートに住んでいるので、講演中の声が隣の人への騒音になっるのではないかと気になったとおっしゃていた方などがました。通信環境に問題ないかの確認や、無理に講演をさせることがないような配慮が必要かと思いました。
- 個人あてのチャットを間違えて全員に送ったとか、編集途中のチャットを送ってしまった、という予想通りのトラブルは何度かありましたが、これらは深刻なものにはなりませんでした(これも予想通り)。
- 最初の休み時間に参加者のミュートを解除したが、これは大失敗である。参加者のミュートはホスト側から解除すべきではない。

【その他】
・ 連絡事項があるときは、画面共有で情報を伝えるより、紙にサインペンで書いてwebカメラなどで写した方が早い。
・ 講演者と世話人で、考えている講演方法で問題が出ないか事前にテストを行っておくべき。今回の場合、4月中旬に講演者に一度集まってもらい、スライドの共有などについてテストしてもらいました。これで、幾つかトラブルを当日までに修正できました。
・ 質疑応答は、簡単に答えられる質問などは、対面の時と同様にできるのだけれど、一歩踏み込んで少し議論が必要な質問などは難しい。通常の集会であれば、講演後に黒板の前で議論したりすることがあるが、そういうことのが上手くできればよいなと思います。ブレイクアウトルームなどで上手いことできないかと思っていたが、今回は休憩時間を短く設定してしまったのでそもそもそういうことをするには時間がなかった。
・ 夜にオンライン飲み会も設定する(懇親会より、合宿の飲み部屋的な雰囲気のもの)と良いのではないかと感じました。
・ zoomのHPでの設定で共同ホストを設定できるようにし、ホストを複数にしておくとホストの負担が減るのでお勧め.
  ・ 念のため「ホスト以外共有を開始できない」設定にしていましたが、講演のたびに講演者を共同ホストにするのも面倒なので、参加者はだれでも共有を開始できるようにしてよいと思いました。
・ 参加もお手軽ですが、世話人の仕事も普通の集会より少ないので開催も比較的楽にできる印象です。

以下アンケート結果を集計したもの

(回答者数は27名です。非常に多くの方に解答して頂きました。また、アンケートの作成・集計には明治大学の松岡直之さんに手伝って頂きました。皆様ご協力ありがとうございました!)

Q1. 集会中に起きたアクシデントがあれば教えてください。

音が途切れ途切れ:2名
Zoomミーティングへの接続が切れた:1名
講演中、画面が切れて一部見えない箇所があった:1名
PCおよびワイヤレスフォンのバッテリーが切れそうになった:1名

Q2. 講演時間(40分)についてはどのように感じましたか。

丁度良い:23名
長い:1名
短い:0名
その他(各1名)
・少しだけ長いかもしれない
・一般の集会と同じように感じたので、その集会の目的に合わせれば良い
・板書は40分で丁度良い. スライドで集中できるのは30分程度

Q3. 休憩時間(10分)についてはどのように感じましたか。

丁度良い:10名
長い:1名
短い:14名
その他(各1名)
・10分はちょうど良い。質疑応答等で休憩時間が5分以下になると短いなと感じた。
・10分で丁度良いと思いますが、時々20分にして頂けると、喫煙者としては有難いです。

Q4. 質問のしやすさは、通常の研究集会と比べてどう感じましたか。

質問しにくかった:2
質問しにくくはなかった:6
特に変わらない:14
その他(各1名)
・ネットに自信がないのでしませんでした.できると良いとは思いましたが.
・ 単に不慣れなせいですが、自分のマイクが on か off  かが、咄嗟には分からないことが有った。
・ チャットでプライベートで送れたりしたのが良かった
・ 若干、普段より質問しにくいように思いましたが、慣れの問題かもしれません。
・ 講演途中の質問はしにくく感じた

Q5. 通常の研究集会と、今回のようなオンライン研究集会では、どちらのほうがよいと感じるでしょうか。5段階評価でお答えください(数が小さい方が通常の集会が良い、大きい方がオンラインの方が良い)。

1: 1名
2: 8名
3: 12名
4: 6名
5: 0名

(※ オンラインが良いと答えた方は大学院生が多かったです。)

Q5. 今後、オンライン研究集会が開催されたら、また参加したいと思いますか?

思う:27名
思わない:0名

Q5. 今後オンライン研究集会が開催される場合、講演をしたいと思いますか?

是非やってみたい: 11名
難しそうだがやってみたい:9名
難しそうだから無理:3名
その他(各1名)
・今更しなくても良いというのが本音です。
・ 若い日本人の共著者がいたら、そちらに頼むと思います。
・ あまり気は進まないが適応してやれるようにしなければと思います。
・ 学力が足りないです

(※ 難しそうだから無理の3名は全て修士の大学院生。)

Q6. 上の質問で「是非やってみたい」あるいは「難しそうだがやってみたい」と答えた方に質問です。講演形式について何か考えているものがあれば選んでください(複数選択可)

PDFやPowerPointのスライド資料を使う:16名
黒板を写す:4名
ホワイトボードソフトを画面共有:10名
書画カメラなどで手元を写す:1名
書くことが可能ならば、試してみたい:1名

Q7.今後、オンライン研究集会を開催しようと思いますか?

思う:13名
思わない:14名

頂いたコメントで今後の集会の企画に参考になりそうなものの紹介

【講演に関するもの】
・講演中は、まわりに人の目がないので、集中力が続かなかったです(カメラを切っていると特に)。その意味では、講演時間40分というのは良かったと思います。
・講演方式は、スライドの方が見やすかったですが、黒板の講演の方が集中して聞きやすかったです。多分これは、通常の研究集会と同じかと思います。集中力の関係から、スライドなら30分、板書なら40分というように設定するのも良いかもしれません。
・講演中は、講演者にスポットライトを当てておくといいかも?スポットライト使ったことがないので仕様がよくわかってませんが。
・講演の準備をしていた思ったことですが、対面時の40分スライド講演より、伝えられる情報量が少ないように感じました。理由はよくわかりませんが、顔が見えない分、いつも以上に丁寧に説明せねばと思うからでしょうか?
・講演中の質問が少なかったような気がするので、参加者が自分で勝手にミュートを外して質問するのをデフォルトにしてもよいかもしれないと思いました。
(※ これは同様のコメントを何人かから頂き、二日目からはそのようにしました。)
・私がZoomに慣れていないからか、目がかなり疲れました。私が集中して聴けるのは3講演くらいが限度かもしれません。
・ 講演者の顔が見れない講演がありました。書画カメラと声だけで内容は理解できましたが、やはり講演者の顔が見れた方が良かった。
・板書をカメラで写す場合は、ホワイトボードより黒板の方が良さそうと感じた。黒板では気になるほどではなかったですが、ホワイトボードは光の具合で見にくい部分が発生しそうな印象です。
・黒板の講演は、白と黄色の色の差が分かりにくかった印象。

【休憩時間に関するもの】
・休憩時間は質疑応答が終わってから10分ならちょうどいいかもしれません。
・休憩時間は講演を真面目に全部聞こうと思うと、短いという感じです。また、休憩時間が長い方が、講演後の質問を時間を気にすることなく気兼ねなくできたり、講演後の質問などをチャットで行ったりできるように思いました。
・休憩がかなり短いと思いました。実質5-10分程度の休憩だと、お手洗いが長い方や近くにない方は必然的に講演中に席を外すことになりそうです。

【質疑応答・他の参加者とのコミュニケーションに関するもの】
・気軽に参加できるのは、かなりのメリットだと思いましたが、休憩中に雑談できないのは(オンラインだと仕方ないですが)デメリットであると感じました。別部屋に移動して雑談することもできるとアナウンスされてましたが、休憩時間が短いと別部屋で話す時間も少なくなってしまいますし、だからと言って休憩時間を長くしてしまうと、他の参加者がダレてしまうかと思います。この辺りの裁量は、オーガナイザーが何を重視するかに依るかと思います。
・上記の理由から、休憩時間は今回のように10分くらいで良かったと思いました。質問が多ければ、5分くらいスケジュールを遅らせていけばいいですし、そのあたりはオンラインでもフレキシブルにできるかと思います。
・他人と話しているという感覚が希薄になる感じがしました。たぶん慣れの問題もあるかと思いますが、なるべく多くの方がビデオをオンにされていると講演者も話しやすいのかなと思います。

【その他】
・研究発表講演や集会に対する考え方や価値観が変わる時期に来ていると思います。
・オンライン集会、いい所も悪い所もありますよね。他の人とのコミュニケーションという面では、通常の集会にはやはり大きく劣ります。一方で、お金も場所も不要で気軽にできる面もあるので、今の状況が収束しても、たまにはやっても良いのかなとも思います。
・主催は普通の開催よりも気を使うことが多そうな気がした。慣れの問題もあるのかも。
・気楽に参加できる(今回のようにURLが共有されている場合)のは非常に大きな利点だと思いますが、他の参加者と気楽に話ができないのが不便ですね。
・本気で聞こうと思うと、2画面は最低限ほしいですね。あとは、ノートをとる場所を用意すると画面のすぐ前になってしまうので、部屋の配置替えを検討したくなりました。
・オンライン会議に限らず、色々なオンラインツールをうまく使えるようになっていかないといけないのかも、と思っています。
・ このような状況の中で、みなさんが元気にしていることが伺えたことと、(オンラインですが)ひとつの場所に集まっていることが感じられて、励みになりました。
・講演中や休憩中に世話人が「次の講演は何分から」などの指示を紙に書いて写していたのは、わかりやすくて良かったと思います。
・講演中や休憩中に(ワイヤレスイヤフォンをしたまま)お手洗いに行ったりする方もいるかもしれないので、やはり、ミュートを主催者がオフにするのは危険かもしれません。
・講演方法についての紹介とか、起こりうるトラブルとその解決方法とか、情報サイトでも作ってまとめておくと役に立つかも。
・顔が見えないので、分野外の人も参加しやすいというメリットもあるように思いました。