2005年11月16日 ワンワート゛/ワンミーニンク゛ (あい昧な形容詞・副詞) 目次 >>


 
● ワンワ-ト゛/ワンミ-ニンク゛ (one word/one meaning) [ あい昧な形容詞・副詞に注意 ]


 形容詞や副詞をいたずらに使用しないよう気をつけたい。「花はいろいろな色をしていた」 よりも、「菊は赤、黄、白だった」 のほうが明確である。
 つい最近、某社の研修生から送られてきた手紙を紹介する。

 [ 例 ] 篠田先生へ
  次回の科学工業英語の研修まで、しばらく海外へ出張に行ってきますので、英語の宿題の提出が遅れてしまいます。期日が過ぎてたいへんご迷惑の事とは思いますが、帰国次第お送りしますので添削をお願いします。
                                                河野太郎

 必要もないようなことを、手紙で通知してくるのだから、真面目な社員に違いない。しかし、この文面から、受信者は、手紙を無視するばかりか、差出人を軽視し、上司の教育が悪いと思うし、あげくの果ては、会社までも信頼しなくなろう。「しばらく」 とは 「どのくらいの期間」 だろう。あい昧で、読む人にはわからない。書いている人にしかわからない。この種の あい昧な形容詞や副詞が論文あるいは レホ゜ート で実に多く用いられている。

 [ 例 1 ] 実験値から求められた B (E2) の値を入れて計算を補正すると図の様に
      良く一致できた。(専門誌)

 [ 例 2 ] 自由崩壊率に比べると十分速い。(専門誌)

 [ 例 3 ] 以上、低 エネルキ゛ー 重 イオン 反応に現れる現象とそれに関する最近の研究を
      雑多に眺めてきた。(専門誌)

 [ 例 4 ] 融合反応で生成した複合核は一般に励起 エネルキ゛ー を持つが、それが高い場合、
      重い核では容易に核分裂を起し細分化する。一方励起 エネルキ゛ー を十分に下げる
      為には照射 エネルキ゛ー を対応して下げる必要があるが、それにより反応の障壁を
      乗り越える確率が大幅に下がり有意な断面が得がたくなる。(専門誌)

 [ 例 1 ] の 「良く」 は 「完全に一致した」 のほうが明確であり、[ 例 2 ] の 「十分速い」 はどの程度 「速い」 のかが理解できない。[ 例 3 ] の 「雑多に」 は著者の意図していることがわからないし、「雑多に眺める」 は品がよくない。「種々検討した」 のことではないだろうか。[ 例 4 ] でも、「高い」 「重い」 「十分に」 「大幅に」 の程度が明確でない。
 すでに、「大きい」 の あい昧性を指摘したが、時によって程度が違う単語を、どうしても使わなければならないときは、その形容詞の後で、次のように、その程度を具体的に説明しておくべきだ。

 「合理的な割合、つまり、51 対 49 で分ける」
 「寒い朝を迎えた。温度計は マイナス 三度を指していた」

 
 「...的」 や 「...性」 を使って、われわれは造語しがちだが、造語が あい昧になることもある。
 次回は、「...的」 「...性」 について述べる。

 
▼ 参考文献
 「コミュニケーション 技術」 (篠田義明、中公新書) から転載引用しました。




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