2007年 5月16日 パラグラフ のまとめ方 [ その 17 ] 目次 >>


 
● 総論と各論の連結


 書いたものを読んでもらいたければ、目的を読み手が容易に理解でき、内容を最も効果的に伝達できるように書くとよい。そのためには、それぞれの パラグラフ の総論と各論が有機的に結びつくような構成にする。

   [ 例 1 ] 室内で起こる ガス 中毒の可能性をなくすために、安全対策を講じる
    ことができる。第一に、ガス 漏れ報知機を ガス 会社の負担で全家庭に設置
    することを提案する。報知機の通報により、夜間の睡眠中や食事の支度などで
    ガスコンロ に点火する前にも ガス 漏れが察知できる。第二に、室内に ガス
    の元栓を付けるべきである。元栓を閉めておけば、ガス 漏れの心配はなかろう。
    第三に、ガス に色を付け、悪臭を放つように工夫すべきである。色と臭いには
    動物は案外鋭い反応を示すため、漏れに気づくものだ。(提案書)

 この パラグラフ では、総論で主要概念、つまり 「安全対策をとることができる」 と述べ、他の文で その主旨を詳細に説明している。総論で、解説するべき パターン を確立し、その後で三つの文が 「安全対策」 の内容を説明し、これらの三つの それぞれの直ぐ後に、その文を さらに細かく説明した文が続いている。

 総論 「室内で起こる ガス 中毒の可能性をなくすために、安全対策を講じることができる」
 各論 「ガス 漏れ報知機を ガス 会社の負担で全家庭に設置することを提案する」
     「室内に ガス の元栓を付けるべきである」
     「ガス に色を付け、悪臭を放つように工夫すべきである」

 各論を説明する文 「報知機の通報により、夜間の睡眠中や食事の支度などで ガスコンロ
     に点火する前にも ガス 漏れが察知できる」
     「元栓を閉めておけば、ガス 漏れの心配はなかろう」
     「色と臭いには動物は案外鋭い反応を示すため、漏れに気づくものだ」

 
 次は好ましくない例だ。

   [ 例 2 」 一月八日付けの インタビュー で那野比古氏は 「第二の パソコンブーム
    が来る」 といっていますが、来ても たいしたものではないと思います。理由は
    モデル が まだ高いこと。
     もう一つは、ユーザー が パソコン に飽き始めているということです。理由は、
    最近 パソコン の目玉ともいうべき ゲーム が、アイデア が底をついたのか おちめ
    になってきており、それを カバー するために、グラフィック や FM 音源がでてきて
    いるが、それも時間の問題でしょう。(新聞)

 この文章は、「理由は モデル が まだ高いこと」 で パラグラフ を終え、「もう一つは、...」 で新しく パラグラフ を起こしているが、両者は密接な関係があるため、分けるわけには行かない。そこで、「... 来ても たいしたものではないと思います。理由は モデル が まだ高いことと、ユーザー が パソコン に飽き始めていることです」 と、まず、理由の項目を二つ上げ、次に 各項を説明することにより、文が分析されて内容が理解しやすい。そこで、読み手は どの位の値段かとか、モデル が高いことについての理由なりを知りたいだろうが、それについて 全然 触れてないので 明快に パラグラフが構成されているとは いえない。次のように訂正すると よい。

    「... 理由は モデル が まだ高いことと、ユーザー が パソコン に飽き始めている
    ことです。モデル は ○○○○ 円もし、安 サラリーマン では到底手が届きません。
    また、飽き始めていることは、パソコン の目玉ともいうべき ゲーム の人気がなく
    なっていることからもわかります。そして、それを カバー するために、グラフィック
    や FM 音源がでてきているが、それも時間の問題でしょう」


▼ 参考文献
 「コミュニケーション 技術」 (篠田義明、中公新書) から転載引用しました。




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