2008年 6月 1日 おわりに 目次 >>


● おわりに

 科学技術は時々刻々と進歩をし、社会機構も日に日に複雑になってきているので、われわれを取り巻く文章も複雑の一途をたどっているのは言うまでもない。そこで、伝達手段である文章を時代に即応した作法で、わかりやすく書かなければならないわけだが、旧態依然の書き方をしている人が多い。旧態依然ならまだしも、文章を書く力が低下しているため、達意簡明な文の書けない人が多くなった。このため、わかり難い文章の氾濫という現象が生じている。これは、われわれに時間的にも、経済的にも、測り知れない損失を招く。わかり難い文書は、台所の ゴミ、家の隅にたまる ゴミ に続く、第三の ゴミ だからで、始末におえない。社会は文書で動いている。簡単に書けて、すぐわかる文章こそが、いまの時代に大事なのである。

 本 ホームページ で紹介した ミシガン 大学での コミュニケーション 技術の指導要項からもわかるおゆに、書き方、話し方の外国での指導は高等教育でも徹底している。日本でも この日が遠からず到来することを念じている。本 ホームページ に書いたことは わかりやすい文章作法のすべてではないが、これで一応おしまいにしておく。

 
[ 参考文献 ]

 井口虎一郎 編 「話しことば書きことば」 大修館書店 1977年
 池田弥三郎 編 「ことばの遊びと芸術」 大修館書店 1976年
 石丸晶子 他 「文章入門」 有斐閣 1982年
 板坂 元 「考える技術・書く技術」 講談社 1973年
 岩淵悦太郎 「第三版 悪文」 日本評論社 1979年
 大石初太郎 「文章批評」 筑摩書房 1980年
 扇谷正造 「現代文の書き方」 講談社 1965年
 加藤秀俊 「自己表現」 中央公論社 1970年
 樺島忠夫 「文章構成法」 講談社 1980年
 金田一春彦 編 「日本語の姿」 大修館書店 1976年
 桑原武夫 「文章作法」 潮出版社 1980年
 篠田義明 「テクニカル・イングリッシュ──論理と展開」 南雲堂 1981年
 篠田義明、マスィズ・スティーブンスン 「科学技術文の レトリック」 南雲堂 1986年
 庄野英二 監修 「文章の書き方」 創林社 1981年
 J.C. Mathes and D.W. Stevenson : Designing Technical Reports, 1976,
  The Bobbs-Merrill Company, Inc. (U.S.A.)
 J.C. Mathes and D.W. Stevenson : The Technician as Writer, 1980,
  The Bobbs-Merrill Company, Inc. (U.S.A.)
 鈴木孝夫 編 「日本語の語彙と表現」 大修館書店 1976年
 谷崎潤一郎 「文章読本」 中央公論社 1934年 (中公文庫版 1973年)
 ダイヤモンド 社編 「文章の書き方・学び方──上手な文章・下手な文章」 1973年
 Charles C. Fries : The Structure of English, 1961, Longman, Green and Company.
 鶴見俊輔 「文章心得帖」 潮出版社 1981年
 中村 明 「日本語の レトリック」 筑摩書房 1983年
 芳賀 綏 編 「社会の中の日本語」 大修館書店 1976年
 馬場博治 「読ませる文の書き方」 創元社 1983年
 本多顕彰 「文章作法」 社会思想社 1979年
 本多勝一 「日本語の作文技術」 朝日新聞社 1976年
 丸谷才一 「日本語のために」 新潮社 1974年
 Rudolf Flesch : The Art of Readable Writing, 1949, Harper & Row Publishers, Inc.   



▼ 出 典
 「コミュニケーション 技術」 (篠田義明、中公新書) から転載引用しました。




  << もどる HOME すすむ >>
  ロシ゛カル・ト゛キュメント 作成法 目次