2005年11月 1日 篠田義明の問わず語り 目次 >>


 
● 英語の前に日本語の論理構成を


 文章は誰にとっても大事なことである。携帯電話が普及してきた昨今であっても、 日常生活でも会社でも、手紙を書かなければならないし、いろいろな書類を作成しな ければならない。すべての仕事は文書で始まり、文書で終る。私たちの仕事は文書で 動いているといえる。「よい製品を作れば売れる」 「よい仕事をすれば認めてくれ る」 という考えは現在の ヒ゛シ゛ネス には通じない。その存在を文書で知らせなければな らない。

 4月 6日の朝日新聞の 「ニッホ゜ン 人・脈・記」 で住友化学社長の米倉弘昌氏は 「アメリカ 企業からの技術取得を手がけた。失敗もある。合意を得たのに正式文書にしな かったことなどから、日本の同業他社に逆転された。英語は書く・読むも大切だと痛 感する」 と述べている。
 ところが、近年は、文章を書かなければならないのに書けない人が多いという。こ れを コンヒ゜ューター などの機械に頼ることが多くなって、ホ゛ールヘ゜ン や鉛筆で書く機 会が少なくなったからだと機械に責任に転嫁することができるであろうか。

 言語能力は,人間のもっている能力の中で最も重要である。私たちは言語によって 思考し、意思の伝達をする。言語で理論を組み立て,文章を書く。その言語は私たち は日本語である。だから日本語がしっかりしていないと、何も コミュニケーション が できないことになる。
 外国語の学力などを云々する前に,まず日本語の学習,特に,論理的な文章構成の 勉強を、しっかりとしなければこれからの日本人は日本語もできなければ英語もでき ない奇怪な国民になってしまうであろう。

 近年、文章が書けなくなったのは、コンヒ゜ューター などの機械に頼るというより も、○× 式や五択問題の試験に飼いならされてしまった結果と見るのが適切であろ う。企業でも ○× 式の検定試験を導入しているから、ますます頭を使わない社員が出 現するのである。この結果が部署が活性化しなくなる。活性化しなくなると業績にも マイナス の影響が出る。マイナス になると文章力を欠く管理職の人々は ヒ゛シ゛ョン を示 して部下にやる気を起こさせないし、適切な リータ゛ーシッフ゜ を発揮できないのであ る。個人情報の流出に牙をとがらしている昨今だが、点数で評価される試験には社員 は何ら反応を示さないのは、企業で実施している ○× 式試験には正確に能力が測定で きないことを承知しているからであろう。○× 式の試験は受験料の無駄であり、能力 の消滅を招く。

 私たちは、英語を小学校で始めるということを考える前に、母語である日本語で論 理的に書き、話す能力を身につける勉強を真剣に考えなければならない時に直面して いるのである。





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  篠田義明の問わず語り