2010年11月16日 定冠詞で注意すべき点 (その 2) 目次 >>


 
[ 前回から続き ]

● 社名には The がつくか


 社名に The がつくか、つかないかの問題は、それぞれの会社の慣習によるもので、その会社が最初から the をつけていればつけなくてはならず、つけていなければつけない。社名に定冠詞をつけるかつけないかで内容が変わるわけではない。

 
● 銀行名には The がつくというが


 一般に、銀行の名前には、次のように定冠詞がつくことが多い。

 The Sumitomo Bank, Limited/ The Daiwa Bank, Limited/ The Asashi Bank, Ltd./ The Mitsubishi Bank, Limited/ The Mitsui Trust & Banking Co., Ltd./ The Bank of England/ The Bank of America

 しかし、これらも掲示とか広告類では、The を省く傾向が強い。これは、スペース とお金の節約からのようだ。有料の掲示や広告などでは、支払う額は字数や スペース に左右されるからである。

 
● 総称的用法


 The dog is a faithful animal. (犬は忠実な動物である)

 The car runs on gasoline. (自動車は ガソリン で走る)

 The computer has revolutionized industry. (コンピュータ は産業界に革命を与えた)

 に見られるように、総称の冠詞がある。しかし、これは主語として主部に置かれた場合だけである。

 
● 冠詞の省略


 by car のように by が手段を表わすときには、原則として冠詞を省略することは学校で習った。また、at table (食事中) のように 「名詞の持つ特有の機能」 を表わすときとか、electron and proton (電子と陽子) とか north and south (南北) などのように 2個以上の相反する名詞が and で結ばれるときなどは冠詞を省略するのが普通である。しかし、

 Remove pin from cover. (カバー から ピン を外しなさい)

 のように、マニュアル の インストラクション で定冠詞の省略が起こることが アメリカ では多い。これはわかりきっているためと、字数の節約からである。

 Remove the pin from the cover.

 では、読むときにわずらわしいからで、これらの定冠詞は省略しても、内容には何も影響を与えない。

 
● a と the で意味が異なる


 不定冠詞か定冠詞かにより、内容が異なる場合があるから注意をしよう。

 May I use a second pen?

 May I use the second pen?

 のような場合である。前者は 「もう 1本の ペン を貸してください」 であり、後者は 「2番目の ペン を貸してください」 のことになる。

 This is the most beautiful scenery I have ever seen.

 は 「いちばん美しい景色」 であり、

 This is most beautiful scenery.

 では 「非常に美しい景色」 のことになる。

 冠詞を正しく使うのは至難の業である。しかし、基本的な間違いは防がなければならない。冠詞は、慣用用法もあるので、信頼のおける英英辞典や英和辞典、あるいは、英文法書で調べることを勧める。

 
▼ 参考文献
 「社会で役立つ 英語習得の テクニック」 (篠田義明、研究社出版) から転載引用しました。




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