本講義では、政治的言説の変容に焦点を合わせた新しい思想史研究の方法をふまえると同時に、「近代的なるもの」の問い直しという今日の政治思想的課題に応える探求を目指す。はじめに政治思想史の方法と課題について概観し、<政治思想の伝統と近代>という主題を提示する。その主題をめぐり、最初に政治哲学の古典的伝統について、ついで、近代におけるその変容と持続について考察する。後者について、とくに、近代政治思想の主要概念の生成と変容を、主として主権国家の形成期から啓蒙時代までの初期近代の思想史的文脈のなかで明らかにする。具体的には、近代的国家概念の形成を主権概念とのかかわりで考察し、さらに、共和主義、立憲主義、自然権という近代的な政治理念と、社会契約という近代的政治秩序の構成原理の形成過程を探究する。最後にそうした政治概念の近代性の意味を、啓蒙思想の再検討の文脈の中で考察する。 講義の具体的な進め方としては、概説を避け、テーマに沿って基本的な論点の提示と原典からの基本テキスト、および重要な研究論文の参照をもとに、報告や討論を中心にして進める。