講義内容
本演習では西洋政治思想史上の古典的著作を、古典として現代になおなお生きつづけていることの意味を考えながら、それぞれのテキストの書かれた文脈についても調べながら、じっくりと読むことをひとつの目標としている。本年度は、いま、あらためて「啓蒙とは何か」を考えるという視点から、ルソーや百科全書派、、またカントの古典に立ち戻る。同時に、啓蒙思想の歴史的コンテキストとして、書物や新聞の読者としての公衆の登場や世論の成立に着目しながら、市民社会と公共圏の形成について考察する。さらに、アドルノ、ホルクハイマー、ハーバーマス、フーコーらの著作を読んで、私たちが現代の政治について考えるときに啓蒙思想はどのような意味をもっているのかを検討する。このようにして啓蒙の政治的ヴィジョンの多様性と現代性の再検討を目指す。
授業計画
3年生のゼミは共通テキストの分担報告を中心とする。本年度の主題に即して、古典を輪読すると同時に、それらのコンテキストに関する報告を分担して行う。夏期合宿では主題に関わる現代思想を取り上げる。こうした共通の取り組みと同時に、ゼミ参加者は、広く政治思想にかかわる領域から、それぞれ自分の問題関心にしたがってテーマを選び、研究をすすめることになる。3年生の演習から、その報告と討論の機会を定期的にもうける。こうした演習での成果を基礎に、4年生ではゼミ論文の作成にむけた指導と、中間報告が中心となる。各自の問題関心にしたがって研究を深めると同時に、できる限り、他のメンバーの取り組んでいる問題への関心を共有し、知識の幅を広げてゆけるようなゼミの持ち方を追求したいと思う。
教科書
ルソー『学問・芸術論』『人間不平等起源論』『社会契約論』、カント『啓蒙とは何か』など。
参考文献
- ロイ・ポーター『啓蒙主義』(岩波書店、2004年)。
- カッシーラー『啓蒙主義の哲学』(ちくま学芸文庫、2003年)。
- ピーター・ゲイ『自由の科学 ―ヨーロッパ啓蒙思想の社会史』(ミネルヴァ書房、1982年)。
- ヴェントゥーリ『啓蒙のユートピアと改革』(みすず書房、1981年)。
- ダーントン『禁じられたベストセラー ―革命前のフランス人は何を読んでいたか』(新曜社、2005年)。
- ホルクハイマー、アドルノ『啓蒙の弁証法』(岩波書店、1990年)。
- ハーバーマス『公共性の構造転換』第2版(未来社、1994年)。
- フーコー「啓蒙とは何か」(『ミシェル・フーコー思考集成』X(筑摩書房 、2002年)。
その他、ゼミのなかで紹介する。
評価方法
ゼミは毎回の参加と、そこでの分担課題と各自の研究テーマについての報告が基本で、それに加えて、最終的にゼミ論文で評価することになる。