フィレンツェだより
2007年4月9日



 




ボーボリ庭園から見た遠景



§ボーボリ庭園

今日は休日だし,月曜はどの美術館も休みだ.“家で仕事の一日”にしようかとも思ったが,全く外に出ないのも体に悪いと思い返し,やはり出かけることにした.


 昨日,ミケランジェロ広場からの帰りに寄れなかったベルヴェデーレ要塞とバルディーニ庭園のあたりでも散歩して来ようかということになったが,せっかく川向こうに行くのだし,ピッティ宮殿の中のパラティーナ美術館は休みではあるが,宮殿の裏にあるボーボリ庭園(ジャルディアーノ・ディ・ボーボリ)は入れてくれるようなので,ついでに行ってみることにした.

 昨年のローマの旅行で,ユーロスターに乗ってフィレンツェを日帰りで訪れた時,ウフィッツィは最初からあきらめて,ピッティ宮殿に行き,パラティーナ美術館の諸作品を堪能したが,帰りの電車の時間の都合もあり,ボーボリ庭園その他は見ていない.

 月曜は,パラティーナ美術館と近代美術館は休みだが,ボーボリ庭園,陶磁器博物館,衣装博物館,銀器博物館は開いていて,4つの施設セットで6ユーロの入場料だ.



 休日で,多くの美術館などは休みだから,観光客が少ないのではないかと思ったが,甘かった.すごい人混みで,これだけ天気の良い休日に人が少ないということはフィレンツェではあり得ないようだ.イタリアだから当たり前ではあるが,イタリア語が飛び交っている街角に出ると,イタリア国内からの人が多いように思えた.

 雑踏の中から横目に見たサン・ジョヴァンニ洗礼堂,ジョットの鐘楼,ドゥオーモが青空に映えて実に美しかったので,思わずデジカメに収めた.今のところ,私も完全な観光客だ.

写真:
右から
ジョットの鐘楼,ドゥオーモ,
サン・ジョヴァンニ洗礼堂


 今日は脇道を行かず,正攻法でヴェッキオ橋(ポンテ・ヴェッキオ)を渡って川向こうに行こうということになったが,これが大変だった.ヴェッキオ橋のみか,川の両側ともものすごい人出で,橋を渡ってからも,グィッチャルディーニ通りをゆっくりゆっくり進んだ.

写真:
人でごった返す
ヴェッキオ橋


 ピッティ宮殿の前の広場は以前来た時もそうだったが,日光浴(服は着ている)をしながら憩っている人が多く,ゆったりとした気持ちになれる空間だ.まだ2回しか訪れていないが,何か懐かしい気分になれる,とても好きな場所だ.

 ボーボリ庭園の紹介に必ず出てくるのが,広い風景と右の写真の「小人の噴水」( チョーリ作,「小人モルガンテ」)だ.この像は広い(本当に広い!)庭園を一通り歩いた後,出口にたどりつく直前に見られる.

写真:
チョーリ作,「小人モルガンテ」
誰もがここでパチリと撮る


 その少し手前にあるのが「ブオンタレンティの小洞窟」(グロッタ)だ.人造の小洞窟(グロッタ)を作る趣味が流行し,そこからグロテスク(イタリア語ではグロッテススコ)という語ができたのは何となく知っていたが,あまり良い趣味とは思えない.

写真:
ブオンタレンティの小洞窟


上の写真でわかるように中央上部にメディチ家の家紋が入っている.ここにはジャンボローニャのヴィーナス像があるとのことだが,下の写真のエロティックに見える像がそうだろうか?

写真:
グロッタ内部
かなり奥行があって,
光は奥まで届かない


 ボーボリ庭園の広さは,下の写真でも想像してもらえるかも知れないが,天気が良く,体力に不安がないときは,木漏れ日のさす通り道などもあり,フィレンツェの喧騒を忘れさせてくれる,大変良いところだ.

 宮殿からまっすぐ丘をのぼった先の,一番高い眺望の良いところにある陶磁器博物館(ムゼーオ・デッレ・ポルチェッラーネ)がなかななか見ごたえがあったが,庭園を出てから最後に行った銀器博物館(ムゼーオ・デーリ・アルジェンティ)に見るべきものが多かった.

 作家の名前を忘れてしまったが,幼児のキリストと洗礼者ヨハネの銅でできた小さな像が印象に残った.薄暗い光に包まれた天井の高い豪奢な部屋で,トスカーナ大公であったメディチ家の栄華の後を見つめた.





ボーボリ庭園
丘の上に登る坂