・東京地判平成11年4月22日判タ1006号257頁  FM信号復調装置事件(カードリーダー事件):第一審。  原告は「FM信号復調装置」に関するアメリカ合衆国の特許権を有する者で、被告の日 本国内における行為(被告製品を米国に輸出する目的で製造する行為、被告製品を米国に 輸出する行為、子会社その他に対して米国において被告製品を販売またはその申し出をす るように誘導する行為)が原告の特許権の間接侵害に当たると主張して、被告に対し、差 止めおよび損害賠償を請求した。  判決は、差止請求に関しては、属地主義の原則、特許独立の原則等を根拠として、当該 特許権が登録された国である米国の法律が準拠法になるとした。しかし、米国特許法にお ける域外適用の規定に関しては、属地主義の原則やわが国の特許法に同様の規定がないこ となどを理由に、これを日本国内の行為に対して適用することはわが国の法秩序の理念に 反するものであるとして、法例33条によりその適用を認めず、原告の請求を棄却した。  また、損害賠償請求に関しては、不法行為地方である日本法が適用されるとした上で、 属地主義等を根拠に、米国特許権はわが国の不法行為法によって保護される権利には当た らないと判示して、原告の請求を棄却した。 (控訴審:東京高判平成12年1月27日、上告審:最判平成14年9月26日) ■評釈等 大友信秀・ジュリスト1171号107頁(2000年) 木棚照一・判例評論498号25頁(2000年) 茶園成樹・NBL679号13頁(1999年) 井関涼子・知財管理50巻10号1559頁(2000年)