・大阪地判平成11年5月27日  ペン型注射器均等論事件。  原告は、医療品や医療用具等の研究開発、製造販売を業とするスウェーデン法人である。 被告は、医療品や医療用具等の研究開発、製造販売等を業とする日本法人であり、「イー ライ リリー ネダーランド ビーヴィ」の子会社である。  本件は、注射液の調製方法及び注射装置についての特許権を有する原告が、別紙物件目 録(一)記載の注射器(被告注射器)及びこれに装着する別紙物件目録(二)記載のカー トリッジ(被告カートリッジ)の販売等をする被告に対し、被告注射器及び被告カートリ ッジは、両者を組み合わせて製造販売等する場合には注射装置について右特許権を直接侵 害し、両者を個別に製造販売する場合には右特許権を間接侵害するとして、また、被告注 射器及び被告カートリッジを使用して行う注射液の調製方法は、注射液の調製方法につい て右特許権を間接侵害するとして、被告注射器及び被告カートリッジの製造、販売等の差 止めを請求している事案である。  判決は、以下のように述べて原告の請求を認めた。  「したがって、被告装置を「水平に近い斜め状態」で保持して行う被告方法は、本件方 法発明と均等の範囲にあるものであって、被告方法は本件方法発明の技術的範囲に属する というべきである。  そうすると、被告装置は、前記認定のとおり、本件方法発明の技術的範囲に属する方法 にのみ使用されるものであり、他の用途に使用されることはないから、被告装置を製造、 販売する行為は、本件方法発明の間接侵害となるというべきである。」 ■評釈等 本間崇・判例評論495号35頁(2000年)