・東京地判平成11年7月23日判時1694号138頁  美術工芸品顧客名簿事件。  美術工芸品の販売等を業とする会社である原告が、その元従業員である被告が、退職す る直前に原告が保有・管理している本件顧客名簿を不正に持ち出して、これを同業の会社 である被告会社に売却したと主張して、不正競争防止法にもとづき損害賠償等を請求した 事案である。  判決は、本件顧客名簿が不正競争防止法上の営業秘密に該当し、被告元従業員の行為が、 その営業秘密の不正取得行為および開示・使用行為(不正競争防止法2条1項4号)にあ たるとして、損害賠償請求を認容した。被告会社に対する請求については、被告会社に悪 意または重過失(不正競争防止法2条1項5号)が認められないし、また悪意で本件顧客 情報を使用して営業したこと(不正競争防止法2条1項6号)も認められないとして、棄 却した。