・東京地判平成11年8月27日  「リンパドレナージュ『やせる君』」事件。  リンパドレナージュ用のマットに関する特許権を有する原告(カーマン株式会社)が低 周波痩身美容器具「リンパドレナージュ『やせる君』」を製造販売しているところ、被告 (株式会社化粧賓館)は、平成六年八月ころからリンパドレナージュ用マットおよびコン トロールボックスからなる被告商品を製造し、被告(レッツ有限会社)および有限会社フ ァット・ビーケーに販売し、被告レッツは被告商品を販売している。  本件は、原告が被告らに対し、被告商品の製造販売は、@原告が有する特許権を侵害す る、A不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為に当たるとして、特許権侵害を理由と する被告商品の製造等の差止めおよび廃棄、ならびに不正競争行為を理由とする損害賠償 を求めた事案である。  判決は、まず、不正競争防止法に基づく請求について、下記のように述べてこれを棄却 した。  「4 以上のとおり、原告が原告商品を製造販売していたとは認められないから、被告 マットが原告マットの形態を模倣したものであるとしても、被告らが被告商品を販売した ことにより原告が営業上の利益を侵害されたとは認められない。また、仮に、原告が原告 商品を製造販売していたことがあるとしても、被告らが被告商品の製造販売を開始した平 成六年八月以降において原告商品を製造販売していたとは認められないから、被告マット が原告マットの形態を模倣したものであるとしても、被告商品の販売により原告が営業上 の利益を侵害されたとは認められない。 したがって、その余の点について判断するまでもなく、原告の不正競争行為を理由とする 損害賠償請求は理由がない。」  また、特許法に基づく差止請求についても、下記のように述べてこれを棄却した。  「2 そこで、まず、被告らが将来右商品(被告商品)を製造販売して、本件特許権を 侵害するおそれがあるかどうかについて判断する。  (一)右1のとおり、被告らは、本件特許権が登録された平成八年四月一六日より後は、 被告商品の製造販売をしていないから、被告らが被告商品の製造販売により本件特許権を 侵害したというべき事実は存しない。  (二)右1のとおり、被告らは、既に三年半以上もの間、被告商品を製造販売しておら ず、本訴において、将来被告商品を製造販売する意思がない旨表明している。  また、右一3イBアで述べたところに前記一1の事実を総合すると、原告マットは、本 体1の表面上に電極が固定され、これと電極ホック4とが本体1の内部に設けられた導線 で接続されるとの構造を有することから、前記一1(四)のような種々の難点があり、そ のため、原告商品を改良した『リンパドレナージュ プロフェッショナル』及び『リンパ インピーダンス』が販売されるようになったことが認められるところ、弁論の全趣旨によ ると、被告商品についても、原告マットと同様の難点があるものと認められる。  (三)以上述べたところを総合すると、被告らが被告商品を将来製造販売して、本件特 許権を侵害するおそれがあるとは認められず、他にこれを認めるに足りる証拠もない。  したがって、その余の点について判断するまでもなく、原告の本件特許権侵害を理由と する差止め等の請求は理由がない。」