・東京地判平成13年11月30日  「日本民家紀行」事件。  本件は、民家の写真及び解説文について著作権及び著作者人格権を有する原告が、 同著作物を掲載した書籍「日本民家紀行」を出版、販売した被告ら(株式会社新潮社、 株式会社日本アート・センター)の行為等が原告の同権利を侵害するとして、被告ら に対して、上記書籍の出版等の差止め及び損害賠償金の支払を求めた事案である。  判決は、「原告と被告らの本件出版許諾契約において、出版部数について4000 部に限定するとの合意はされていなかったと認定するのが相当である」、「本件出版 許諾契約が出版権設定契約でない以上、原告には、出版権設定契約の成立を前提とし た著作権法82条所定の諸権利(修正増減する権利、増刷の際に通知を受ける権利) は当然には認められない」などとして原告の請求を棄却した。 ■争 点 (1) 本件出版許諾契約において、出版部数は4000部に限定されていたか。 (2) 増刷の際の通知義務違反による著作者人格権侵害があったか。 (3) 損害額はいくらか。