・東京高判平成14年4月16日  デス・ゲーム2025事件:控訴審  控訴棄却。 (第一審:東京地判平成13年12月18日) ■判決文 第3 当裁判所の判断  1 当裁判所も控訴人の本訴請求は理由がないものと判断する。その理由は、次のと おり補足するほか、原判決の事実及び理由「第4 当裁判所の判断」のとおりであるか ら、これを引用する。  (1) 控訴人は、原告アイデアは独創的なものであるから、著作物として著作権で保護 されるべきであると主張するが、著作権法は、著作物を「思想又は感情を創作的に表現 したもの」(著作権法2条1項1号)と定義することによって同法による保護の対象を 限定しているから、「表現したもの」という域に至らないアイデアそれ自体は著作権で 保護されるものではない。これは、アメリカ法においても同様である。この点に関し、 表現を離れた単なるアイデアは著作物とはいえず、著作権法上の保護の対象とはならな いとした原判決の判断に誤りはない。  (2) そして、原判決は、原告アイデアを記載した原告手紙及び原告小説に基づいて、 原告手紙及び原告小説に表現された創作物と本件映画とを対比検討したうえ、両者は、 共にボールを用いたスポーツが表現されている部分があり、そのスポーツについては、 ゲームの内容又はアイデアにおいて一部共通する点が認められるものの、それ以外の主 題、ストーリー展開、登場人物の性格付け、作品の性格のすべてにおい相違し、ボール を用いたスポーツの表現についても多くの点において異なっているから、著作権(翻案 権)侵害は認められないと判断したものである。控訴人の著作権侵害の主張は、ゲーム のアイデアにおける共通性ないし類似性を主張しているもので、表現における類似性を 主張するものではないと認められるのであり、原告手紙及び原告小説について、著作権 侵害の成立を否定した原判決の判断理由及び結論は、著作権法の規定及び本件全証拠に 照らし、正当としてこれを是認することができる。  (3) また、複製権及び上映権の侵害に関する控訴人の主張についても、原判決の説示 と同一の理由により、これを認めることはできない。  2 以上のとおり、原告の本訴請求は理由がないから、これを棄却した原判決は相当 である。よって、本件控訴を棄却することとし、主文のとおり判決する。