・東京地判平成14年11月14日  ファイアーエムブレム事件:第一審  原告イズは、「ファイアーエムブレム」シリーズの5件のゲームソフトをファミコン 又はスーパーファミコン用に製作し、原告任天堂は、原告ゲームを製造、販売した。  被告Aは、昭和63年3月31日から平成11年8月15日まで原告イズの従業員で あった者であり、被告有限会社ティルナノーグは被告Aが代表者を務めている。被告ら は、プレイステーション版ゲームソフト「ティアリングサーガ ユトナ英雄戦記」を共 同製作した。被告ゲームの旧名称は、「エムブレムサーガ」であったが平成13年4月 2日に変更した。  原告らは、被告らの行為が不正競争防止法2条1項1号の不正競争に当たるとともに、 著作権を有するとして、著作権にもとづき、差止および損害賠償の請求をした事案。  判決は、「ファイアーエムブレム」との表示について、著名な商品等表示とまでは認 められないものの、周知の商品等表示に該当すると認めることができるが、ゲーム影像 とその変化は「商品等表示」に該当しないとしたうえで、「ファイアーエムブレム」と の商品表示と、被告ゲームの「エムブレムサーガ」との商品表示との類似性を否定して、 不正競争防止法にもとづく請求を棄却した。著作権侵害については、ゲームの表示画面 に類似性が認められないとして、請求を棄却した。 (控訴審:東京高判平成16年11月24日、上告審:最判平成17年4月12日) ■判決文  「『ファイアーエムブレム』については、自他識別力のある部分として称呼、観念を生 ずるのは『ファイアーエムブレム』全体であり、『エムブレムサーガ』については、『サ ーガ』の部分又は『エムブレムサーガ』全体であるから、両者を対比すると、両者は外観、 称呼を異にすることが明らかであり、観念についても、前者が『火の紋章』『炎の紋章』 の観念を生ずるのに対して、後者は必ずしも明確な観念を生じない(強いて言えば、英語 の知識の豊富な者には『紋章物語』との観念を生じ得る)ものであるから類似するもので はない。以上によれば、『ファイアーエムブレム』との商品表示と『エムブレムサーガ』 の表示とは、類似しないというべきである。」