・東京高判平成15年10月16日  「がんばれ日本」商標事件  原告A(ドクター中松こと中松義郎)は、平成9年5月2日に登録された登録第330 0059号の商標(「フオルッアジヤパン/がんばれ日本」(第16類「印刷物」))の 商標権者である。  被告(財団法人日本オリンピック委員会(JOC))は、「がんばれ!ニッポン!」を 商標登録出願したところ拒絶査定を受けたため、平成12年5月15日、本件登録を商標 法50条の規定により不使用を理由とする取消審判を請求した。  特許庁は、本件審判請求の登録前3年以内に、本件商標がその指定商品について使用さ れたと認めることはできないとして、平成15年6月25日、「登録第3300059号 商標の商標登録は取り消す。」との審決をした。その理由は、たしかに「ドクター中松博 士の会」の会報には、その題号として、「フオルッアジャパン」の文字を上段に小さく、 「がんばれ日本」の文字を下段に大きく併記しており、また、裏表紙末尾に「発行者 が んばれ日本 価格100円」の文字及び住所、電話番号、ファックス番号等の記載がある が、本件会報は会合出席者に対する配布資料というべきであり商標法上の商品とはいえな いから、本件商標権者であるAが本件商標を使用していたとする事実は認められないとい うものである。  本件は、原告がこの審決取消を求めたものである。  判決は、「『ドクター中松博士の会』の活動は、原告が主宰する月例会(その内容は、 原告との会食と懇談、質疑応答等である。)の開催、『頭をよくする会』などのグループ 活動など、専ら原告がその内容等を決めていると認められることからは、『ドクター中松 博士の会』の会報としての面においても、その発行は原告の意思に懸かっていた、と認め られる。また、『ドクター中松博士の会』の活動もまた、原告の発明の効果を宣伝し、そ の使用を勧誘する内容を多く含んでおり、原告個人の事業内容と強い関連性がある。そう すると、『ドクター中松博士の会」の会報としての面も有しているからといって、そのこ とによって、本件会報を原告自身又はその意を受けた者が発行していたとの認定が左右さ れるものではない。」などとしたうえで、原告の請求を認容して、特許庁の本件審決を取 り消した。