・東京地決平成16年10月7日  録画ネット事件:仮処分  Y(有限会社エフエービジョン)は「録画ネット」(http://www.6ga.net/)と名称で、 海外などにおいて日本国内のテレビ番組を録画して視聴できるサービスを提供している。 具体的には、Yが利用者ごとに1台ずつ販売したテレビチューナー付きのパソコンを、Y の事務所内にまとめて設置し、テレビアンテナを接続するなどして放送番組を受信可能な 状態にするとともに、各利用者がインターネットを通じてテレビパソコンを操作して録画 予約し、録画されたファイルを自宅などのパソコンに転送できる環境を提供することによ って運営されている。これに対して、放送について著作隣接権および多くの放送番組につ き著作権を有するX(日本放送協会)が仮処分命令の申立てをおこなった事案。  決定は、Yが複製の主体であるとして、「Yは、Yが『録画ネット』との名称で運営し ている放送番組の複製・送信サービスにおいて、別紙放送目録記載の放送に係る音又は映 像を、録音又は録画の対象としてはならない」と命じた。 (異議審:東京地決平成17年5月31日) ■判決文  「本件において、著作物の複製の主体を評価、認定するに当たっては、これらを前提と して、上記の具体的事実を検討し、本件サービスにおける複製にかかる債務者の管理・支 配の程度と利用者の管理・支配の程度などを比較衡量した上で、複製行為の主体を認定す べきである。」  「以上のとおり、本件サービスにおける複製は、Yの強い管理・支配下において行われ ており、利用者が管理・支配する程度は極めて弱いものである。  より具体的にいえば、本件サービスは、解約時にテレビパソコンのハードウェアの返還 を受けられるという点を除き、実質的に、Yによる録画代行サービスと何ら変わりがない。 Yが主張する、テレビパソコンの販売とその保守管理というのは、本件サービスの一部を 捉えたものにすぎず、サービス全体の本質とはいえない。……以上によれば、本件サーど スにおいて、複製の主体はYであると評価すべきである。」