・知財高判平成20年2月12日  営業マネジメント事件:控訴審  本件は、原告ら・控訴人ら(矢部廣重、株式会社マネジメント社)が、被告・被控訴人 (岩崎清美)に対し、被控訴人が執筆した被告書籍『受注率が90%に跳ねあがる経営法』 (ハギジン出版)が、控訴人らが著作権、出版権を有する書籍『最強営業軍団』(プレジ デント社)、『狙ったお客の80%は落とせる』(株式会社マネジメント社)等を複製ま たは翻案しているものであるとして、控訴人Xが著作権に基づき、控訴人株式会社マネジ メント社が出版権に基づき、被告書籍の販売等差止め及び廃棄、損害賠償並びに謝罪広告 の掲載を求めた事案である。  原判決(東京地判平成19年8月30日)は、被告書籍の一部について、控訴人らが著 作権等を有する書籍等の複製又は翻案があるなどとして、被告書籍の販売等の差止め、侵 害部分等の廃棄及び損害賠償請求の一部を認容し、謝罪広告の掲載請求を棄却するなどし たところ、控訴人らが、原判決が認めた部分以外にも、被告書籍中には、控訴人らが著作 権等を有する書籍等の複製又は翻案があるなどと主張して、控訴人らの敗訴部分の判断を 争った。  控訴棄却。控訴審判決は、合計8カ所について、原告個人の複製権ないし翻案権を、ま た、原告会社の出版権を侵害したものと認め、差止および損害賠償の請求を肯定した原判 決を維持し、これを引用する一方で、原判決が侵害を否定した部分については、やはり侵 害を否定した。 (第一審:東京地判平成19年8月30日) ■判決文 第4 当裁判所の判断 1 争点1(被告書籍が原告書籍等の複製又は翻案であるか)について (1)総説  著作権法は、「著作物」を「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学 術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」(同法2条1項1号)と定めており、思 想又は感情の創作的な表現を保護するものである。 したがって、思想又は感情を創作的に表現した言語の著作物について、実質同一の表現を 模倣した場合は複製権侵害として、表現上の本質的特徴を直接感得できる程に類似したも のを依拠して作成した場合は翻案権侵害として、著作権侵害が認められるものであり、こ れに対し、思想、感情若しくはアイデアなど表現それ自体でないもの、事実の伝達にすぎ ず表現上の創作性がないものは、著作権法によって保護されず、かかる部分において既存 の著作物と同一性を有するにすぎない場合には、複製又は翻案には当たらないと解するの が相当である(最一小判平成13年6月28日民集55巻4号837頁参照)。 (2)依拠について  被告は、訴外E株式会社に勤務していたときに原告Aに研修の依頼をしたことから原告 Aと知合い、同社を退職後に、原告Aと販売代理店契約を締結し、原告Aの研修業務につ いて代理店業務を遂行した後、独立し、原告Aと同じ内容の研修業務を開始したものであ る。また、原告Aは、被告が平成9年ころ研修用セミナーにおいて配布した文書が原告A の著作権を侵害するとして、平成12年に東京地裁に被告を提訴し、平成13年7月30 日に、著作権侵害を理由として、被告に対し損害賠償等を命じる判決を得ている。(甲1 2)  上記の経緯及び別紙原告書籍等目録記載の原告書籍等の発行年月日並びに弁論の全趣旨 に鑑みれば、被告が被告書籍執筆当時既に公刊ないし配布されていた原告書籍1ないし3 及び原告配付資料等に接する機会があったことは明らかである。 (3)被告著作物目録記載の箇所について ア 被告著作物目録1(被告書籍121頁)と原告著作物目録1の1、2の1、3の1・ 2について a)原告著作物目録1の1、2の1、3の1・2と被告著作物目録1とを対比すると、セ ールスマンが初回の訪問のアポ取りから始めて、訪問先のキーマンから注文を受けるまで のキーマンの心理の変遷を6段階に分けて説明すること(原告著作物目録1の1、2の1 における「必殺6連発の術」、原告著作物目録3の1・2における「受注の方程式」、被 告著作物目録1における「感動営業の必勝6連続法」)において、共通する。 b)原告著作物目録1の1、2の1、3の1・2は、具体的には、最初に「オヤ」、「ア ラ」、「ウム」、「エ!」、「ムムム」、「ウソー」といった感嘆詞を記載した上で、次 に客の心理を二つに分けて簡潔に描写し、(1)「この営業マンは「違う」」……「でも 売り込みだから(な)」、(2)「彼は一味違うな」……「でも(ただし)買う意思はな いよ」、(3)「そこまで気配りが」……「彼はなかなかいいセンスだ」、(4)「サス ガだよ」……「彼に会うのが楽しみだ」、(5)「マイッタ!」……「何かお礼してあげ ないと…」、(6)「凄い」……「ともかくサンプル発注を」と記載したものである。  被告著作物目録1も、具体的には、「アレ」、「オヤ」、「アラ」、「ウム」、「スゴ イ」、「マイッタ」というように同一ないし類似した感嘆詞を使用した上で(ただし、使 用順序が少しずつ異なる。)、次に客の心理を二つに分けて簡潔に描写する部分も、(1) 「この営業マンは違う」・(でも売り込みだから)、(2)「彼は一味違うな」・(でも 買う意思はないよ)、(3)「そこまで気配りを」・(なかなかセンスが鋭い)、(4) 「おお、さすがだ」・「彼と会うのが楽しみだ」、(5)「もう、まいった!」・(何か お礼しないと)、(6)「ウワー、凄い」・「注文してあげよう」)と記載されており、 上記(1)ないし(6)は、上記原告著作物と実質的に同一の表現を使用しているもので ある。したがって、被告著作物目録1の上記(1)ないし(6)の表現は、上記原告著作 物の(1)ないし(6)の複製に当たるものと認められる(両者間には、わずかに表現上 の差異があるものの、この差異が被告著作物目録1について、上記原告著作物に比べ、何 らかの創作性を付与しているものと認めることはできないので、翻案というより、複製と 認めるのが相当である。また、六つの感嘆詞の使用も、その使用順序が異なり、この部分 を複製ということはできないものの、このことは上記(1)ないし(6)の具体的表現の 実質的同一性を否定し得るものではない。)。 c)したがって、被告著作物目録1の121頁は、原告著作物目録1の1、2の1、3の 1・2の複製に当たるものである。  イ 被告著作物目録2(被告書籍49頁7行以下)と原告著作物目録1の2について a)原告著作物目録1の2と被告著作物目録2とを対比すると、セールスに際し、価格競 争には限界があるのに対し、顧客を満足させるサービスを提供することは考えればいくら でもできることを、図解して説明する点において、共通する。 b)原告著作物目録1の2は、具体的には、「ライバルとの差別化は…知恵出しの差!」 「価格競争→限界がある!!」、「お客様が満足されるサービスの提供→考えれば考える ほど…幾らでもできる!」と記載されている。  被告著作物目録2においても、具体的には「ライバルとの差別化は…知恵出しの差!!」 「値引き競争→限界がある」、「お客様が満足される営業・サービスの提供→考えれば… 考えるほど…幾らでもある!!」と記載されており、上記原告著作物と実質的に同一の表 現を使用しているものである。したがって、被告著作物目録2の上記表現は、上記原告著 作物の複製に当たるものと認められる(両者間には、上記のとおり、わずかに表現上の差 異があるものの、この差異が被告著作物目録2について、上記原告著作物に比べ、何らか の創作性を付与しているものと認めることはできないので、翻案というより、複製と認め るのが相当である。)。 c)したがって、被告著作物目録2(被告書籍49頁7行目以下)は、原告著作物目録1 の2の複製に当たるものである。 d)一方、被告著作物目録2のその余の部分は、原告著作物目録1の2とは表現が相当程 度異なり、上記原告著作物の複製とは到底いえず、また、上記原告著作物の表現上の本質 的特徴を感得することもできないので、翻案ということもできない。 ウ 被告著作物目録3(被告書籍137頁、136頁)と原告著作物目録2の2、4の3 ・4について a)〔1〕原告著作物目録4の4と被告著作物目録3とを対比すると、顧客がセールスマ ンに対して抱く心理を四つに分けて説明した上で、人間が一番愛着を持っているのは「自 分の名前」であることを強調して説明する点において、共通する。 〔2〕原告著作物目録4の4は、具体的には、「人間とは…『自分に対し』…」→「〔1〕 関心を持たないセールスマンには……冷淡!〔2〕チョット関心を示してくれると…少し 気になる!〔3〕特別な関心を示されると………好意を持つ!〔4〕連続されると……… お礼をしたくなる!」→「人が一番愛着を持っているのは……『自分の名前!』」と記載 されている。  一方、被告著作物目録3(被告書籍137頁)においても、具体的には、「人間とは… 自分に対して…」→「〔1〕関心を持たない営業マンには……冷淡〔2〕ちょっと関心を 示してくれると…少し気になる〔3〕特別な関心を示されると………好意をもつ〔4〕そ れを連続されると………お礼をしたくなる」→「人が一番関心と愛着を持っているのは… …『自分の名前』」と記載されており、上記原告著作物と実質的に同一の表現を使用して いるものである。また、被告著作物目録3(被告書籍136頁)にも、137頁とほぼ同 旨の記載がある。したがって、被告著作物目録3の上記各記載は、上記原告著作物の複製 に当たるものと認められる(両者間には、わずかに表現上の差異があるものの、この差異 が被告著作物目録3について、上記原告著作物に比べ、何らかの創作性を付与しているも のと認めることはできないので、翻案というより、複製と認めるのが相当である。)。 b)〔1〕原告著作物目録2の2と被告著作物目録3とを対比すると、顧客がセールスマ ンに抱く心理の説明のうち四つの部分について、同様の説明がなされている点において、 共通する。一方、前者は、顧客がセールスマンに抱く心理の説明を五つに分けて説明し、 後記のとおり特徴的な図示を行っていること、及び、名前の重要さを説明しない点におい て、被告著作物目録3と相違する。 〔2〕原告著作物目録2の2の表現上の本質的特徴は、顧客がセールスマンに抱く心理を 五つに分けて縦軸に記載し、各場合のセールスマンへの反応をそれぞれ横軸に記載して図 示することにあるものと認められる。  被告著作物目録3は、顧客がセールスマンに抱く心理を四つに分け、図示の仕方も大幅 に異なっており、人間が一番愛着を持っている名前の重要性を強調している点で、原告著 作物目録2の2の表現上の本質的特徴を感得することはできない。 c)また、原告著作物目録4の3の表現上の本質的特徴は、顧客とセールスマンとの間に 「仕事上の表面的なつながりがベース」の関係があるにとどまる場合と、「心のつながり がベースになっている!!」場合とを対比して図示している点にある。一方、被告著作物 目録3からは、上記表現上の本質的特徴を感得することはできない。 d)したがって、被告著作物目録3(被告書籍137、136頁)は、原告著作物目録4 の4の複製に当たるものである。  一方、被告著作物目録3は、原告著作物目録2の2、4の3の複製又は翻案には当たら ない。 エ 被告著作物目録4(被告書籍45頁)と原告著作物目録2の3、原告著作物再追加目 録1の1ないし3について a)原告著作物目録2の3、原告著作物再追加目録1の1ないし3と被告著作物目録4と を対比すると、営業において「感謝」、「感激」、「感動」を提供することが重要である ことを説明する点において、共通する。 b)しかし、「感謝」、「感激」、「感動」という言葉は、いずれもありふれた表現であ り、このように韻を踏んで単語を並べることも特別に個性的な表現方法であるということ はできず、これのみによって表現上の創作性を認めることはできず、これを著作物という ことはできない。したがって、単に、「感謝」、「感激」、「感動」という言葉を並べて 表現する点が共通しているからといって、複製又は翻案には当たるということはできない。 そして、被告著作物目録4からは、上記三つの単語を並べて表現していることのほかに、 原告著作物目録2の3、原告著作物再追加目録1の1ないし3との表現上の共通点ないし 類似点を見出すことができない。 c)したがって、被告著作物目録4は、原告著作物目録2の3、原告著作物再追加目録1 の1ないし3の複製又は翻案には当たらない。 オ 被告著作物目録5(被告書籍99頁、98頁)と原告著作物目録4の1について a)原告著作物目録4の1と被告著作物目録5とを対比すると、商品説明を重視した営業 と感動の提供を重視した営業とを区分し、各営業形態の特徴を簡潔に説明する点において、 共通する。 b)原告著作物目録4の1の表現上の本質的特徴は、現状の営業が商品説明を重視するも のであるのに対し、セールス革命においては感動のプレゼントを重視するものであるとし、 具体的には、「〔1〕現状の営業のやり方」→「商品説明80%」「・一生懸命“商品説 明”する・売ろうと…“目がギラギラ”・たった“1回のみ”(数回)・最後は“価格で 勝負”・あとは“神ダノミ”・数回行って…お終い!」VS「〔2〕セールス革命」→ 「感動のプレゼント90%」「・商品・価格は前面に出さない・売る意識はなくし・感動 のプレゼントをする・6回連続する・喜んでもらうことがセールス」と図枠入りで記載さ れ、各営業形態の特徴を簡潔に説明し、両者を対比的に説明している。  一方、被告著作物目録5(被告書籍99頁)は、商品説明を重視した現状の営業と感動 プレゼントを重視した感動営業とを区分し、具体的には、「現状の営業」→「売込営業商 品説明のみ」「・一生懸命“商品説明のみ”・売ろう…“目がギラギラ”・たった“1回 の訪問”・最後は“価格で勝負”・お客様無視の“見積り営業”」U「感動営業」→「感 動プレゼントのみ」「・商品・価格は前面に出さない・売る意識はなくす・感動のプレゼ ントをする・喜んでもらうことが仕事・注文は後からついて来る」と図枠入りで記載され ており、原告著作物目録4の1の上記表現の本質的特徴を直接感得させるものである。  また、被告著作物目録5(被告書籍98頁)も、「商品説明のみでとにかく売ろうと、 目がギラギラと血走っていませんか。たった一回の訪問で、最後は値引きで勝負です。・ ・・商品・価格は前面に出さない。感動のプレゼントをする、喜んでもらうのが仕事で す。」と記載されており、これも原告著作物目録4の1の上記表現の本質的特徴を直接感 得させるものである。 c)したがって、被告著作物目録5(被告書籍99頁、98頁)の上記記載部分は、いず れも原告著作物目録4の1の翻案に当たるものである。 カ 被告著作物目録6(被告書籍111頁下段)と原告著作物目録4の2について a)原告著作物目録4の2と被告著作物目録6とを対比すると、ライバルを圧倒する営業 活動を四つのキーワードを用いて説明する点において、共通する。また、それぞれの標題 ・見出しを対比すると、前者が「セールス革命・・・4つのキーワード」、「ライバルを 圧倒するセールス革命」であるのに対し、後者は、「ライバルを圧倒する・・・4つのキ ーワード」であって、共通する部分が多い。 b)原告著作物目録4の2の表現上の本質的特徴は、ライバルを圧倒する営業活動はいか なるものであるかを四つのキーワードを用いて簡潔に説明することにあり、具体的には、 「高効率高品質の営業」→「新規大口顧客受注成功率」→「必勝の方程式」→「必殺技」 と記載されている。  一方、被告著作物目録6は、「ライバルを圧倒する・・・4つのキーワード」という表 題のもとに、原告著作物目録4の2と同様に4つの段階に分けて、それぞれの段階に1つ のキーワードを用いて説明するものであり、具体的には、「1高品質・高効率の営業を目 指す→狙い」「2新規顧客の受注率アップをはかる→目標値」「3必勝の方程式を構築す る→何回で落とすか」「得意技・必勝技を研究する→何をするか」と記載されている。  被告著作物目録6は、原告著作物目録4の2とは一部表現が相違するものの、ほぼ同一 内容の類似の表現手法であるということができ、このような四つのキーワードによる一連 の説明はかなりの部分で共通した表現を用いているのであるから、被告著作物目録6から は、上記表現上の本質的特徴を感得することができる。 c)したがって、被告著作物目録6(被告書籍111頁下段)は、原告著作物目録4の2 の翻案に当たるものである。 キ 被告著作物目録7(被告書籍92頁、93頁)と原告著作物目録1の3・4、4の3、 原告著作物再追加目録3の1ないし3について a)原告著作物目録1の3・4(原告書籍1・296、302頁)には、「キーマンとの 関係を単なる『ビジネスのパートナー』から『人生における親友』という関係にしてしま うことだ!」、「キーマンを人生の心友にする」、「人生上での『親友から心友へ』と。」 との記載が、原告著作物再追加目録3の1(狙ったお客の80%145頁)には「キーマ ンとの関係を単なる『ビジネスのパートナー』から『人生における親友』あるいは『心友』 という関係にすることができるのである」、同目録3の2(原告書籍1・316、317 頁)には「キーマンとビジネスのパートナーから人生における心友になる」との記載があ る。  これに対し、被告著作物目録7(被告書籍92頁)には、「業者からビジネスパートナ ー、そして親友から心友の関係づくりをする」等の記載があり、同93頁には、「業者」 −「ビジネスパートナー」−「親友」−「心友」との図枠表示、及び、「業者→親友→心 友」等の記載がある。  両者を対比すると、キーマンとの関係を「ビジネスのパートナー」から「人生における 親友」に(原告著作物目録1の3、原告著作物再追加目録3の1)、さらに「親友から心 友へ」とする(原告著作物目録1の4、原告著作物再追加目録3の1・2)ことを説明す る点において、共通する。原告著作物の上記各表現は、営業の極意がキーマンとの人間関 係の形成にあるとする原告のアイデアを創作的に表現したものであり、被告著作物目録7 の上記表現は、原告の上記各表現を短く要約したものであって、原告の上記各表現の本質 的特徴を直接感得することができるものであるから、翻案に当たる。 b)原告著作物目録4の3には、「仕事上の表面的なつながりがベース→心のつながりが ベース」との記載が、原告著作物再追加目録3の3には「仕事上の表面的なつながりがベ ース→心のつながりがベース」との記載がある。一方、被告著作物目録7(被告書籍93 頁)には、「仕事上の表面的なつながりがベース」「心のつながりがベースになっている」 との記載がある。しかし、原告著作物目録4の3と被告著作物目録7とは、その余の記載 事項が異なっていることからすれば、全体として、両者を複製又は翻案の関係になるとみ ることはできない(換言すれば、上記原告著作物の記載部分のみで表現上の創作性すなわ ち著作物性を認めることはできない。)。したがって、被告著作物目録7(被告書籍93 頁)の上記表現部分については、上記原告著作物の複製又は翻案に当たるということはで きない。 (4)被告著作物追加目録記載の箇所について ア 被告著作物追加目録1(被告書籍105頁)と原告著作物追加目録1について  原告著作物追加目録1と被告著作物追加目録1とを対比すると、営業において得意技な いし必殺技を有していることが重要であることを説明する点において、共通する。  しかし、上記共通点は、「得意技」ないし「必殺技」というありふれた表現の共通性に とどまるのであって、かかる表現上の創作性がない部分が共通しているからといって被告 著作物追加目録1が原告著作物追加目録1の翻案に当たるということはできない。そして、 被告著作物追加目録1からは、上記二つの単語の共通性のほかに、原告著作物追加目録1 との表現上の共通点ないし類似点を見出すことができない。  したがって、被告著作物追加目録1(被告書籍105頁)は、原告著作物追加目録1の 複製又は翻案には当たらない。 イ 被告著作物追加目録2(被告書籍97頁)と原告著作物追加目録2について  原告著作物追加目録2と被告著作物追加目録2とを対比すると、顧客の心の琴線に触れ ることの重要性を説明する点において、共通する。  しかし、「心の琴線に触れる」という表現は、それ自体で創作的な表現であるというこ とはできず、原告著作物追加目録2と被告著作物追加目録2とを対比すると、それぞれの 具体的表現が相違しているのであって、両者の間に表現上の共通点ないし類似点を見出す ことができない。  したがって、被告著作物追加目録2は、原告著作物追加目録2の複製又は翻案には当た らない。 ウ 被告著作物追加目録3(被告書籍51頁)と原告著作物追加目録3、原告著作物再追 加目録2について a)原告著作物追加目録3、原告著作物再追加目録2と被告著作物追加目録3とを対比す ると、商品が売れるメカニズムとして、営業力、商品力、価格力の中で重要なものが営業 力であることを説明する点において、共通する。  しかし、商品が売れるメカニズムとして、「営業力」、「商品力」、「価格力」等とい った項目をあげ(原告著作物再追加目録2では、さらに「宣伝広告力」、「代理店力」を 挙げている。)、かつ各項目の割合として示された数値が互いに近似しているといっても、 これらの要因や数値自体の類似性は単なるアイデアの類似性にすぎず、これらの要因や数 値自体は創作性のない表現にほかならないのであるから、被告著作物追加目録3(51頁) が、原告著作物追加目録3、原告著作物再追加目録2の複製又は翻案に当たるということ はできない。そして、被告著作物追加目録3からは、そのほかに、原告著作物追加目録3、 原告著作物再追加目録2との表現上の共通点ないし類似点を見出すこともできない。 b)したがって、被告著作物追加目録3(被告書籍51頁)は、原告著作物追加目録3、 原告著作物再追加目録2の複製又は翻案には当たらない。 エ 被告著作物追加目録4(被告書籍131頁、134頁、135頁)と原告著作物追加 目録4について  原告著作物追加目録4と被告著作物追加目録4とを対比すると、「たった1枚の名刺で キーマンを虜にする」、「まいった」との表現において共通点がある。  しかし、原告著作物追加目録4は、「たった1枚の名刺でキーマンを虜にする。」ため の方法として、キーマンの名前を活用する方法を具体的に説明するものである。  一方、被告著作物追加目録4は、「たった一枚の名刺でキーマンを虜にする」ための方 法として、感動をもたらす礼状を書くことを説くものである。したがって、被告著作物追 加目録4は、原告著作物追加目録4と上記部分が共通するといっても、上記部分は短文で、 それ自体創作性のない表現にとどまっているものであるから、上記原告著作物の複製又は 翻案に当たるものということはできない。 オ 被告著作物追加目録5(被告書籍94頁、95頁、112頁、113頁)と原告著作 物追加目録5、原告著作物再追加目録4について  原告著作物追加目録5、原告著作物再追加目録4と被告著作物追加目録5とを対比する と、商品や価格以外の営業のやり方で顧客を獲得するための「必勝の方程式」の構築の必 要性を説明する点において共通する。  しかし、上記共通点は、「必勝の方程式」というありふれた表現方法の共通性にとどま るのであって、その余の表現部分が類似しているわけではないのであるから、上記用語が 共通しているからといって、被告著作物追加目録5が上記原告著作物の複製又は翻案に該 当しないことは明らかである。 (5)被告新規著作物目録1ないし7記載の箇所について ア 被告新規著作物目録1(被告書籍表紙裏頁9行目)と原告新規著作物目録1の1・2 について a)原告新規著作物目録1の1・2と被告新規著作物目録1とを対比すると、原告新規著 作物目録1の1には「新規大口顧客90%達成する経営者も」、「凄腕の人なら90%以 上、大口の顧客を開拓してしまいます。」との、原告新規著作物目録1の2には、「狙っ たお客を9割落とす」との、被告新規著作物目録1には「受注率90%を達成」との記載 がある。 b)上記各記載を検討すると、「契約の成立に至る割合が90%であること」をありふれ た表現で説明したにとどまり、かかる創作性のない表現が共通しているからといって、上 記被告著作物が上記原告著作物の翻案に当たるということはできない。そして、被告新規 著作物目録1からは、上記共通点のほかに、原告新規著作物目録1の1・2との表現上の 共通点ないし類似点を見出すことができない。 c)したがって、被告新規著作物目録1からは原告新規著作物目録1の1・2の表現上の 本質的特徴を感得することはできず、被告新規著作物目録1は、原告新規著作物目録1の 1・2の翻案には当たらない。 イ 被告新規著作物目録2(被告書籍53頁)と原告新規著作物目録2の1・2について  原告新規著作物目録2の1・2と被告新規著作物目録2とを対比すると、営業力の重要 要素を営業マンの力と営業幹部の力とに分けて、それぞれの寄与率がどのようなウェイト であるかを問いかける図である点において、共通する。  しかし、営業力の重要要素として営業マンの力と営業幹部の力を挙げた上で、それぞれ の寄与率を分析すること自体は、著作権法の保護の及ばないアイデア自体にほかならず、 上記二つの要素の寄与率を問いかける図を作る際に、原告新規著作物目録2の1・2のよ うな図を用いることはありふれた表現である。また、被告新規著作物目録2からは、上記 共通点の他に、原告新規著作物目録2の1・2との表現上の共通点ないし類似点を見出す ことができない。したがって、かかる創作性のない表現が共通しているからといって、被 告新規著作物目録2(53頁)が原告新規著作物目録2の1・2の複製又は翻案に当たる ということはできない。 ウ 被告新規著作物目録3(被告書籍109頁)と原告新規著作物目録3の1ないし3、 原告新規著作物追加目録5について  原告新規著作物目録3の1ないし3、原告新規著作物追加目録5と被告新規著作物目録 3とを対比すると、営業において「感謝」、「感激」、「感動」を提供することが重要で あることを説明する点において、共通する。 また、原告新規著作物追加目録5には、「喜びの大研究」、「感動経営」という用語が用 いられている。  しかし、「感謝」、「感激」、「感動」という言葉は、いずれもありふれた表現であり、 このように韻を踏んで単語を並べることも特別に個性的な表現方法であるということはで きず、これによって表現上の創作性を認めることはできず、これを著作物ということはで きない。また、被告新規著作物目録3からは、上記三つの単語を並べて表現していること のほかに、原告新規著作物目録3の1ないし3、原告新規著作物追加目録5との表現上の 共通点ないし類似点を見出すことができない。したがって、単に、「感謝」、「感激」、 「感動」という言葉を並べて表現する点が共通しているからといって、被告新規著作物目 録3が原告新規著作物目録3の1ないし3、原告新規著作物追加目録5の複製又は翻案に 当たるものということはできない。 エ 被告新規著作物目録4(被告書籍115頁、114頁)と原告新規著作物目録4につ いて a)原告新規著作物目録4(被告書籍115頁)と被告新規著作物目録4とを対比すると、 1から6まで右肩上がりに上がっていく矢印が記載された図と、「成功の鍵(カギ)」と 縦書きし、その右側に、具体的な説明を横書きで三つ記載している点において、共通する。  具体的には、原告新規著作物目録4では、「1.人間の心理のメカニズムを読む。」、 「2.与えて与えて尽くすと……必ずお返しがくる。(どんな人間でも……)」、「3. Give&Giveはタイミングよく連続して出す。」と記載され、被告新規著作物目録 4(被告書籍115頁)では、「1.人間の心理のメカニズムを理解する。」、「2.尽 くして・尽くして・尽くしきると必ずお返しがくる。」、「3.GIVE&GIVE&G IVEはタイミングよく、連続して出す。」と記載されている。 b)原告新規著作物目録4の表現上の特徴は、顧客の評価が徐々に上昇していくことを示 唆する図を記載し、その下部に、成功の鍵として上記三つの点を説明することにあるもの と認められる。  一方、被告新規著作物目録4は、段階的に顧客の評価が上昇していくことを示唆する図 を設けている上に、「成功のカギ」の箇所は、一連の三つの点の説明における表現が原告 新規著作物目録4とほとんど同一なのであるから、上記原告著作物の表現上の本質的特徴 を感得することができる。 c)したがって、被告新規著作物目録4(被告書籍115頁の上から1、2行及び下から 1、2行を除いた部分)は、原告新規著作物目録4の翻案に当たるものである。 d)また、被告新規著作物目録4(被告書籍114頁)にも、「その結果、『君から買っ てあげるよ』と言わせる成功のカギは、つきつめていくと次のようになるとの結論を導き 出したのです。1.人間の心理のメカニズムをよく理解すること。2.相手に尽くして、 尽くして、尽くしきること(ギブ&ギブ&ギブで、ギブ&テイクではない。)3.ギブ& ギブはタイミングよく、連続してやること。」と記載されている。この記載も、原告新規 著作物目録4の表現上の本質的特徴を直接感得することができるものであり、原告新規著 作物目録4の翻案に当たるものと認められる。 オ 被告新規著作物目録5(被告書籍118、119頁)と原告新規著作物目録5の1な いし3について a)原告新規著作物目録5の1ないし3(原告新規著作物目録5の1・2における「必殺 6連発の術」、原告新規著作物目録5の3における「受注の方程式の確立」)は、セール スマンが初回の訪問のアポ取りから始めて、訪問先のキーマンから注文を受けるまでのキ ーマンの心理の変遷を6段階に分けて説明するものであり、具体的には、「(1)オヤ、 この営業マンは「違う」」……「でも売り込みだから」、(2)アラ、「彼は一味違うな」 ……「でも買う意思はないよ」、(3)ウム、「そこまで気配りが」……「彼はなかなか いいセンスだ」、(4)エー、「サスガだよ」……「彼に会うのが楽しみだ」、(5)ム ムム……「まいった!」……「何かお礼してあげないと…」、(6)ウソー……「凄い」 ……「ともかくサンプル発注を」などと記載したものである。   これに対し、被告新規著作物目録5(被告書籍118頁)における「感動営業アプロー チ」)も、営業による顧客の心理の変化を6段階で示すものであるものの、「ステップ1、 A(=注意を引く)…「アレ?」、ステップ2、I(=興味をもつ)…「オヤー」、ステ ップ3、D(=欲しい)……「アラ」、ステップ4、M(=記憶する)……「ウムー」、 ステップ5、A(=行動する)……「スゴイ!」、ステップ6、S(=満足する)…… 「マイッタ!!」と記載するものであり、その具体的な表現は相当に異なる。 b)原告新規著作物目録5の1ないし3の表現上の本質的特徴は、セールスマンの訪問を 受けた客が注文を出すに至るまでの心理の変遷を6段階に分け、最初に「オヤ」、「アラ」 ・・・といった感嘆詞を記載し、次に客の心理を上記のように簡潔に描写することにある ものと認められる。  これに対し、被告新規著作物目録5(被告書籍119頁)は、「アレ?」、「オヤー」、 「アラ」、「ウムー」、「スゴイ!」、「マイッタ!!」というように同一ないし類似し た感嘆詞を使用している点で共通するものの、顧客の心理の変化を6段階で示す描写はな く、その具体的な表現は相当に異なるものである。また、上記被告著作物においては、客 の心理の説明部分において、前半の3段階が「態度が変わらない」、後半の3段階が「態 度が変わる」というように簡略にされているという点でも相違する。 c)したがって、被告新規著作物目録5(被告書籍118頁、119頁)は、いずれも原 告新規著作物目録5の1ないし3の複製又は翻案には当たらない。 カ 被告新規著作物目録6(被告書籍122、123頁)と原告新規著作物目録6の1な いし3について a)原告新規著作物目録6の1ないし3と被告新規著作物目録6とを対比すると、原告新 規著作物目録6の1には「喜びの必殺6連発の術」、「必殺6連発の術」との、原告新規 著作物目録6の2には「『必勝の方程式』基本の6連発の構築」との、原告新規著作物目 録6の3には「必殺6連発の術」、「必殺60連発の術」、「ライバルに圧勝する60連 発プログラム」、「必殺6連発プログラム」との記載があり、一方、被告新規著作物目録 6には「感動営業の必勝6連続法」との記載がある。  また、原告新規著作物目録6の2は、「新規大口顧客攻略法・『必勝の方程式』基本の 6連発の構築」という表題のもと、左方に第1弾から第6弾まで記載し、各右横に空欄を 設けた図表の記載があり、被告新規著作物目録6には「感動営業の必勝6連続法」という 表題のもとに、上記図表と同様の図表が記載されている。 b)原告新規著作物目録6の1ないし3において用いられている「必殺6連発の術」ない しこれに準じた表現は、ごく簡潔な表現であり、これ自体を思想又は感情を創作的に表現 したものということはできない。したがって、被告新規著作物目録6における「必勝6連 続法」との記載が、上記原告著作物の複製又は翻案に当たるということはできない。 また、原告新規著作物目録6の2と被告新規著作物目録6における上記図表は、「第1弾」 ないし「第6弾」と右横の各空欄が一致するものの、これ自体、ごくありふれた表現方法 であって、この共通点だけをとらえて、思想又は感情を創作的に表現したものということ はできない。 したがって、被告新規著作物目録6における上記図表が、上記原告著作物の図表の複製又 は翻案に当たるということはできない。 キ 被告新規著作物目録7(被告書籍133頁)と原告新規著作物目録7、原告新規著作 物追加目録4について a)原告新規著作物目録7と被告新規著作物目録7とを対比すると、顧客から冷たい対応 をされても、名刺があるか、名前が分かるかすれば、礼状で「マイッタ!」と言わせる術 を身に付けることを述べる点において、共通する。 b)原告新規著作物目録7は、具体的には、「どんなに冷たい応対をされても」→「キー マンの〔1〕名刺さえあれば…〔2〕名前さえ分かれば…」→「名前の由来のお礼状でマ イッタ!と言わせる術を身に付ける!」と記載されている。  一方、被告新規著作物目録7(被告書籍133頁)の下から7行以下の部分は、具体的 には、「どんなに冷たく応対をされても」、「キーマンの・名刺さえ入手できれば・名前 さえ分かれば…」、「感動礼状でマイッタ!と言わせる術を身に付けることができる。」 と記載されているいる。  両者の表現は、「名前の由来のお礼状」を「感動礼状」とするほかはほぼ同一である。 そして、被告書籍においては、「感動礼状」とは、「キーマンの名前の活用法の一つ」 (乙7・136頁)であるから、「名前の由来のお礼状」も「感動礼状」の中の一つであ り、両者の表現は実質的に同一であるということができる。  したがって、被告新規著作物目録7の上記部分は、原告新規著作物目録7、原告新規著 作物追加目録4の複製に当たるものというべきである。 (6)被告新規著作物追加目録記載の箇所について ア 被告新規著作物追加目録(被告書籍97頁、120頁6、7行)と原告新規著作物追 加目録1について a)原告新規著作物追加目録1の213頁には、「必殺技」、「ファンにして虜にしてし まう術」との記載、同232頁には、「名刺一枚でファンにして虜にする」、「キーマン をマイッタ!と唸らせる術」との記載、及び、同281頁には「キーマンの心理を読む」、 「金かけずに…心の琴線に触れる…内容で」との記載がある。  一方、被告新規著作物追加目録の97頁には、「喜ばす・感動させるための感動ノウハ ウを考える→お金をかけずに、心を込めた手づくり作品で、キーマンにプレゼントし喜ん でもらう。」との記載がある。  原告新規著作物追加目録1における「ファン」、「キーマン」といった用語は、それ自 体で創作性のある表現ということはできず、原告新規著作物追加目録1の上記各記載と被 告新規著作物追加目録とを対比すると、その余の表現も相当程度異なり、創作性のある表 現部分の共通点を見出すことができない。  したがって、被告新規著作物追加目録(被告書籍97頁、120頁6、7行)は、原告 新規著作物追加目録1の213頁、232頁及び281頁の複製又は翻案には当たらない。 b)原告新規著作物追加目録1の262頁には、「キーマンを虜にする必殺技を磨く」、 同263頁には、「キーマン攻略の必殺技とは・・・キーマンをマイッタ!と言わせる必 殺技・連続技!にあり」との記載がある。  一方、被告新規著作物追加目録(被告書籍120頁)には、「連続技によってお客さま を喜ばせ、楽しませ、感動させる営業活動を行うことできる得意技・必勝技をつくる」と の記載がある。  原告新規著作物追加目録1の262頁、263頁における「必殺技」とか「連続技」と の記載は、単語を組み合わせたものにすぎず、それ自体で創作性のある表現ということは できない。そして、原告新規著作物追加目録1の262頁及び263頁と被告新規著作物 追加目録(被告書籍120頁)とを対比すると、両者のその余の表現は明らかに異なって おり、被告新規著作物追加目録(被告書籍120頁)から原告新規著作物追加目録1の2 62頁及び263頁の表現上の本質的特徴を感得することもできない。  したがって、被告新規著作物追加目録(被告書籍120頁)は、原告新規著作物追加目 録1の263頁の複製又は翻案には当たらない。 イ 被告新規著作物追加目録(被告書籍139頁)と原告新規著作物追加目録2、3、6 について a)原告新規著作物追加目録2には、「喜びの6連発」との標題のもと、「〔1〕名前の 由来」、「〔2〕本人ポエム」、「〔3〕夫婦ポエム」、「〔4〕家族ポエム」、「〔5〕 文字絵」、「〔6〕短編小説」と列挙した図表がある。  原告新規著作物追加目録3には、「6連発の技」として、「お礼状をおくったあと、1 週間後に名前の由来、または名前ポエム、そして小説、文字絵などを1週間ごとに贈って いきます。」との記載がある。  原告新規著作物追加目録6には、4頁に、「6連発プログラム」との標題のもと、 「〔1〕名前の由来」、「〔2〕本人ポエム」、「〔3〕夫婦・家族ポエム」、「〔4〕 文字絵」、「〔5〕小説」、「〔6〕エッセイ」と列挙した図表があり、5頁に、「基本 必殺技」、「1 名前の由来」「2 本人ポエム」「3 文字絵」「4 短編小説」「5  夫婦・家族の名前ポエム」と題する図表の記載がある。 b)被告新規著作物追加目録(被告書籍139頁)には、「感動営業の基本6連続法」と の標題のもと、「第1弾・FAX礼状」、「第2弾・歳時記礼状」、「第3弾・感動礼状 /巻き物」、「第4弾・本人/夫婦ポエム」、「第5弾・文字絵(名前の活用)」、「第 6弾・本人主人公短編小説」と列挙した図表がある。 c)上記の原告新規著作物追加目録の各図表又は記述を、被告新規著作物追加目録(被告 書籍139頁)の図表と対比すると、両者の表現は相当に異なるものである。両者は、顧 客に喜んでもらうための有効な方策を順序立てて説明する点において共通するものの、そ のこと自体は、アイデアないし思考の結果を表現するありふれた手法にすぎず、上記原告 著作物における個々の文言もそれ自体は著作物性を有しないものである。 したがって、両者間に、創作性のある表現部分での共通性を見出すことはできず、被告新 規著作物追加目録(被告書籍139頁)の図表は、原告新規著作物追加目録2、3、6の 複製又は翻案に当たらないというべきである。 ウ 被告新規著作物追加目録(被告書籍139頁)と原告新規著作物追加目録4について  被告新規著作物追加目録(被告書籍139頁)の上記イ(b)の図表が、原告新規著作 物追加目録4の複製又は翻案に当たらないことは明らかである。 エ 被告新規著作物目録3(被告書籍109頁)と原告新規著作物追加目録5について  被告新規著作物目録3の「感謝・感激・感動」との表現が、原告新規著作物追加目録5 の複製又は翻案には当たらないことは明らかである。 オ 被告新規著作物追加目録(被告書籍139頁)と原告新規著作物追加目録7について  原告新規著作物追加目録7には、「必殺6連発プログラム」、「営業マンの礼状が、も のの見事に平安朝の巻物になって出来上がってくるんです。・・・追い返した営業マンか ら、3日後に巻物が届くんです。・・・ところがまた2週間後に、今度は家族が宙に舞い 上がるようなものがくる。必殺6連発というものです。だいたい4段階でほとんどの人が 落ちる。」との記載がある。  上記記載を、被告新規著作物追加目録の139頁の図表(「第1弾・FAX礼状」、 「第2弾・歳時記礼状」、「第3弾・感動礼状/巻き物」、「第4弾・本人/夫婦ポエ ム」、「第5弾・文字絵(名前の活用)」、「第6弾・本人主人公短編小説」)と対比し ても、創作性のある表現部分での共通性を見出すことはできない。被告新規著作物追加目 録(被告書籍139頁)の図表が、原告新規著作物追加目録7の複製又は翻案に当たらな いことは明らかである。 カ その他被告新規著作物追加目録記載の箇所について a)原告著作物再追加目録4には「キーマン攻略の必殺技を持つ」との記載がある。一方、 被告新規著作物追加目録(被告書籍113頁)には、「キーマンを虜にする→“必勝技を 活用する”」との記載がある。  両者を対比すると、その表現が明らかに異なっており、被告新規著作物追加目録(被告 書籍113頁)から原告著作物再追加目録4の表現上の本質的特徴を感得することはでき ない。 b)原告著作物追加目録5には「新規顧客攻略の必勝の方程式を構築する」との表題があ る。一方、被告新規著作物追加目録(被告書籍113頁)には「新規顧客攻略法『必勝の 方程式』の構築」との表題がある。しかし、原告著作物追加目録5の表題は、新規顧客を 必ず獲得できるような行動様式を確立することを意味するものであって、かかる意味内容 を表現する際に上記表題が創作的な表現であるとまでいうことはできず、これを思想又は 感情を創作的に表現したものと認めることはできない。したがって、被告新規著作物追加 目録(被告書籍113頁)にほとんど同一の表現があるからといって、複製又は翻案に当 たるものということはできない。 c)原告新規著作物追加目録1の232頁と被告新規著作物追加目録(被告書籍129頁) の各説明文の中には、概ね同じ表現のものもある。しかし、前者は、「キーマンをマイッ タ!と唸らせる術」との記載の周囲に各説明文を配置したにとどまるのに対し、後者は、 顧客の対応と営業マンの心境を左右に対比して説明した点に特徴があり、両者は、全体と して表現上の類似性がなく、表現上の本質的特徴を異にするものであるから、複製又は翻 案には当たらない。 d)その他、被告新規著作物追加目録中、原告指摘の箇所について、原告書籍等の複製又 は翻案であるものと認められる箇所はない。 (7)別紙一覧表記載のその余の原告指摘の箇所について、被告書籍を原告書籍等と比較 しても、原告書籍等の複製又は翻案であるものと認められる箇所はない。 (8)原告書籍等と被告書籍全体の対比について  原告らは、原告書籍1をはじめとする原告書籍等は基本部分、応用部分、前提部分の三 つに分けることができ、一方、被告書籍も同様の構成をとり、各部分が原告書籍等の複製 又は翻案であると主張する。  しかし、有効な営業活動はいかにあるべきかを提示するために、現状を分析する前提部 分、著者の提唱する方法を説明する基本部分、著者の提唱する方法の実践例を説明する応 用部分とに分けて論じることは、一般的な手法であって、かかる構成が共通するからとい って、具体的な創作的な表現の保護を旨とする著作権を侵害しているものということはで きない。  したがって、著作権侵害が成立するのは、既に指摘した点にとどまり、被告書籍の全部 あるいは一部の章が、全体として原告ら書籍等の著作権を侵害するということはできない。 (9)結論  以上によれば、被告書籍のうち、別紙著作権侵害箇所目録1及び6記載の箇所(合計 1.5頁)は、原告Aの著作権(複製権ないし翻案権)及び原告会社の出版権を、別紙著 作権侵害箇所目録2ないし5、7及び8記載の箇所(合計6.5頁)は、原告Aの著作権 (複製権ないし翻案権)を侵害するものである。 2 争点2(被告書籍全体の差止め及び廃棄が認められるか)について  証拠(乙7)によれば、被告書籍の総頁数は238頁であり、その本文は、第1章「強 い営業軍団をもたない企業は滅ぶ」(19頁から45頁)、第2章「営業幹部は『知恵出 し』が仕事」(47頁から61頁)、第3章「お客さまが求める営業とは」(63頁から 79頁)、第4章「悩む営業を救う感動経営の実践」(81頁から105頁)、第5章 「新規顧客攻略法『感動の方程式』」(107頁から123頁)、第6章「新規顧客攻略 法『感動技の研究』」(125頁から139頁)、第7章「感動の実践事例」(141頁 から183頁)、第8章「我社の感動実践〈17の事例紹介〉」(185頁から235頁) からなること、前記1において著作権侵害が認められた箇所は、第2章のうち0.5頁 (著作権侵害箇所目録2)、第4章のうち2頁(同目録4及び6)、第5章のうち3頁 (同目録1、5、7)、第6章のうち2.5頁(同目録3、8)の合計8頁であることが 認められる。  以上のとおり、原告書籍等の著作権を侵害している箇所は、被告書籍の一部分である。 しかし、被告書籍が著作権侵害箇所目録記載の箇所を掲載して、全体として一冊の本とし て出版発行されている限りは、被告書籍の出版により、原告らの意思に反して原告書籍等 の無断複製物ないし翻案物を頒布又は販売することになるのであるから、著作権侵害箇所 目録記載の箇所を掲載した被告書籍の印刷・出版発行の差止めを認めざるを得ない。ただ し、著作権侵害箇所目録記載の箇所とその余の箇所は可分であり、被告書籍の大半を占め る部分は、原告らの著作権を侵害しない部分であることからすれば、原告らの著作権を侵 害している箇所に限って、その廃棄が認められるというべきである。  原告らは、著作権侵害部分を削除した場合には、被告書籍自体の根幹が欠落することに なり、被告書籍自体が意味のないものになるので、被告書籍は全体として差止め及び廃棄 されるべきであると主張する。しかし、著作権侵害箇所目録記載の箇所を削除しても、被 告書籍が意味のないものになるとは認められず、侵害箇所と可分な箇所は、それ自体で意 味を有するのであるから、原告らの主張は採用することができない。 3 争点3(損害の額)について (1)被告書籍の頒布・販売部数について ア 証拠(乙1)及び弁論の全趣旨によれば、次のとおり認められる。  被告と訴外会社は、平成17年(2005年)8月30日、被告書籍の出版について出 版契約を締結した。この契約においては、被告への著作権使用料の支払の定め(16条の 定型文言)が抹消されており、代わりに、被告が訴外会社に対し、出版制作料として合計 235万2000円を支払うこと、訴外会社が自主決定による重版を行った場合は7%の 印税を支払うことが定められている。また、被告による買上げ価格が定価の8割と定めら れている(15条)。  原告らと訴外会社との間で、平成18年11月10日、裁判上の和解が成立した。この 和解において、訴外会社は、保管中の2563部のうち、訴外会社所有の1143部と被 告所有の920部の合計2063部を廃棄する義務を負い、その後、返品分の6部を加え た合計2069部を廃棄した。また、被告所有の500部は被告に引き渡され、被告が保 管している。 イ 上記認定事実によれば、被告書籍の印税は初版時にはなく重版時から支払われるもの である一方、被告は定価の8割の価格で被告書籍を買い取っている。したがって、被告書 籍の発行はいわゆる自費出版であったものと認められる。そして、被告が買い取った20 00部のうち、920部は前記裁判上の和解により既に廃棄済みであり(被告は、この和 解に参加していないものの、訴外会社がこれを廃棄することを承諾したものと考えられ る。)、500部は被告が保管中であり、564部は頒布された。また、一般書店に流通 した2000部のうち、851部は販売済みで、1149部は回収の上廃棄されたもので ある。 (2)著作権法114条1項による算定 ア 原告は、被告書籍における単位数量当たりの利益の額は、少なくとも定価の50%を 越えているとして、原告書籍における単位数量当たりの利益の額も定価の50%を越える と主張する。  原告は、原告書籍2及び3の定価を明らかにするだけで、費用の明細を明らかにしない ものの、前記認定事実によれば、被告書籍は、851部が一般書店を通じて販売されてお り、証拠(乙2、3の1・2、5の1・2、6)によれば、訴外会社が、定価の67%の 938円で被告書籍を取次店に委託販売したこと(したがって、返品の場合は、卸価格を 清算する必要がある。)、及び、4000部の印刷製本代金が78万1200円(税込) であったことが認められる。そこで、被告書籍の販売利益を算定すると、被告は、851 部を卸価格938円で販売し、印刷製本代は1冊当たり195円であること、及び、書籍 を増刷する場合、その作成に要する費用は、著者に支払う印税のほかは、主に印刷製本費 用であることからすると、その余の細かな経費を差し引いても、訴外会社は被告書籍1冊 あたり少なくとも700円の利益を挙げたことになる(938円−195円=743円)。  そして、被告書籍と原告書籍2及び3とでは、印刷製本費用の定価に定める割合におい て特段の差異があることを認めるに足りる証拠はないから、訴外会社が被告書籍1冊当た りで得た利益の700円が定価1400円の50%であることからすれば、原告らが原告 書籍2及び3を増刷して得ることができる利益(限界利益ないし貢献利益)も、印税のほ かは、定価の50%を下らないものと認めるのが相当である(本件の原告らは、著者と出 版権者であるから、原告らの譲渡利益には、印税も含めて算定するのが相当である。)。 イ 前記認定事実によれば、被告書籍は、851部が一般書店を通じて販売され(なお、 訴外会社は、委託販売を行い、各書店から返品された分は卸価格の清算を行う必要がある ので、返品分を譲渡数量に含めるべきではない。)、564部が被告によって頒布されて いる。そして、原告らが、被告と訴外会社による侵害行為がなければ得たであろう利益 は、上記限界利益(貢献利益)をもって算定するのが相当であるから、原告書籍2及び3 の定価1800円の50%の900円に1415部を乗じ、これに侵害部分の被告書籍に おける寄与度を乗じた金額となる。 ウ 前記認定の侵害部分は、合計8頁であり、被告書籍全体の238頁に比べると多くは ない。しかし、前記認定の侵害部分は、原告書籍等及び被告書籍に共通して、いずれの書 籍においてもその考え方の中核をなす部分の一部であり、書籍を特徴づける内容となって いる部分の一部を構成するものであるから、書籍全体に占める当該頁の寄与度は、頁数を 大きく上回るものであり、全体の2割と認めるのが相当である。  被告は、著作権法114条1項は、権利者の著作物と侵害者の著作物との間に市場にお ける代替関係が存在することを前提としており、〔1〕被告が譲渡した564部は、知人 や受講生らに無償配布したものであって、一般の市場を対象にしたものではないから、被 告による譲渡行為によって原告書籍の売上げが減少するという関係にはない、〔2〕訴外 会社により一般市場で譲渡された851部についても、仮に、著作権侵害が成立するとし ても、被告書籍の一部にすぎず、全体としては被告書籍は原告書籍と全く違う本であるか ら、被告書籍を購入しようとする者が原告書籍を購入することは考えられない、と主張す る。   しかし、被告書籍が被告の研修の受講生らに無償譲渡されたものであるとしても、研修 費用を含めれば有償であると解されること、及び、被告の知人への無償譲渡については、 その数量等が全く不明であること、並びに、前記認定の侵害部分は、原告書籍等及び被告 書籍に共通して、いずれの書籍においてもその考え方の中核をなす部分の一部であり、書 籍を特徴づける内容となっている部分の一部を構成するものであるから、当該侵害部分が 被告書籍の販売ないし譲渡に寄与しているものというべきである。  また、被告は、原告らと訴外会社との間では既に裁判上の和解が成立しているので、訴 外会社の譲渡分851部を計上するのは相当でない、と主張する。しかし、被告と訴外会 社間で共同不法行為が成立するものである以上、被告が訴外会社の譲渡分についても損害 賠償義務を負うことは当然である。また、原告らと訴外会社との間で裁判上の和解が成立 しているとしても、不真正連帯債務については債権を満足させるもの(弁済・相殺)以外 の事由は相対的効力を生じるにとどまると解すべきであるから、訴外会社に対する請求放 棄等の条項は、被告に対し、何らの影響も与えないものと解すべきである(最一小判平成 6年11月24日判時1514号82頁参照)。 エ 以上によれば、被告と訴外会社による侵害行為がなければ原告らが得たであろう利益 は、次のとおりである(著作権法114条1項)。 700円×1415部×0.2=25万4700円  このうち、原告らが権利を有する部分(別紙著作権侵害箇所目録1及び6)の損害額は、 25万4700円×(3/10)=7万6410円であり、原告らは、このうち各2分の 1ずつ、3万8205円を請求できる。  また、原告Aが権利を有する部分(別紙著作権侵害箇所目録2ないし5、7及び8)の 損害額は、25万4700円×(7/10)=17万8290円である。 (3)著作権法114条2項による算定額及び著作権法114条3項による算定額は、次 に述べるとおり、いずれも上記認定額よりも低額であるから、上記認定額をもって、原告 らが被った損害額と認める。 ア 著作権法114条2項を適用した場合  原告らは、被告と訴外会社の共同不法行為責任が成立するとして、訴外会社の得た利益 を基礎に、著作権法114条2項を適用すべきであると主張する。しかし、このような算 定を行う場合には、公平の見地から、訴外会社の得た利益と被告の得た利益ないし損失を 合算した金額を利益の額として算定すべきである。  前記認定事実によれば、被告書籍は、851部が一般書店を通じて販売され、564部 が被告によって頒布されている。また、訴外会社が、定価の67%の938円で取次店に 委託販売したこと(したがって、返品の場合は、卸価格を清算する必要がある。)、40 00部の印刷製本代金が78万1200円(税込)であったことも前記認定のとおりであ る。さらに、被告は、自費出版費用として、235万2000円を支出している。  そこで、各利益を算定すると、被告は、851部を卸価格938円で販売し、印刷代は 1冊当たり195円であることから、主たる費用が印刷製本代金のみであるとすると、1 冊あたり743円の利益を挙げたことになる。したがって、訴外会社の得た利益は63万 2293円である(=743円×851部)。なお、被告は委託販売を行い、各書店から 返品された分は卸価格の清算を行う必要があるので、返品分を譲渡数量に含めるべきでは ない。  また、被告は、564部を頒布しており、これは無償譲渡であると主張するものの、仮 に、定価の1400円で譲り渡したとすると、仕入価格が定価の8割であることから、被 告の得た利益は、15万7920円(=1400円×0.2×564部)である。  以上のとおり、訴外会社の得た利益(控除すべき費用を含む暫定値)と被告の得た利益 を合算しても、被告の支出した自費出版費用を下回っていることが明らかである。よって、 被告利益はないものと認められる。 イ 著作権法114条3項を適用した場合  著作権法114条3項による算定額も、被告書籍全体の使用料相当額が、次の式のとお り、19万8100円となるので、その侵害部分の割合を2割としても、上記認定額を下 回ることは明らかである。 (851+564)部×1400円×10%=19万8100円 4 争点4(謝罪広告の要否)について  既に認定したとおり、発行された被告書籍4000部のうち頒布ないし販売されたのは 1415部にとどまること、被告書籍の多くは回収されて既に廃棄処分にされたこと、被 告書籍のうち原告らの著作権を侵害する箇所が被告書籍全体の頁数と比較すれば多くはな いことに照らせば、謝罪広告を命じる必要性は認められない。 5 結論  よって、原告らの請求は、著作権侵害箇所目録記載の箇所を掲載した被告書籍を頒布、 販売することの差止め、前記目録記載の箇所を掲載した部分の廃棄、原告Aは21万64 95円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日である平成18年4月1日から支払済みま で民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を、原告会社は3万8205円及びこ れに対する本訴状送達の日の翌日である平成18年4月1日から支払済みまで民法所定の 年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから、これを認容し、そ の余の請求はいずれも理由がないので、棄却することとし、仮執行宣言については、本件 事案の内容にかんがみれば、主文第1、第3及び第4項に限り認めるのが相当であり、そ の余は相当でないからこれを却下し、訴訟費用の負担について民訴法61条、64項本文 及び65条1項本文を適用して、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第46部 裁判長裁判官 設樂 隆一    裁判官 間史恵 裁判官古河謙一は、転補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官 設樂 隆一 別紙著作権侵害箇所目録(被告書籍の該当頁) 1 121頁 1頁 2 49頁7行目以下 0.5頁 3 137、136頁 2頁 4 99頁98頁 1.5頁 5 111頁下段(*「ライバルを圧倒する」以下の部分) 0.5頁 6 92頁(末尾から3行目ないし2行目)、   93頁下段(「これらの営業マンは」以下の部分) 0.5頁 7 115頁(上から1、2行、下から2行を除いた部分)、   114頁(3行ないし8行) 1.5頁 8 133頁下から7行以下の部分 0.5頁