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菅原研究室を  
 目指す皆さんへ



早稲田大学
  先進理工学部
  応用化学科
  菅原 義之

〒169-8555 
  東京都新宿区
  大久保3-4-1
  65号館406室



(03)5286-3204
   

ys6546@waseda.jp
(@は半角文字にしてご使用ください)

1.はじめに

 化学が科学技術の発展へ貢献する道の1つとして,機能材料を提供することが挙げられます.さまざまな技術の進歩は,新材料の開発に支えられているといっても過言ではありません.菅原研究室では,その研究対象として機能材料の中でもセラミックス材料をベースとした無機-有機ハイブリッド材料を扱っています.堅さ等優れた性質を持つセラミックスは,石器や土器,さらには陶磁器として,さらには様々な機能材料として人類の歴史の中で活躍してきましたが,ポリマーの性質とセラミックスの性質を融合させた無機-有機ハイブリッド材料は,次世代の材料として,今後の発展が期待されています.菅原研究室では,無機-有機ハイブリッドを材料として活用することに加え,無機-有機ハイブリッドを前駆体として,これを熱分解してセラミックス材料へ変換する研究にも取り組んでいます.

2.なぜ今ハイブリッドか?

 ハイブリッドは雑種などが本来の意味ですが,科学技術の領域では,二つ以上の技術が活用された製品,混成部品から作られた機械などの意味で使われています.(“ハイブリッドカー”は代表例)特に材料化学の分野では,2つ以上の成分を複合化した物に使われることが多く,その代表が無機-有機ハイブリッド(あるいは有機-無機ハイブリッド)材料です.無機材料,有機材料ともに様々なところで活用されており,現在も広く研究開発が行われていますが,有機材料及び無機材料にはそれぞれ限界があることから,有機材料と無機材料の性質をあわせもつことが期待される無機-有機ハイブリッドが“次世代の材料”として期待されているのです.その組み合わせは無限であり,数限りない新材料を生み出すことが可能となります. それではハイブリッド材料は単独成分の性質を足し合わせることにより決まるのでしょうか?様々なファクターの中で,無機成分と有機成分がそれぞれどのような大きさなのか,また無機成分と有機成分の界面をどのように設計するかが非常に重要であり,これら2つののファクターにより物性は大きく異なります.従って,無機-有機ハイブリッドを作製する技術が鍵を握ることになります.
 もうひとつの無機-有機ハイブリッドの活用法として,セラミックス前駆体があります.セラミックスは粉を焼き固める“焼結”と呼ばれる方法で一般に作製されます.これはセラミックスの融点が高いため,鉄のように溶融させて形を作ることができないからです.無機-有機ハイブリッドの中で,無機高分子あるいは有機金属高分子に分類されるハイブリッドは,基本的には高分子としての性質を持ちますが,高い温度での熱処理や加水分解反応により有機成分だけを取り除けるようにハイブリッドの構造を設計することにより,最終的に無機成分だけをセラミックスとして得ルことができます.これらの手法により,高分子である“前駆体”の状態で,様々な形を作り出し,これを熱分解すると“焼結”からは得られない薄膜やファイバーなどを得ることができることから,セラミックスを“材料”として活用するために必要な技術となっています.

3.研究へのアプローチ

  菅原研究室の研究では,これまで有機合成化学を中心として発展してきた合成技術を無機材料の合成に導入し,セラミックス関連材料のプロセスを発展させることを大きな目標としています.菅原研究室ではいくつかの方向に研究を展開していますが,その研究への取り組みはケミカルルート無機固体化学を基本としています.ひとつの研究領域では,無機固体化学ソフト化学をバックグラウンドとして,層状構造を持つ物質を利用し,その構造中の2次元ナノシートをビルディングブロックとして利用しながら研究を展開しています.この研究の1つの方向性として有機金属化学を利用しながら,様々な合成化学的手法を用いて無機-有機ハイブリッドを合成しています.もうひとつの研究領域では、有機金属化学無機高分子化学をバックグラウンドとして,前駆物質を設計・合成し,これを熱分解や加水分解過程を経てセラミックス材料へ変換しています.いずれの研究領域においても機器分析が必要不可欠ですので,機器分析化学も重要なバックグラウンドです.
 菅原研究室の研究活動の中で必要とされる技術には,最適な分子構造を見出すための分子設計,自在に狙った分子構造を作り出すための合成,そして作り出した物質の構造と性質を見出す評価に関するものがあります.合成技術としては,様々な層状化合物をホストとして自在にゲストと反応させるためのホスト−ゲスト反応,不活性雰囲気で全ての操作を行う合成化学技術があげられます.一方評価技術としては,特に私たちが重要と考えている構造と物性の関連性を調査するために,機器分析を用いた物性評価技術構造解析技術が必要不可欠です.これらの学術的,技術的バックグラウンドをScientific Platformとして,様々な物性を示す無機-有機ハイブリッド材料セラミックス材料の合成を目的として研究を展開しています.
4.複合化技術〜次世代材料 無機−有機ハイブリッド〜
 次世代材料として期待される無機−有機ハイブリッドの作製においては,明確な構造とサイズを持つナノビルディングブロックを無機成分ととして用いる手法が着目されています.これは,出発物質として無機化合物の粒子を用いると,ナノハイブリッドの合成が比較的困難であり,一方ゾル−ゲル法に代表される液相法で無機骨格を作製するとサイズの制御が困難であるためです.菅原研究室の研究では,層状構造を持つ化合物が積層したナノシートから構成されていることに着目し,ナノシートをナノビルディングブロックとして無機−有機ハイブリッドの作製に取り組んでいます.特に,層状化合物の中でも層表面が反応活性な化合物に着目し,有機化合物や高分子化合物と反応して共有結合を形成させた,有機誘導体型無機−有機ハイブリッドに着目して研究を展開しています.積層構造を維持したまま有機官能基やポリマー鎖を固定化した積層方向にナノスケールで高い規則性を持つ2次元無機−有機ハイブリッドや,層状構造を持つ無機化合物を剥離させ,ナノシートとして利用した,ナノシート分散型無機−有機ハイブリッドの構築も行っています.また,層間にイオンや分子を取り込むインターカレーション反応について,安定性などの問題からこれまで反応が困難とされていた層状物質について,インターカレーションの手法の開発にも取り組んでいます.
5.プロセス技術〜セラミックス材料の新展開〜
 これまでのセラミックスのプロセス技術は原料のセラミックス粉末を焼き固める方法(陶磁器の作り方です)を基本としてきました.しかしながら,セラミックスを様々な領域に応用するためには,様々な形態のセラミックスの作製するプロセス技術が必要となります.こうした観点から,私たちは原子,分子からのプロセスであるボトムアッププロセスの中で,有機溶媒を用いてフラスコの中でセラミックス前駆体を作製する手法に注目しています.この手法により,有機溶媒に可溶でかつセラミックスへの変換収率が高い前駆体を合成できれば,有機−無機変換プロセスを経て薄膜やファイバーなどを作製することができます.この手法における前駆体あるいは中間体は,無機高分子あるいは有機金属高分子と考えることができます.私たちは,有機金属化合物や金属アルコキシドを出発物質用い,ペロブスカイトなどの複合酸化物セラミックスや窒化アルミニウムなどの非酸化物セラミックスを合成しています.また,複数のセラミックスから構成されているナノコンポジット作製へも応用しています.

6.新物質探索と物性調査

 これまでの科学技術の発展の中で,様々な新材料が開発されてきました.中でも,新物質の発見はその最初のステップであり,革新的な材料開発の上で基本となるものです.新しい無機物質の発見が応用にまで結びつつある最近の事例としては,高温酸化物超伝導体やカーボンナノチューブ等が知られています.
 菅原研究室では,新物質の発見から製品開発までの流れの中で,新物質の発見,物性の探索,プロセスの開発について,主に研究を行ってきました.新物質として,これまで合成できなかった組成を持つ層状構造を持つペロブスカイト関連化合物層状タングステン酸を報告しています.新しく見出した物質については,可能なかぎりその基本的な物性を調査しています.例えば,層状構造を持つペロブスカイト関連化合物については,光触媒特性について検討を行っています.
 
7.メッセージ
菅原研究室は,無機材料化学と有機金属化学を融合(ハイブリッド)しながら,無機−有機ハイブリッドを主なターゲットとして,皆で力をあわせて研究しています.無機−有機ハイブリッドはまだまだ研究が始まったばかりであり,未開の大地が広がっています.興味がある学生諸君はぜひ一度見学に来てください.学外の方は,事前に左上にあるアドレスまでメールでご連絡下さい.