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  • はじめに
 無機−有機ハイブリッド材料(以下ハイブリッド材料)は次世代の材料として注目されていますが、2つの材料の単なる混合物とは本質的に異なります。従って有機材料と無機材料を組み合わせてハイブリッドを作製するにあたっては、できるだけ小さなレベルでハイブリッド化を達成することが要求されます。さらに、ハイブリッド化を達成するレベルが、ハイブリッド材料の性質に大きく影響します。現在ナノメーターレベルでのハイブリッド化が達成され、数多くのハイブリッド材料が生み出されています。
 これらのハイブリッド材料では、無機成分と有機成分の間の界面が非常に大きくなります。菅原研究室ではこの界面に着目し、研究を展開しています。界面を形成する無機成分や有機成分の官能基を適切に設計することにより、ハイブリッド化のレベルを向上させることが期待できます。さらに、ハイブリッド材料の性質も界面の影響を受けます。従って界面の設計はハイブリッド材料の作製において大変重要となります。
 菅原研究室では、無機合成化学的手法と有機金属化学的手法を組み合わせ、研究を展開しています。また、コラボレーションを積極的に行っていることも菅原研究室の特徴の1つです。
 菅原研究室のハイブリッド材料への取り組みは、無機層状化合物の容器としての利用、高分子へのナノ粒子・ナノシートなどの無機ナノ構造の取り込み、無機高分子の合成とそれを利用した材料合成、の3つになります。以下、これらについてご紹介致します。
  • 高分子へのナノ粒子・ナノシートなどの無機ナノ構造の取り込み
 ポリマーの物性を向上させる手法として、無機フィラーを添加する方法が注目されています。特に、サイズを制御したナノ粒子やナノシートを用いる事により、ポリマーの透明性を損なうことなく無機フィラーの性質を付与できます。こうした検討では、ナノ構造(ナノ粒子やナノシート)を作り込む技術とナノ構造の表面をポリマーになじみやすいように改質する技術が必要です。現在菅原研究室で行われている取り組みについてご紹介致します。

1)ナノ粒子の合成とその表面修飾を利用したハイブリッド作製
 ボトムアップ手法を活用し、イオンや分子を前駆体としてナノ粒子を作製し、さらにその表面に有機基を導入します。こうして得られたナノ粒子は、導入する官能基を適切に選択することにより、ポリマー中に高分散することが期待できます。菅原研究室では、ナノ粒子のサイズ制御とその表面修飾に取り組むとともに、ナノ粒子分散型ハイブリッドへ展開しています。また、入手可能なナノ粒子の表面修飾も検討を行っています。

2)ナノシートの作製とその表面修飾を利用したハイブリッド作製
 層状化合物を構成する1枚のシートは厚み1-2nm程度であることから、バラバラにすることによりナノシートとして利用できます。上で紹介したグラフト反応技術は、ナノシートの表面に有機基を結合させる手法に応用することができ、得られるナノシート誘導体はポリマーに分散させるために適した表面特性を示すと期待できます。菅原研究室では、こうした観点から、グラフト反応により修飾したナノシート誘導体を用いて、ナノシート分散型ハイブリッドの作製に取り組んでいます。

層状ぺロブスカイトの剥離によるハイブリッド作製
  • 無機層状化合物の容器としての利用
 層状化合物(ホスト)の層間にイオンや分子(ゲスト)を導入する反応はインターカレーション反応として知られています。一方、層表面が反応性を持つ場合は、その反応性を利用してグラフト反応が進行します。インターカレーション反応では、ゲストとホストはイオン結合、水素結合など比較的弱い結合で結びついているのに対し、グラフト反応ではホストと有機基の間には共有結合が存在しています。従って、グラフト反応で得られる2次元ハイブリッドは、インターカレーションにより得られる2次元ハイブリッド(層間化合物)とは全く異なると考えられます。しかし、グラフト反応が可能なホスト化合物は非常に限られており、特に層状遷移金属酸素酸塩(金属イオンと酸化物イオンからなるナノシートが負に帯電し、層間に電荷を補償する陽イオンが存在する化合物)に関してはほとんど検討が行われていません。菅原研究室では、ホスホン酸(RP(O)(OH)2)などの有機リン化合物を用いて、イオン交換性層状ペロブスカイトなどいくつかの層状遷移金属酸素酸塩のグラフト反応を検討しています。また、新しいインターカレーション反応に関しても、合成手法の開発や新しいホストの探索を行っています。

層状ぺロブスカイトのインターカレーション反応(左)とグラフト反応(右)
  • 無機高分子の合成とそれを利用した材料合成
1)ナノビルディングブロックを用いたハイブリッド材料の作製
 リンなどのヘテロ元素を含む有機化合物をナノビルディングブロックとして用いることにより、ハイブリッド材料が作製できます。このプロセスは、ナノビルディングブロックを単量体とした、無機高分子の作製と考えることができます。このプロセスでは、単量体に導入する反応活性基を選択し、精密な分子設計をすることによって、重合反応を制御するだけでなく、ハイブリッドの構造や性質を制御することができます。菅原研究室では、新しいナノビルディングブロックを利用した新しいハイブリッドの作製を目指し、研究を行っています。


ゾル−ゲル法による架橋シルセスキオキサンの作製

2)ハイブリッドを前駆体として用いた無機化合物の合成
 無機化合物は、出発物質を物理的に混合し、長時間加熱する固相法により、平衡相として合成されてきました。一方、化学反応を活用することにより、無機化合物を合成する手法も発達してきました。菅原研究室では、ハイブリッドを無機化合物の前駆体として利用したユニークな合成手法を開発しています。

[A] 2次元ハイブリッド材料からの変換  2次元ハイブリッドのナノシートでは原子・イオンが規則的に配列していることを利用して、ナノシートの構造を活かしながら3次元化することにより、通常の方法では合成できない無機化合物を合成したり、特殊なナノ構造を構築したりしています。
[B] 無機高分子型ハイブリッドからの変換  低分子量の無機化合物を反応させることにより、金属ー酸素、あるいは金属ー窒素結合を持つ無機高分子を合成し、これを前駆体として無機化合物(セラミックス)を合成しています。高分子量の前駆体でも溶解する溶媒を利用することにより、基板への塗布が可能となり、さらに前駆体をセラミックス薄膜へ変換できます。現在この手法を、機能性薄膜の作製に展開しています。
 一方、常圧の結晶相を高温・高圧で処理すると、常圧では得られない結晶相を得ることができます。常圧の結晶相の代わりに無機高分子を前駆体として利用することにより、より温和な条件で高温・高圧相を得ることを期待し、研究を展開しています。

カゴ型化合物を前駆体とする窒化アルミニウムの合成