2018/02/06 パタンプロジェクト
「仏教とヒンドゥー教が溶融するパタンのモデル」
ときどき「これはどうしても自分の手で作らねばならぬ」、という模型がある。
建築は元来、職人など他者と協働で作るものであるが、他人の手を媒介にしてはどうしても表現できないものもある。特に、プロジェクトの世界そのものを設計する最初期のモデルはそうだ。
それで、自分の手で描き、作った。
昨年末に、ネパールのカトマンズ盆地のパタンを訪れた。
ここを含めネパールでいくつかのプロジェクトを作成中である。そのいくつかは、私のこれからのライフワークにしていきたいと考えている。30代で今の時代の日本を迎えた私にとって、ネパールでは東京にいては出来ないことをやりたい。東京他、日本での仕事は短期間でまとめざるを得ないことが多い。
相手もあることなので、まだその全容を記すことができない。だが、私のパタンやキルティプールの強い印象の一つは、仏教とヒンドゥー教が見事に溶融し、その世界観が融和していたことである。最初に作ったこの模型は、ある建築の模型であるとともに、そのようなパタンのモデルそれ自身でもある。
その意味から、「仏教とヒンドゥー教が溶融するパタンのモデル」と題することにする。スケッチから模型を作るまで、この命名は思い浮かんでいなかった。プロジェクトが進んでいくにつれて名前を変えるかもしれないが、模型に彩色を施し眺めてみるに、今はこの名が一番当を得ているように感じる。
2018年2月6日
渡邊大志 記